ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

老化を肯定的に捉える人は否定的に捉える人より健康で長生きする

 

おはようございます。今日は、大谷選手の試合を見るために朝5時に起きてテレビを見ましたが、残念ながら大谷にホームランは出ませんでした。代わりにジャッジが2本もホームランを打ってしまいましたが、今後にまだまだ期待できますので、応援していきたいと思います。

今朝のブログは、老化に関しての研究を一つご紹介いたします。筆者も含めて年配の人でブログを書く人は多くいるかと思います。

今年2月に「JAMA Network Open」に、全米の50歳以上の約1万4,000人を対象として、老化を前向きに考えることと身体的な健康、健康につながる行動、心理的幸福との関係を調査した結果が掲載されました。

2022 年2 月 9 日
米国の高齢者における、老化に対する満足度と健康および福祉の結果との関連
JAMA Netw Open. 2022;5(2):e2147797. doi:10.1001/jamanetworkopen.2021.47797

結果
4 年間の追跡期間中、参加者 (N = 13,752; 女性 8,120 人 [59%]; 平均 [SD] 年齢 65 [10] 歳; 年齢の中央値 64 歳 ; 11,824 人中 7,507 人の既婚者 [64%]) は、老化に対する満足度の最も高い (対最も低い) 四分位で、身体的健康を改善した (例えば、死亡リスクが 43% 低下した [リスク比、0.57; 95% CI、0.46-0.71])。 

結論
 この研究は、高齢化に対する満足度が高いほど、その後の健康と幸福度が向上することを示唆しています。これらの調査結果は、スケーラブルな老化満足介入が開発され、大規模に展開された場合の潜在的な結果を強調しています。

老化に対する満足度が最も高い人は、満足度が最も低い人に比べて、4年間の追跡期間中の全死亡リスクが43%低いというものでした。また、老化に対する満足度が高い人は、糖尿病、脳卒中、がん、心臓病などの慢性疾患のリスクが低く、認知機能も優れていて、身体活動量が多い傾向にあり、睡眠障害は少なかったとのこと。さらに、そのような人は仲間が多く、楽観的で、より強い目的意識を持っていたとのことです。

さらに以下の記事からもう少し詳しくお伝えします。

@DIME
老化を肯定的に捉える人は否定的に捉える人より健康で長生きする?
2022.09.05
https://dime.jp/genre/1457569/

 

Kim氏とGiasson氏は、老化を前向きに捉えるために、以下のようにアドバイスしている。
1)目的意識を持ち続ける
「退職後に何をしたら良いか分からない」という人がいるが、そのような場合には、価値観に合った何らかの計画を立てることをKim氏は提案する。
「人生の目的は人それぞれだ。家族の優先度が高い人は孫の世話を手伝うなど、家族に貢献できることを見つけてほしい。環境問題に関心があるのなら、環境保全活動に参加すると良い。ボランティア活動は、目的意識を持ち続けるという点でも素晴らしい方法だ」と同氏は語る。

2)老化に対するネガティブな考え方を取り払う
米国立老化研究所によると、運動は心血管疾患、高血圧、2型糖尿病のリスクを低下させ、睡眠を改善し、転倒のリスクを抑制する可能性がある。
「健康的な行動を実践することは、何歳であっても健康増進に役立つということを認識してほしい」と同氏は述べている。

3)社会的な絆を維持する
社会的なつながりを維持することが、健康に良い影響を与える可能性が示されている。そのための具体的な方法としてKim氏は、「失ったものを、何か新しいものに置き換えることが重要だ。例えば、地域のコミュニティーに参加して友人を増やしたり、かつての仲間に会いに行くといったことだ」と解説する。

4)何歳からでも新しいことに挑戦
ある研究によると、新しいスキルを習得した高齢者は、記憶力、自尊心、そして生活の質(QOL)が向上することが示された。「新しいことに挑戦するのに遅すぎるということはない。また、新しい興味の対象を追求するのにも年齢は関係ない」と同氏は語っている。(American Heart Association News 2022年8月19日)

意識と行動をより前向きに変えることで健康と長寿が得られる可能性があるという研究結果でした。

幸いコロナから無事回復した筆者にとって、是非ともこれからの生活の指針にしたいと思います。