ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

2022-01-01から1年間の記事一覧

医療探知犬

皆さんおはようございます。今日は12月31日。今年も個人的にはいろいろなことがありました。健康上では、新型コロナに感染しました。時期的にBA5だったと思います。幸い軽症で経過して後遺症もなくきれいに治りました。 皆さんはどんな年でしたか? 筆者は来…

インフルエンザワクチン

The Lancet Global Health心不全患者の有害な血管イベントを減らすためのインフルエンザワクチン:多国籍無作為化二重盲検プラセボ対照試験オープンアクセス公開日: 2022 年 12 月DOI: https://doi.org/10.1016/S2214-109X(22)00432-6 CareNetインフルエンザ…

スギ花粉症

少し気が早いかもしれませんが、年が明けるとまた花粉症の季節になります。 花粉症の原因となる花粉の飛散量は、季節や日によってだけでなく、1日のうちの時間帯によっても差があり、気温の上昇に伴い増加することが明らかにされました。 米Atlanta Allergy …

身体活動と死亡率

オーストラリア・University of SydneyのEmmanuel Stamatakis氏らは、運動の習慣がないUK Biobank参加者2万5,000例超を対象に、手首装着型の加速度計のデータと約7年の追跡期間における死亡データを解析。その結果、非常に速く歩く、階段を上るなど、日常生…

抗体保有率実態調査

長年の謎でしたが、ウイルス感染はなぜ寒い時期に増えるのかという疑問に答える一つの研究が出されました。ウイルス性気道感染症は、冬の時期に増えることが知られていますが、そのメカニズムはこれまで明らかになっていませんでした。ハーバード大学のDi Hu…

ゲートコントロール理論

しばらく色々忙しくて、ブログが更新できていませんでした。今日は我々整形外科医にとって非常に大切な’痛み’に関する記事です。 drhirochinn.work 筆者の初期のブログでもこの痛みに関して書かせていただきました。(懐かしいです。) 我々は打撲や捻挫など…

帯状疱疹とコロナワクチン

外来で患者さんを拝見していて最近思うのは、帯状疱疹がもしかしたら増えているのではないかということです。気にしているからなのかもしれませんが、帯状疱疹の発生とコロナワクチンやコロナ感染との関係を少し調べてみました。 JAMA Network2022 年11 月 1…

BA.4,BA.5対応ワクチンとアナフィラキシー

今日も朝散歩に行ってきました。何日か前の天気予報では、今日は雨だったのですが、運よく晴れになり朝8時頃から近くの川の土手に散歩に行ってきました。 いつも歩くコースの折り返し地点にちょうど施設があります。トイレや自販機があり時間によっては軽食…

高齢者にとって命に関わる可能性のある骨折部位

おはようございます。筆者は今まで整形外科医として患者さんとお付き合いさせていただきました。過去にいくつかの病院での数多くの骨折患者さんの診療を通して、年齢、抱えている病気の多さ、それまでの日常生活上の活動性などがその患者さんの予後に影響す…

コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時感染

この冬、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザとの同時流行への備えが叫ばれています。 一方コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時感染はどうなんでしょうか? 筆者は、以前ウイルス干渉のために同時感染は起こりにくいのではないかと思ってい…

新規変異株

今朝久しぶりに近くの川の土手に散歩に行ってきました。今日もいい天気で早朝にもかかわらず、走ったり自転車に乗ったり、パブリックゴルフコースで打ちっぱなしやラウンドを楽しんでいる人たちがたくさんいました。 世の中は、コロナ疲れか要領がよくなった…

大滝詠一と私

www.youtube.com 最近テレビを見ていたら上の曲が流れました。 大滝詠一に関しては、筆者が若いころよく聞いていたので、「あれっ」と思い、聞きこんでしまいました。 この曲のセルフカバーは、あまり聞いたことがなかったので調べてみたら、大滝詠一が突然…

ソファー選び

お題「ソファ選びに悩んでいます。皆さんはどんなソファに座っていますか? 布製? 革製? おうちのソファのこだわりを教えてください!」 つい最近、自宅マンションのリフォームに合わせてソファーも買い換えました。 徹底的にこだわったのは、座り心地と色…

がん検診

国民の2人に1人が“がん”になり、3人に1人が“がん”で亡くなっています。 秋と春は、健康診断の季節です。今回は、がん検診について考えてみたいと思います。 日本のがん検診は,市区町村による対策型検診,職域におけるがん検診,および人間ドック等の任…

働く女性を考える

筆者の知人や職場のスタッフなどで、出産後前職に復帰できていない女性が少なからずおります。以前から言われていることですが、働く女性の現状に関し筆者なりに考えてみたいと思います。 まず労働力人口とは、15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わ…

ワクチン躊躇と認知バイアス

若い人たちは、家族や友人がワクチンで予防可能な疾患にかかった経験がほとんどないか、自分は大丈夫と感じているかもしれません。 ワクチンの安全性・有効性に関する不正確な、致命的かもしれない大量の誤った情報がソーシャルメディアを通して広く拡散され…

コロナ・インフルワクチン同時接種 2

新型コロナウイルスのオミクロン株は、デルタ株と比較して重症化リスクが低下したとされ、季節性インフルエンザとの臨床経過を比較することへの関心が高まっています。奈良県立医科大学は、8月4日のプレスリリースで、同大学の野田 龍也氏らによる、日本にお…

お風呂

猛暑もようやく終わり、徐々に秋めいた陽気になってきています。さらに肌寒くなっていきますと我々日本人は、暖かい”お風呂”が恋しくなります。筆者も大好きです。 この深い浴槽に肩までお湯に長時間浸かる日本式入浴法(Japanese-style bathing)を英語では…

オミクロン対応株の2価ワクチン接種

皆さんおはようございます。 厚生労働省は9月12日、ファイザーおよびモデルナのオミクロン株BA.1に対応した新型コロナウイルス2価ワクチンを承認(特例承認医薬品における効能・効果、用法・用量の一部変更承認)したことを発表しました。2価ワクチンの販売…

老化を肯定的に捉える人は否定的に捉える人より健康で長生きする

おはようございます。今日は、大谷選手の試合を見るために朝5時に起きてテレビを見ましたが、残念ながら大谷にホームランは出ませんでした。代わりにジャッジが2本もホームランを打ってしまいましたが、今後にまだまだ期待できますので、応援していきたいと…

療養期間の短縮

皆さんおはようございます。 去る9月7日に、コロナ陽性者の療養期間が短縮されました。有症状陽性者については、入院患者さんの場合はこれまでと同じく10日間かつ症状軽快後72時間という基準ですが、入院以外の軽症者については7日間かつ症状軽快後24時間と…

コロナ・インフルワクチン同時接種

2021年後半から2022年前半にかけて、北半球の多くの国ではインフルエンザの小ないし中規模の流行がみられているということなどから厚労省と日本感染症学会は、今年もインフルエンザ予防接種を推奨しています。 日本感染症学会ガイドライン・提言一般社団法人…

喫煙と癌

現在習慣的に喫煙している者の割合は、16.7%であり、男女別にみると男性 27.1%、女性 7.6%です。この10年間でみると、いずれも有意に減少してはいます。 年齢階級別にみますと、30~60歳代男性ではその割合が高く、約3割が習慣的に喫煙しています。 成人…

COVID-19 罹患後症状

新型コロナウイルス感染症において、感染性が消失し主な症状は回復したにもかかわらず “ 後遺症 ” と呼ばれるような症状、あるいは新たな、または再び生じて持続する症状などに悩む患者が少なからずみられるようになりました。 これをWHOでは、Post COVID-19…

BA.5罹患

これは筆者の抗原検査の結果です。残念ながらCOVID-19に感染してしまいました。 そのせいで記事の更新ができませんでした。 ちょうどお盆休みの期間なのでか発熱外来の予約が取れず、やむおえず知り合いの先生に頼み込んで診ていただいて感染者登録をしても…

家族

人の心の機微に触れるような興味深い研究がありますのでご紹介します。 JACCジャーナル心不全における死別と予後:スウェーデンのコホート研究2022 年 7 月 6 日。 公開された DOI: 10.1016/j.jchf.2022.05.005 バックグラウンド心不全 (HF) の予後における…

高齢者の骨粗鬆症に対する薬物療法

おはようございます。 筆者は整形外科医として日々多くの患者さんの診療を担当させていただいていますが、その中でとりわけ多くの骨粗鬆症患者さんを拝見しています。 日常の診療に役立てるために、多くの論文や医学雑誌の記事にできるだけ目を通すよう心が…

無症候性感染

今回は無症候性感染、無症状病原体保有者について考えてみたいと思います。 無症状病原体保有者① 咽頭にはウイルスは存在したが、その人の免疫により発病に至らない場合② 感染初期であるために、いまだ症状が出ていない状態③ 以前に症状があったが、現在は症…

武漢の華南海鮮卸売市場由来

新型コロナウイルス感染症の起源について、日常の感染症対策に追われて、我々はとかく忘れがちになりますが、中国の武漢市から発生したことを否定する人は、現在はまずいないことでしょう。 過去に筆者はいくつかの記事を書かせて頂いておりますが、コロナ起…

コロナと医療費抑制政策

筆者は前の記事で「私立病院は長らく続く医療費抑制政策の結果、十分なコロナ対応ができない」旨書かせていただきました。 これに関しては、COVID-19診療に直接的に大きな影響があり、我々医療者だけの問題ではありませんので、今回のテーマにさせていただき…