ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

認知症の症例発見における年齢と出生年に関する2つの質問の有用性

 

おはようございます。

9連敗中のエンゼルス戦を見ながら(聞きながらというべきですね)記事を書いています。

今日も認知症の面白い研究を2つご紹介します。

Psychogeriatrics
原著
誕生の季節とアルツハイマー病の病理に対する脆弱性:invivo陽電子放出断層撮影研究
安野希世乃、南博之、アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブ
初版:2022年4月26日 https://doi.org/10.1111/psyg.12838

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/psyg.12838

メソッド
アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブのデータセットを分析しました。これには、234人の認知正常(CN)個人と、軽度認知障害(MCI)(n  = 114)およびAD認知症(n  = 38)の患者のデータが含まれています。

結論
秋から冬に生まれた参加者は、タウの蓄積に影響を与える可能性のある要因を考慮した後、春から夏に生まれた参加者よりもタウの蓄積が少なかった。

日本の研究です。

生まれた季節で将来的な認知症発症率に差が出るという結果でした。嫌なことに生まれた時点で決まっているということでしょうか?

秋から冬に生まれた人は認知症になりにくいということのようです。

1月生まれの筆者は整形外科が専門ですが、田舎のクリニックではほぼすべての科目に対して、ある程度診察ができなければ仕事になりません。

そして多くの患者さんが中高年の患者さんです。以前の記事でも書かせていただきましたが、最近特に認知機能が落ちてきている患者さんが増えている印象があり、怪しい患者さんはすぐに専門医に紹介するようにしています。

この認知症患者の発見に関しての面白い研究を一つご紹介します。

JAMDA
JAMDAオンラインオリジナルスタディ| 14巻、8号、P627.E7-627.E12、2013年8月1日
認知症の症例発見における年齢と出生年に関する2つの質問の有用性
公開日:2013年6月17日DOI:https ://doi.org/10.1016/j.jamda.2013.05.006

https://www.jamda.com/article/S1525-8610(13)00277-6/fulltext

 

年齢と誕生日を尋ねる2つの単純な質問が、臨床において概して認知症をルールアウトするのに有効であるという仮説について検証した。その結果、特異度および陰性適中率がほぼ100%近かったことが明らかになった。感度は約61%、陽性適中率は約45%であった。
単純認知機能テストとして、2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」に答えることを課していた。

結果
参加者のテストの受け入れは良好で、30秒以内に回答が得られた。
参照基準と比較して、「2つの質問への回答がどちらも誤答である場合は認知症である」とする判定について、感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。

これらの結果を踏まえて、この単純な質問テストは現在までに報告された最善の方法であり、認知症のルールアウトに用いることが普遍化されるかもしれない。

陰性的中率がほぼ100%ということは、この質問にちゃんと答えられれば、認知症ではないといえるということです。

医者に限らず誰でも試してみることができます。

ただ逆にこの検査の陽性的中率が44%ですから、陽性の場合は本当はどうなのか専門医にかかってはっきり診断してもらう必要があります。

 

drhirochinn.work

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これからも認知症に関する研究をどんどん皆さんにご紹介していこうと思っています。