ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

ワクチン接種が進むアメリカ

2021年2月 12日 米国でmRNACOVID-19ワクチンを接種した後のアナフィラキシーの報告— 2020年12月14日〜2021年1月18日 トム・T・シマブクロ、MD、MPH、MBA1; マシューコール、MPH2; John R. Su、MD、PhD、MPH1 JAMAでのオンライン公開です。 米国食品医薬品局…

ポビドンヨードうがい薬の件は?

昨年8月4日、大阪府の吉村洋文知事は「ポビドンヨードのうがい薬が新型コロナウイルスに効果がある」とする研究結果を、突然発表しました。この時全国のドラッグストアからうがい薬が消えたそうです。このエピソードは、今でもよく覚えていますが、その後あ…

抗体

drhirochinn.work 今回は、細菌やウイルスなどの病原体から我々の体を守る働きである免疫機能の一つである抗体の話です。先の記事「免疫のしくみ」でも出てきましたが、様々な抗原と特異的に結合できる免疫グロブリン分子であり、我々の血液や体液に多量に存…

外科医の誕生日

面白い論文が出ました。筆者はその昔、腹部外科医をしていたのは、過去の記事でお書きした通りですが、外科医の誕生日は手術に影響するかどうか調べた興味深い論文が出ました。(こういう論文が、私は好きです。) Patient mortality after surgery on the s…

COVID-19症状のない人からのSARS-CoV-2感染

JAMA Network Open誌2021年1月7日号に掲載された論文です。 マイケル・A・ヨハンソン博士1,2; タリア・M・クアンデラシー、博士号、MPH1; サラ・カダ博士1; et al JAMAネットワークオープン。2021; 4(1):e2035057。doi:10.1001 / jamanetworkopen.2020.3…

Moderna COVID-19ワクチンの初回投与を受けた後のアナフィラキシーを含むアレルギー反応

BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine Pfizer/BioNTech 社製のmRNAワクチン mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine Moderna社/NIAID製のmRNAワクチン Oxford–AstraZeneca COVID-19 vaccine AstraZenecaー Oxford(英)ウイルスベクターワクチン 以上が今後日本で使われる…

反ワクチン報道

医療が医療従事者と患者の共同作業として定着し、それが社会的に認知されるためには、医療に関連する様々な知識や医療の現状が常識として広く社会に共有されることが重要です。そのために、医師は医学や病気に関する専門的知識のみならず、現在の医療制度や…

SARS-CoV-2 ワクチンの安全性  2

drhirochinn.work jamanetwork.com 1月16日の記事にて、Pfizer/BioNTech 社製のmRNAワクチンとModerna社/NIAID製のmRNAワクチンの臨床試験の結果をお伝えしましたが、その後実際に接種が始まり上記の論文の時点で約190万人に接種した後のデータが出ました。…

もう一つのワクチン AZD1222

AZD1222は、オックスフォード大学とそのスピンアウト企業Vaccitechによって共同で発明され、英国アストラゼネカ社が販売のワクチンです。このワクチンは、複製できないように処理をした弱毒化されたチンパンジー由来の風邪のアデノウイルスに、SARS-CoV-2ウ…

アナフィラキシー

drhirochinn.work 今回の記事で皆さんが混乱されると全く本意ではありませんので、あらかじめお断りしておきますが、これから始まるワクチンによって集団免疫が得られればコロナ感染症は終息します。よって私は強くお勧めいたしますが、特にアレルギーをお持…

サイトカインストーム

drhirochinn.work 前回に続き今回も免疫、特に C O V I D -19における免疫異常に関して勉強していきたいと思います。 今回のテーマは、サイトカイン。 サイトカイン(Cytokine)とは、低分子量で分泌型のたんぱく質であり、細胞間シグナル伝達物質の総称です…

免疫のしくみ

自然免疫と獲得免疫 【出典元】 www.tyojyu.or.jp 最近、新型コロナウイルスのワクチンの話題が増えるのに伴い「免疫」、「抗体」、「サイトカイン」などの単語が報道にのる機会が増えてきました。膨大な数の研究者と彼らが費やした時間の成果として「免疫系…

SARS-CoV-2 ワクチンの安全性

最近 the NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE で同時期に発表された三つの論文を見ることができましたので、自分の勉強もかねて内容、特に副作用に注目してお伝えしたいと思います。 まず一つ目は、 1)Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Va…

自宅療養

最近は、ますますコロナ感染者が増えており、まさに感染爆発の様相を呈しております。いつ自分が感染するかわからない状況です。もしか(万が一ではなく) 感染した時に慌てないようにするために今から準備をしておきましょう。 入院や宿泊療養はいっぱいで…

新型コロナウイルス感染症の後遺症

【JAMA 2020;324:603-605 より引用】 イタリアからの報告(上記のグラフ)では、コロナウイルス感染症の症状出現後約60日の段階で、少なくとも一つ以上の症状が残存している患者は、87.4%にのぼり、症状としては、倦怠感が53.1%、呼吸困難感が43.4%、関節…