ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

アルツハイマー型認知症の有無による健康的なライフスタイルと平均余命

 

今日は朝早くから、大谷選手の試合が見たくて早起きしてしまいました。敵地シカゴ ホワイトソックス戦でした。残念ながら0-4で負けてしまいました。大谷も4試合ぶりの無安打に終わりました。

一打出れば一気に反撃ムードの場面だった、4点を追う8回2死一、三塁で、マーシュに投じられた6球目は外角に大きく外れたように見えましたが、判定はストライクで三振。続く打者が好調のトラウトだっただけに、エンゼルス側には痛恨の判定でした。

いい加減に誤判定は試合の興味を損ないますからいい加減にしてほしいです。特に大谷選手への誤判定が多いような気がします。テレビでもストライクゾーンが映し出されて我々にもわかるほどですから、機械判定を導入して、すべての判定を審判に任せるのはそろそろやめた方がいいように思います。

 

この今日の対戦相手の本拠地、米国イリノイ州シカゴにあるラッシュ大学医療センターからある論文が出ています。

 

アルツハイマー型認知症の有無による健康的なライフスタイルと平均余命:人口ベースのコホート研究
BMJ 2022 ; 377 doi:https ://doi.org/10.1136/bmj-2021-068390 (2022年4月13日公開)
https://www.bmj.com/content/377/bmj-2021-068390.long

 

目的
アルツハイマー型認知症の有無にかかわらず、平均余命に対するライフスタイル要因の影響を判断すること。
参加者
2449人の65歳以上の男性と女性。

方法
健康的なライフスタイルスコアは、5つの変更可能なライフスタイル要因に基づいて開発されました:脳の健康のための食事(神経変性遅延のための地中海-DASH食事介入-コホート分布の上位40%のMIND食事スコア)、晩年の認知活動(複合スコア上位40%)、中程度または激しい身体活動(150分/週以上)、禁煙、軽度から中程度のアルコール摂取(女性1〜15 g /日、男性1〜30 g /日)。

結果
4つまたは5つの健康要因を持つ65歳の女性の平均余命は24.2年(95%信頼区間22.8〜25.5)であり、0または1つの健康要因を持つ65歳の女性(平均余命21.1年、19.5〜22.4)よりも3.1年長生きしました。 
65歳での平均余命のうち、4つまたは5つの健康要因を持つ女性は残りの年の10.8%(2.6年、2.0から3.3)をアルツハイマー型認知症に費やしましたが、0または1つの健康要因を持つ女性は19.3%(4.1年、 3.2から5.1)病気で。アルツハイマー型認知症のない65歳の女性と4つまたは5つの健康要因のある女性の平均余命は21.5年(20.0から22.7)であり、0または1つの健康要因のある女性の平均余命は17.0年(15.5から18.3)でした。健康的な要因が4つまたは5つある65歳の男性の平均余命は、23.1年(21.4〜25.6)で、健康要因が0または1の65歳の男性より7年長い(平均余命17.4歳、15.8〜20.1)。65歳での平均余命のうち、4つまたは5つの健康要因を持つ男性は残りの年の6.1%(1.4年、0.3から2.0)をアルツハイマー型認知症に費やし、0または1つの健康要因を持つ男性は12.0%(2.1年、 0.2から3.0)病気で。アルツハイマー型認知症のない65歳の男性と4つまたは5つの健康因子の平均余命は21.7年(19.7から24.9)であり、0または1つの健康因子の平均余命は15.3年(13.4から19.1)でした。健康因子がゼロまたは1つある人は、12.0%(2.1年、0.2〜3.0)をこの病気に費やしました。

結論
健康的なライフスタイルは、男性と女性の平均余命の延長と関連しており、アルツハイマー型認知症のない残りの年の大部分を生きました。

健康因子スコアが高いほど、平均余命延長、アルツハイマー型認知症リスクが低下するという結果でした。

 

ところでMIND食とは、

『 心臓病の予防として評価の高い地中海式ダイエット(Mediterranean diet)とDASHダイエット(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は、認知機能の低下も予防することがこれまでに報告されてきました。
そこでシカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究者らは、2つのダイエットを組み合わせた、「MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)ダイエット」という、認知症を予防するための新しいダイエットを考案。アルツハイマー病協会が発行する雑誌「アルツハイマー病と認知症(Alzheimer's & Dementia)」で発表しました。』

結局行き着く「正しい生活」
『痩せるだけじゃない!? 米国発MINDダイエットが認知症予防に効く』
内科医師 大西 睦子
http://www.com-info.org/medical.php?ima_20151006_oonishi

 


マインド食は、地中海沿岸の国々で伝統的な「地中海式食事法」と、高血圧を予防するダイエット食「DASH食」を組み合わせたものであり、両者の特徴は下記の通りです。
・地中海式食事法:魚や野菜、フルーツをメインに、オリーブオイルやナッツ類、赤ワインを取り入れた食事。
・DASH食:脂肪分やコレステロールの摂取を減らし、ミネラルをたくさん摂る食事。
これらを組み合わせたマインド食では、脳の健康の観点から「積極的に摂るべき食品」が10項目、「なるべく控えるべき食品」が5項目に分けられているのが特徴です。

積極的に摂るべき食品・10項目
・緑黄色野菜(週6日以上)
・その他の野菜(1日1回以上)
・ナッツ類(週5回以上)
・ベリー類(週2回以上)
・豆類(週3回以上)
・全粒穀物(1日3回以上)
・魚(なるべく多く)
・鶏肉(週2回以上)
・オリーブオイル(優先的に使う)
・ワイン(1日グラス1杯まで)

なるべく摂取を控えるべき食品・5項目
・赤身の肉(週4回以下)
・バター(なるべく少なく)
・チーズ(週1回以下)
・お菓子(週5回以下)
・ファストフード(週1回以下)

100年人生レシピ
2020.03.24
認知症予防に役立つ「マインド食」ってどんな食事?
https://special.nissay-mirai.jp/jinsei100y/hints/AXKkA

筆者的には、5番目のアルコール摂取には異論がありますが、そのままお伝えします。

日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されており、高齢社会の日本では認知症に向けた取組が今後ますます重要になります。

日本人にとっては、昭和の和食が健康に一番良い(塩分を制限したうえでの)ということが言われていますが、今回の米国のような研究が、日本でも望まれます。