ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

アナフィラキシー

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drhirochinn.work

今回の記事で皆さんが混乱されると全く本意ではありませんので、あらかじめお断りしておきますが、これから始まるワクチンによって集団免疫が得られればコロナ感染症は終息します。よって私は強くお勧めいたしますが、特にアレルギーをお持ちのかたはやめておいた方がよいかもしれません。 インフルエンザのワクチンもそうですが、我々の態度としてワクチンはおすすめしますが決して強制は致しません。国民の七割に免疫が得られればいいそうなので全員がワクチンを受ける必要はないわけです。 しかし長い私の医者生活で記憶しているだけでも、10人前後のアナフィラキシーショックを起こした患者さんの診療をしましたが(忘れてしまった症例もあると思いますがそういう人たちは、トラブルが全くなかった方たちです)、亡くなったかたは一人もいません。大事を取って入院していただいたかたはおられますが、すべて元気に日常生活に復帰されています。先の記事でご紹介した文献でもアナフィラキシーによる死亡者はいませんし、適切に対応すれば、恐れる病態ではないと思います。 もちろん年間50~70人の方が、蜂毒、医薬品、食品などで命を落としておられますが、すぐに対応できていれば違った結果になったものと思います。日本アレルギー学会のホームページに詳述されています。

https://anaphylaxis-guideline.jp/pdf/anaphylaxis_guideline.PDF

アナフィラキシー(英: anaphylaxis)とは、ウィキペディア(Wikipedia)には、『原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応。語源は、ギリシャ語で「再び」などを意味し、行為の反復などをあらわす接頭辞であるἀνα-(ana-)と、同じくギリシャ語で「見張り、警戒」などを意味するφύλαξις(phylaxis)である。 アナフィラキシーによるアレルギー反応をアナフィラキシー反応(アナフィラキシーショック)という。一方、免疫学的機序によらず過去に原因物質(抗原)に接触したことがなかった者にも同じような症状が生じることがあり、このような非免疫学的機序によるものはアナフィラキシー様反応というが、アナフィラキシー反応とアナフィラキシー様反応の区別は実際には困難なことが多く、症状や対処法もほぼ共通することから区別されずに扱われることが多い。』

と書かれています、

ja.wikipedia.org

血圧低下など致死的反応に至る場合をアナフィラキシーショックと言います。

また、発生機序で原因を分類すると、

1) IgEが関与する免疫学的機序 食物 刺咬昆虫(ハチ・蟻) 薬剤 - β-ラクタム系抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬、生物化学的製剤、造影剤、ニューキノロン系抗生物質など その他 - 天然ゴムラテックス(ラテックスアレルギー)、職業性アレルゲン、環境アレルゲン、食物+運動(食物依存性運動誘発性アナフィラキシー)、精液など

2) IgEが関与しない免疫学的機序 薬剤 - 非ステロイド性抗炎症薬、生物化学的製剤、造影剤、デキストラン

3) 非免疫学的機序(肥満細胞を直接活性化) 身体的要因 - 運動、高温、低温、日光など アルコール 薬剤 - オピオイド

様々な原因で発生します。ワクチンが原因とすると1)か2)が原因となります。

致死的反応となる呼吸停止・心停止となるまで、薬剤や造影剤の経静脈投与の場合は、一般的に5分以内。蜂毒などの刺傷では、10~15分程度、食べ物の場合は30分程度で生じるといわれており、症状発現が早いほど重篤になります。

アナフィラキシーの症状が落ち着いた後、数時間してからアレルゲンへの接触なしに再度アナフィラキシー症状を呈することがあり、これを二相性アナフィラキシー反応と呼びます。全例に起こるわけではないのですが、再発までの時間は2~48時間(中央値:10時間)で、二相性アナフィラキシー反応を起こした人の1/3がエピネフリンの追加治療を要します。初期症状が重篤でなくても、しっかりエピネフリンを投与し、経過観察することが重要です。世界アレルギー機構のガイドライン(World Allergy Organ J. 2015 Oct 28;8(1):32.)では、少なくとも4時間の観察が推奨されております、

【引用 : 二相性反応に注意を!日本のアナフィラキシーの実態とは 薬師寺泰匡 | 救急科専門医/薬師寺慈恵病院 院長】

アナフィラキシーガイドラインによる診断基準は、下記のとおりです。

 以下の3項目のうち、いずれかに該当するもの

1、皮膚症状(全身の発疹、掻痒または紅潮)または、粘膜症状(口唇、舌、口蓋垂の腫脹)のいずれかが存在し急速(数分〜数時間以内)に発現する症状で、かつ下記 a. b. の少なくとも1つを伴う。 a. 呼吸器症状(呼吸困難、気道狭窄、喘鳴、低酸素血症) b. 循環器症状(血圧低下、意識障害) 2、一般にアレルゲンとなりうるものへの曝露後、急速(数分〜数時間以内)に発現する以下の症状のうち、2つ以上を伴う。 a. 皮膚、粘膜症状(全身の発疹、掻痒、紅潮、浮腫) b. 呼吸器症状(呼吸困難、気道狭窄、喘鳴、低酸素血症) c. 循環器症状(血圧低下、意識障害) d. 持続する消化器症状(腹部疼痛、嘔吐) 3、当該患者におけるアレルゲンへの曝露後の急速な(数分〜数時間以内)血圧低下。 収縮期血圧の定義:平常時血圧の70%未満または、下記 生後1カ月から11カ月 < 70 mmHg 1歳から10歳 < 70 mmHg + ( 2 × 年齢 ) 11歳から成人 < 90 mmHg

治療に関しては、 アドレナリンの筋肉注射(商品名:エピペン)が有効です。アドレナリン(ボスミン0.3mg)筋注(皮下注では血管が収縮するので作用が遅くなる)はβ2作用で肥満細胞の脱顆粒を抑制する働きがあります。アドレナリンは10分ほどで効果が出るはずなので、反応がなければ2回か3回繰り返すことが必要な場合もあります。また、高血圧でβブロッカー(まれにαブロッカーやACE阻害薬でも)を服用している患者ではアドレナリンが効かないことがありますので、この場合はグルカゴン1mgから5mgが効果があり、使用されます(交感神経を介さず、cAMPを増やすことで効果が出る)。ステロイドや抗ヒスタミン薬は4時間くらい効果がでるのにかかるので救急では使えずに注意が必要です。

治療としてはまずアドレナリン筋注が大切であり、二相性アナフィラキシーを考えるとアナフィラキシーを起こした後は、入院管理が必要と思います。

又、アナフィラキシー症状は24時間以降に出現する場合もあるとのことで、接種後は丸一日は別の方と一緒の方がいいかもしれません。

繰り返しになりますが、ワクチン接種の最大の問題点はアナフィラキシーショックです。(中長期の問題点は現時点では判断不能です) 

ワクチンはアレルギー歴のないかたは、できるだけ受けるべきであると私は思いますが、受けるご自身がちゃんとそれを理解していることが、非常に大切であると思います。そして最終的にはもちろんご自身がお決めになることです。

いつも最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

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