中国の武漢に端を発したCOVID-19は、現在全世界の死亡者数600万人、感染者数4.44億人となっています。そしてウクライナでは、ロシアによる侵略戦争が起きており、この2つの出来事は今世紀最大の悲劇になることでしょう。しかもこの2つは、2大独裁政権国家によりひき起こされています。
そして2つとも人々のメンタルヘルスに重大な影響を与えます。
今回は、軍事紛争が一般の人々に与える精神上の影響について筆者なりに考えてみました。
戦争のメンタルヘルスへの影響：調査結果の簡単なレビュー
世界精神医学。2006年2月; 5（1）：25–30 PMCID ：PMC1472271PMID：16757987
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC1472271/#B8
この論文は、アフガニスタン、バルカン半島、カンボジア、チェチェン、イラク、イスラエル、レバノン、パレスチナ、ルワンダ、スリランカ、ソマリア、ウガンダで過去に起きた武力紛争をレビューしています。
レビューされた大量の研究から、女性は戦争の心理的影響に対する脆弱性が高まっており、戦争状況における母親と子供の苦悩の間には高い相関関係があるという証拠があります。また出生前および出生後の母親のうつ病は、地域に根ざした乳児の成長不良を予測することが知られています。
社会的支援と伝統的な助産師は、戦争の影響を受けた地域での母親の心理社会的幸福を促進する上で主要な役割を果たしています。ジェンダーに基づく暴力と一般的な精神障害との関連はよく知られています。彼らの脆弱性にもかかわらず、ストレス下での女性の回復力と家族を維持する上でのその役割は認識されています。
子どもの心的外傷に関連する心理的問題の発生率が高いという一貫した証拠があります。最も印象的な報告は、パレスチナからの報告です。さまざまな年齢層の中で、最も脆弱なのは青年です。
外傷の程度と心理的問題の量との間の直接的な相関関係は、多くの研究にわたって一貫しています。身体的および心理的の両方のトラウマへの曝露が大きければ大きいほど、症状はより顕著になります。
その後のライフイベントと精神医学的問題の発生との関連は、紛争状況の悪影響を最小限に抑える方法として、迅速かつ完全なリハビリテーションに重要な意味を持っています。
研究は、戦争関連のトラウマの影響を最小限に抑える上での身体的支援と心理的支援の両方の価値、および紛争状況に対処する方法としての宗教と文化的慣習の役割を示すことに一貫しています。
エチオピア北部における戦争のメンタルヘルスへの影響：なぜ私たちが懸念すべきか
公開日：2022年3月DOI：https ：//doi.org/10.1016/S2215-0366（22）00013-X
ランセット精神医学メンタルヘルスの問題は、武力紛争の主な間接的な結果であり、戦争の影響を受けた地域に住む個人の幸福に短期的および長期的な影響を与える可能性があります。新しいWHOの推定によると、軽度のうつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害の場合、紛争環境における年齢標準化および併存疾患調整後のポイント有病率は約13・0％（ピークは16・2％）であると報告されています。 、および双極性障害、統合失調症、重度のうつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害の場合は5・1％（ピーク時は6・5％）。
これをウクライナの人口に適用すると、軽度のうつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害は、570万人。および双極性障害、統合失調症、重度のうつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害は、220万人も発生する可能性があります。
人口のメンタルヘルス問題のリスクを高める可能性のある逆境は、大量殺戮と負傷です。レイプや輪姦を含む、ジェンダーに基づく暴力や暴行行為。性的暴力は家族の崩壊につながり、子供たちを無人にし、世話をせず、子供時代から成人期を通してトラウマを負わせる可能性があります。
戦争の影響を受けた地域のコミュニティにおける精神障害の負担とその短期的および長期的な結果は、戦後の期間中の優先事項でなければなりません。
まだ到底戦後ではありませんが、将来日本がウクライナ難民を引き受けるのであれば、これら精神的ケアについて、政府と医療者は十分に習熟しておかなければなりません。
WHOと他のいくつかの国連関連機関により対策のマニュアルも作成されています。
とにかくメンタルヘルス悪化の予防は、当然戦争の早期終了です。1日でも早い平和の実現を切に望みます。
