ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

和食と健康

皆さんおはようございます。

今日も朝の散歩に行ってきました。やや曇り気味の天気でしたが暑くも寒くもなくいい散歩日和でした。まだところどころソメイヨシノが咲いており、少し花が散ってきている桜はまた別の趣があります。

 

今日は、「日本人にとって体に良い食事とは?」というテーマをもう一度考えてみたいと思います。

日本人にとって理想の食材としてよく言われるのが「マゴワヤサシイ」です。ご存じの方も多いかと思いますが、

マゴワヤサシイとは、理想の食材である「豆・ゴマ・ワカメ・野菜・シイタケ・イモ」の頭文字をとったものであり、これらの食材を食事に取り入れるとミネラルやビタミンがバランス良く含まれる上に、良質で適量のタンパク質や脂肪、そして炭水化物が得られます。
・マ「豆類、納豆、豆腐、味噌、大豆など」
・ゴ「ゴマ、ナッツなどの種子類」
・ワ「わかめ、昆布などの海藻類」
・ヤ「野菜類」
・サ「魚(小型の青背魚類)いわしなど」
・シ「シイタケ、なめこなどのキノコ類」
・イ「イモ類、ジャガイモ、サツマイモなど」

日本人の食事と健康に関しての研究をご紹介します。


THE JOURNAL OF NUTRITION
大崎コホート 2006 研究では、日本人の食事パターンが一般高齢者集団の無障害生存期間の延長と関連している
The Journal of Nutrition、149 巻、7 号、2019 年 7 月、1245 ~ 1251 ページ、https://doi.org/10.1093/jn/nxz051

日本の高齢者1万人近くを調べた東北大学の研究によると、ごはん、みそ汁、魚介類、緑黄色野菜、海藻、漬け物、緑茶を多くとり、牛肉、豚肉が少ないと、健康的に暮らせる期間が長くなるようです。
東北大学の研究グループは、ある地域住民の観察研究に参加した日本人高齢者(65歳以上)9456人の10年間の追跡データを使って、食習慣と無障害生存期間との関連性を調べました。
食習慣の評価には食品摂取頻度アンケートの回答を使い、以前の諸研究に基づいて9品目の食品から「和食指数(JDI)」を計算で割り出しました。
7品目(ごはん、みそ汁、魚介類、緑黄色野菜、海藻、漬け物、緑茶)は摂取量が中央値以上であれば1点、それ以外は0点とし、2品目(牛肉/豚肉、コーヒー)は摂取量が中央値以上であれば0点、それ以外は1点としました。
追跡期間中に、4233件の障害または死亡が発生しました。わかったのは、和食のスコアが高いほど、こうした危険性が低くなるということです。
分析の結果、「JDIスコア」が高いと、無障害生存期間が長くなるとわかりました。

 

次に日本の食事パターンと認知症リスクに関しての研究です。


ヨーロッパ栄養学ジャーナル
公開:2023年2月17日
日本人の食事パターンと認知症発症との関連に関する 20 年間の前向きコホート研究: NILS-LSA プロジェクト
European Journal of Nutrition ( 2023 )

メソッド
日本の愛知県に住む認知症のない高齢の日本人コミュニティ居住者 (65 ~ 82 歳) 1504 人を対象とした 20 年間の追跡調査コホート研究
wJDI9 は次の 9 つの構成要素によって特定されました。「米」、「魚介類」、「緑黄色野菜」、「海藻」、「緑茶」、「果物」、「大豆及び大豆食品」、「きのこ」、「牛・豚(内臓を除く)」。
結論
wJDI9 によって定義された日本の食事への順守が、高齢の日本人地域住民における認知症発症リスクの低下と関連していることを示唆しています。

認知症に根治的に作用する薬はまだありませんので、予防が重要です。伝統的な和食の摂取が寿命を延ばし認知症も予防してくれることがわかりました。