ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

緑茶と認知症

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臨床調査
コーヒー、緑茶、カフェインと高齢の日本人の認知症のリスクとの関連
松下奈々ら 2021年10月8日 https://doi.org/10.1111/jgs.17407
https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.17407

コーヒー、緑茶、カフェインは、認知症予防の潜在的な因子といわれていますが、根拠となるエビデンスは十分ではありません。新潟大学のNana Matsushita氏らは、中高年の認知症リスクとコーヒー、緑茶、カフェインの摂取との関連を調査しました。
本研究は、8年間フォローアップを行ったコホート研究です。対象者は、40~74歳の日本の地域住民1万3,757人。2011~13年に自己記入式のアンケート調査を実施しました。予測因子は、コーヒー、緑茶の消費量とし、そこからカフェインの摂取量を推定しました。アウトカムは、介護保険データベースより抽出した認知症発症としました。

結論として、高レベルのコーヒーとカフェインの消費は、特に男性において、用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連していました。さらに、3杯/日以上のコーヒー消費は認知症リスクの50%の減少と関連していました。

 

しかしこんな研究もあります。

研究論文

コーヒーの消費量が多く、脳の量が多く、認知症や脳卒中のリスクがあります
https://doi.org/10.1080/1028415X.2021.1945858
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/1028415X.2021.1945858

目的は、習慣的なコーヒーの消費が脳の量の違いや認知症や脳卒中のオッズと関連しているかどうかを調べました。
結論として、コーヒーの消費量が多いと、脳の総量が少なくなり、認知症のオッズが高くなります。

メソッドは違いますが、コーヒーに関して相反する結論です。

コーヒーに関してはまだ結論が出ていないようです。

 

オープンアクセスレビュー
緑茶の摂取量と認知症、アルツハイマー病、軽度認知障害、および認知障害のリスク:系統的レビュー
Nutrients 2019, 11(5), 1165; https://doi.org/10.3390/nu11051165
公開日:2019年5月24日

サントリーワールドリサーチセンターのSaki Kakutani氏らは、緑茶に焦点を当て、緑茶の摂取と認知症、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、認知障害との関連を調査した観察研究のシステマティックレビューを実施しました。
この結果、緑茶の摂取が認知症、アルツハイマー病、MCI、認知障害のリスクを減少させる可能性があるとの仮説は支持されました。

緑茶に関しては、認知症予防に効果がちゃんとあるようです。

 

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