ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

Moderna COVID-19ワクチンの初回投与を受けた後のアナフィラキシーを含むアレルギー反応

BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine Pfizer/BioNTech 社製のmRNAワクチン

mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine Moderna社/NIAID製のmRNAワクチン

Oxford–AstraZeneca COVID-19 vaccine AstraZenecaー Oxford(英)ウイルスベクターワクチン

以上が今後日本で使われる可能性のある、3つの新型コロナワクチンですが、今まで3つのワクチンの臨床試験データとPfizer/BioNTech 社製のmRNAワクチンの接種開始後のデータをご紹介してきました。

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接種開始がまちまちのため一斉に情報が出てきませんので随時になってしまいますが、今回はModerna COVID-19ワクチンの接種後のデータが、CDCより発表されましたので、有害事象(特にアナフィラキシー)に注目してご紹介いたします。( CDC, Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)

www.cdc.gov

米国で2020年12月21日~2021年1月10日に初回投与されたModernaのCOVID-19ワクチン接種404万1,396回の疫学データの結果が、2021年1月22日CDCより発表されました。CDCによりますと、 2020年12月21日から2021年1月10日までの間に、ワクチン有害事象報告システムによるモニタリングで、報告されたModerna COVID-19ワクチンの初回投与4,041,396回の投与後にアナフィラキシーの10例が検出されました(投与100万回あたり2.5例)。9例では、ワクチン接種から15分以内に発症しました。アナフィラキシー関連の死亡は報告されていません。

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2021年1月10日の時点で、報告されたModerna COVID-19ワクチンの初回投与が米国で4,041,396回投与され、Moderna COVID-19ワクチン接種後の1,266(0.03%)の有害事象の報告がワクチン有害事象に提出されました。 これらの中で、アナフィラキシーを含む重度のアレルギー反応の可能性のある症例として、108の症例報告がさらなるレビューのために特定されました。アナフィラキシーは生命を脅かすアレルギー反応であり、ワクチン接種後にはめったに発生せず、通常は数分から数時間以内に発症します。これらの症例報告のうち、10例がアナフィラキシー(投与されたModerna COVID-19ワクチンの100万回あたり2.5例のアナフィラキシー症例の割合)であると判断されました ワクチン接種から症状発現までの間隔の中央値は7.5分でした(範囲= 1〜45分)。フォローアップ情報が入手可能な8人のうち、全員が回復したか、家に退院しました。アナフィラキシーではないと判断された残りの症例報告のうち、47は非アナフィラキシーアレルギー反応であると評価され、47は非アレルギー性有害事象と見なされました。4つの症例報告について、研究者はアナフィラキシーの可能性を評価するのに十分な情報を得ることができませんでした。

アナフィラキシー患者の年齢の中央値は47歳でした(範囲= 31〜63歳)。9人の患者は15分以内に発症し、1人は30分後に発症しました。10件の報告すべてにおいて、患者は最初の緊急治療の一環としてエピネフリンを投与されました。VAERSレポート⦅FDA / CDCワクチン有害事象報告システム(VAERS)⦆に記載されているように、治療の説明とイベントの臨床経過に基づいて、投与経路が筋肉内であることが確認または推定されました。6人の患者が入院し(集中治療室の5人を含み、そのうち4人は気管内挿管が必要でした)、4人は救急科で治療されました。フォローアップ情報が入手可能な8人の患者は、VAERSへの報告時に自宅に退院したか回復したことがわかっています。Moderna COVID-19ワクチンの接種後、アナフィラキシーによる死亡は報告されていません。10件のアナフィラキシー症例報告のうち9件には、薬物(6件)、造影剤(2件)、食品(1件)を含むアレルギーまたはアレルギー反応の病歴が含まれていました。

同じくmRNAワクチンであるPfizer-BioNTechCOVID-19ワクチンの以前の分析では、Pfizer-BioNTechワクチンの初回投与を受けた後に投与された100万回投与あたりの初期発生率は11.1例と推定されていますので、Moderna COVID-19ワクチン100万回あたり2.5例はこれより少ない確率です。日本のインフルエンザ ワクチンは、100万回あたり1.3例ですからコロナワクチンは、やや高いようです。しかし適切に対応すれば生命にかかわることはありません。

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https://www.yomiuri.co.jp/national/20210124-OYT1T50032/

アナフィラキシーはショックより長時間にわたって出現することを考えれば、地域ごとに24時間対応可能な専用ダイアルを用意するのも一つの方法だと思います。(電話をかけても一日中つながらないなんて言うことは、今度は絶対に許されません。)

日本人は、国産の安全なワクチンに慣れていたためと、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの問題でワクチンの有害事象に関して神経質になっているものと思いますが、この時期は特に、正確な情報を得て理性的に判断する必要があると思いますし、筆者の記事がその一助になれば大変幸いに思います。

本日も最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

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