昨年8月4日、大阪府の吉村洋文知事は「ポビドンヨードのうがい薬が新型コロナウイルスに効果がある」とする研究結果を、突然発表しました。この時全国のドラッグストアからうがい薬が消えたそうです。このエピソードは、今でもよく覚えていますが、その後あの件はどうなったのでしょうか。
皆さんは覚えておられますか?
この件に関して私なりに少し調べてみました。
SARS-CoV-2の迅速な不活化に対するポビドンヨード鼻消毒薬のinvitroでの有効性
JAMA耳鼻科版に、2020年9月17日オンライン公開されました。
in vitroの結果として、「0.5%という低い濃度のポビドンヨード鼻消毒液は15秒という短い接触時間でSARS-CoV-2を急速に不活化し、ポビドンヨードの鼻腔内使用は、1.25%以下での濃度で安全性を示した。」という論文です。
ちなみに、日本で医師処方のポビドンヨードうがい薬(イソジンガーグル)は、7%であり、15倍から30倍に薄めて使いますので濃度は約0.2~0.5%となります。
February 4, 2021
COVID-19患者の鼻咽頭ウイルス量を減らすためのポビドンヨードマウスウォッシュ、うがい薬、および点鼻薬ランダム化臨床試験
これは、2021年2月4日、同じくJAMAにオンライン公開された論文です。
方法:25ml の1%ポビドンヨード水溶液を使用した4回の連続したマウスウォッシュとガーグル、続いて鼻腔内噴霧装置を使って10%ポビドンヨード軟膏を鼻腔粘膜に塗布。
対象:過去48時間以内に鼻咽頭スワブでPCR陽性の外来患者24人をランダムに1:1に介入群と非介入群に分け、甲状腺疾患の既往のある患者は除外されました。
結果:すべての患者が研究を完了し、入院を必要とした患者はいませんでした。又すべての患者が3日目までにウイルス力価が陰性でした。甲状腺刺激ホルモンの上昇がポビドンヨード暴露5日後すべての患者で認められたが、中止後すべての患者でもとに戻ったとのことです。
結論:軽度から中等度のCOVID-19の成人における感染性SARS-CoV-2の保菌を、減少させる可能性があります。また甲状腺機能障害は治療中止時に自然に解消しました。
とのことです。
ヨードに関しては、ヨードアレルギーの人、妊娠中の人、甲状腺疾患の既往がある人などは、やめたほうがいいと思いますが、感染予防、発症予防、重症化予防などが判明すれば、我々にとってもかなり朗報になると思います。
吉村大阪府知事が1月10日ツイッターにて、ポビドンヨードうがい液の第2次研究が進行中であることを伝えたと、報道されています。
まだポビドンヨードうがい薬の効果は、はっきりしていません。
余談ですが、無能な政治家が多い今日、少しでも有能で意欲のある若い政治家がたくさん出てきてほしいと思います。
吉村知事は有力なその中のお一人だと、私は思います。
今回も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。