ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

アナフィラキシーはワクチン接種の禁忌?

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www.cnn.co.jp

この記事の中で、

「(CNN) 米国内で新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人のうち、新型ウイルスに感染して死亡した例は0.001%未満、重症化した例も0.004%未満にとどまっていることが、米疾病対策センター(CDC)の最新データで明らかになった。」

と伝えています。

アメリカと日本ではコロナ変異株や医療体制が異なりますから、少し解釈が違うとは思いますが、何よりもワクチン接種が大切であるということに変わりはありません。

 

ところで、ワクチンを打たせていただく側として、筆者にとって意外な論文が発表されました。

 

2021年7月 26日
1回目の投与に即時反応した患者における2回目のメッセンジャーRNACOVID-19ワクチンの安全性評価
JAMAインターンメッド。2021年7月26日にオンラインで公開されました。doi:10.1001 / jamainternmed.2021.3779

 


米国ヴァンダービルト大学医療センターのMatthew S Krantz氏らは、ファイザー製またモデルナ製ワクチンの初回接種時にアナフィラキシーまたは遅発性のアレルギー反応を経験した被接種者において、2回目接種の安全性を検証するため投与耐性について調査を行いました。その結果、2回目の接種を受けた患者の20%で軽度の症状が報告されたましたが、2回目接種を受けたすべての患者が安全に一連のワクチン接種を完了したことを明らかにしました。

・参加者は189例(平均年齢±SD:43±14歳、女性:163例[86%])でした。
・評価されたmRNAワクチンの初回投与反応のうち、モデルナ製を投与したのは130例(69%)、ファイザー製は59例(31%)でした。
・最も頻繁に報告された初回投与反応は、紅潮または紅斑で53例(28%)、めまい・立ちくらみは49例(26%)、接種部位のうずき・ヒリヒリ感は46例(24%)、喉の圧迫感は41例(22%)、じんましんは39例(21%)、喘鳴または息切れは39例(21%)でした。
・32例(17%)はアナフィラキシーの基準を満たしていました。
・参加者のうち159例(84%)が2回目の接種を受け、前投薬として抗ヒスタミン薬(30%)を投与したのは47例(30%)でした。
・初回投与後にアナフィラキシーと診断された19例を含む159例が2回目の投与に耐えられました。
・32例(20%)は2回目の接種によるアナフィラキシーや遅発性のアレルギーを報告しましたが、自然治癒・症状軽度および/または抗ヒスタミン薬のみで解決しました。

 

筆者の常識では、ワクチンの初回接種でアナフィラキシー反応を起こしたら、2回目は中止というのが正当であると思っていました。しかしこの論文によると決してそうではないということがわかりました。

初回にアナフィラキシーを起こした32例のうち19例が2回目も受けて、アナフィラキシーや遅発性のアレルギーが出現しましたが、自然治癒・症状軽度および/または抗ヒスタミン薬のみで解決したとのことです。

2回目を受けなかった人の理由が知りたいと思いますが、少なくとも筆者の常識とは違った結果でした。

これからのワクチン接種の参考にしたいと思います。

 

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