ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

認知症

f:id:hiro_chinn:20210925191413p:plain



今回は筆者にとっても決して他人ごとではない認知症に関して書かせていただきます。

 

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。

初期は、加齢による単なる物忘れに見えることが多いでしょう。しかし、仕事や家事など普段やってきたことでミスが増える、お金の勘定ができなくなる、慣れた道で迷う、話が通じなくなる、憂うつ・不安になる、気力がなくなるなどの症状が出てきます。(1)

 

『 専門家によると、それらが老化現象の範囲なのか認知症の兆候なのかを正確に判断するには、詳しい検査が必要だという。米ルイジアナ州にある認知症とその予防のための研究所の創立者であるJeffrey Keller氏は、「加齢とともに記憶力は誰でも低下する。重要なことは、そのような症状そのものよりも、その症状が発生した後の状況だ。例えば大切な物を失くしたと気づいた時に、失くした物を探し出そうとするかや、何かの作業を中断して時間が経過してからでも作業を再開できるかどうかといったことの違いが大きい」と解説する。
 実行機能のスキル(物事の計画、意思決定、複数の作業の同時処理、問題解決能力)の低下は、物忘れよりも脳の健康が悪化していることを示す兆候とされる。そのような実行機能スキルの低下は認知症と診断されるよりもかなり早くから始まると言われている。昨年「JAMA Internal Medicine」に論文掲載された研究によると、アルツハイマー型認知症と診断される6年前から請求書に対する支払い漏れが発生し始め、診断の2年半前にはクレジットカードの信用スコアが低下するという。(3)

米マイアミ大学のJames Galvin氏は、「理解力と判断力が低下し始めた人は、必要のないものを購入したり、詐欺の標的にされる可能性がある」と注意を促している。
 米国アルツハイマー病協会では、時間や場所が分からなくなる、いつもできていたことができなくなるなど、認知症の10の初期症状のリストを示している。(4)

Keller氏によると、それらの症状の現れる頻度が高い場合や、社会生活への影響が深刻であるほど認知症の疑いが高まるとしている。ただし、それらの症状が全て認知症によるものとは限らない。「コントロールされていない高血圧や糖尿病、うつ病、そのほかの病気がないかをまず確認すべきで、それらの可能性を除外してから認知症の詳しい検査を行う」と同氏は解説する。
 認知症の治療法はまだない。ただし、認知機能の低下を遅らせる方法はある。「Life's Simple 7(シンプルな7つの生活習慣)」と呼ばれるもので、具体的には、血圧・脂質・血糖のコントロール、禁煙、健康的な食事、適正体重の維持、運動習慣のことを指す。これに関連して米国心臓協会(AHA)は最近、かかりつけ医に対し、患者の肥満、糖尿病、睡眠障害、難聴、過度のアルコール摂取、社会的孤立、うつ状態を評価・治療することを推奨するステートメントを「Stroke」に発表した。(5)
 これらに加えてKeller氏は、認知機能を維持するために人々ができることをもう一つ提案している。それは、絶えず新しいことを学び挑戦することだという。「新しい言語を学び、興味のある領域の知識を深め、新しい趣味を見つけること。そのようなことが脳の柔軟性や認知機能の維持にとってとても重要だ」と同氏は述べている。』(2) 

とAmerican Heart Association News (2021年5月19日)に掲載されています。

 

具体的にシンプルセブンとは、

① 禁煙
② BMI(<25)
③ 運動(週150分以上)
④ 健康ダイエット⦅ダイエットは以下の5項目(1)フルーツと野菜>4.5カップ/週 2)魚23.5oz/週以上 3)線維質立リッチ 4)塩分<1500mg/日 5)砂糖<450cal/週⦆
⑤ 総コレステロール(<200)
⑥ 血圧(<120/80)
⑦ 空腹時血糖(<100)

です。ただしこれは、スコアリングされており詳しくはサイトに直接アクセスしてみてください。

 

新しいことにチャレンジする。新しいテーマに関して色々検索・工夫してブログを書く。これは認知症予防にすごくいいことなんだと思います。

誰しも自分が将来認知症になって、家族や社会に迷惑をかけたくないと思っています。しかし認知症をある程度予防する方法があるということが、我々に少しの安心感を与えてくれます。

頭も体も使って健康的な生活をすることが、すべての病気の予防につながるんだと改めて確認しました。

 

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

参考文献

1)知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス総合サイト 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html

2)American Heart Association News 2021年5月19日
https://international.heart.org/ja

3)2020年11月30日
アルツハイマー病および関連する認知症の財務プレゼンテーション
JAMAインターンメッド。2021; 181(2):220-227。doi:10.1001 / jamainternmed.2020.6432
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2773241

4)Alzheimer's Association  アルツハイマー病の10の初期の兆候と症状
https://www.alz.org/alzheimers-dementia/10_signs

5)生活のシンプルセブン(7つの生活習慣)は心不全,狭心症,脳卒中,認知症等のリスク低下に関連
American Heart Association's Life's Simple 7: Avoiding Heart Failure and Preserving Cardiac Structure and Function.
Am J Med 2015;128:970-976  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25908393/

https://dobashin.exblog.jp/21905289/