ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

第5波の終わりに考えること

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今日本ではコロナウイルスのデルタ株が蔓延していますが、今後も様々な変異株の出現には大いに注意を払っていく必要があります。

 

感染は日米が中心、ワクチン効果を低下させる危険なR.1変異株に科学者たちが警戒強める
9/24(金) 18:07配信 ニューズウィーク日本版

 

R-I変異株。筆者には聞きなれない変異株でしたので少し調べてみました。

ニューズウィーク日本版の記事で、

新型コロナウイルスの変異株データサイト「Outbreak.info」によれば、9月24日現在でR.1が検出された人は、世界全体で1万573人に上る。
これまでの検出数はアメリカと日本が世界で最も多く、それぞれ2266人と7521人となっている。
米疾病対策センター(CDC)によれば、R.1株には、抗体が働く際の標的となる「スパイクタンパク質」にW152L変異が見られ、それが抗体の効果を低下させる可能性がある。

 

日本国内ではどうなのでしょう?

東京都健康安全研究センターのホームページを見てみました。

 

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東京都健康安全研究センターのデータでは、現在はL452R(デルタ株)にほぼ置き換わっているようです。

 

ところで前回、前々回とワクチンブースターに関しての記事を書かせていただきましたが、
drhirochinn.work

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新しい動きがあったようです。

 

ACIPブースター勧告に関するCDC声明
プレスリリース
即時リリースの場合:2021年9月24日金曜日

 

ACIPブースター勧告に関するCDC声明

本日、CDCディレクターのRochelle P. Walensky、MD、MPHは、特定の集団におけるファイザー-BioNTech COVID-19ワクチンのブースターショットに関するCDC諮問委員会(ACIP)の勧告を承認し、それらの集団に対するブースター用量も推奨しました。高リスクの職業的および制度的設定で。食品医薬品局(FDA)の承認とCDCの使用に関するガイダンスは、ウイルスの先を行き、アメリカ人の安全を守るための重要な前進です。

CDCからのこの更新された暫定ガイダンスにより、COVID-19のリスクが最も高い何百万人ものアメリカ人が、保護を強化するためにファイザー-BioNTechCOVID-19ブースターショットを受け取ることができます。

CDCの推奨事項:

65歳以上の人と長期ケア環境の居住者は 、ファイザー-バイオエヌテックのプライマリシリーズの少なくとも6か月後に、ファイザー-バイオエヌテックのCOVID-19ワクチンのブースターショットを受け取る必要があります 。
50-64歳の人 の医療条件の基礎となる 必要がある のファイザー-BioNTechのCOVID-19ワクチンのブースターショットを受け取る 少なくとも6ヶ月の彼らのファイザー-BioNTechプライマリーシリーズの後、
基礎疾患の ある18〜49歳の人々  は、個々の利点とリスクに基づいて、ファイザー-バイオエヌテックのプライマリシリーズの少なくとも6か月後に、ファイザー-バイオエヌテックのCOVID-19ワクチンのブースターショットを受け取る可能性があります。
職業的または制度的設定のためにCOVID-19曝露および感染のリスクが高い18〜64歳の人々は 、ファイザー-バイオエヌテックプライマリーシリーズの少なくとも6か月後に、ファイザー-バイオエヌテックのCOVID-19ワクチンのブースターショットを受け取る可能性があります。彼らの個々の利益とリスクについて。
ブースターショットを受ける資格のある人々の多くは、ワクチン接種プログラムの早い段階で最初のワクチンを接種し、追加の保護の恩恵を受けるでしょう。循環株としてのデルタ変異体の優位性とCOVID-19の症例が全米で大幅に増加しているため、ブースターショットは、COVID-19または合併症への曝露のリスクが高い集団の重篤な疾患に対する保護を強化するのに役立ちます重度の病気から。

CDCは、すべてのアメリカ人を安全に保つための適切な推奨事項を確実にするために、COVID-19ワクチンの安全性と有効性を引き続き監視します。また、今後数週間で同様の緊急性のある利用可能なデータを評価して、ModernaまたはJohnson&Johnsonワクチンを接種した他の集団または人々に対して追加の推奨事項を迅速に作成します。

(1)

CDC がバイデン大統領の意をくんでかブースターショットにGoサインを出しました。

しかし当初、CDC諮問委員会(ACIP)の勧告には医療従事者は入っていなかったとのことですが、CDCのディレクターであるRochelle Walensky、MDが、その勧告を覆し、18〜64歳を最終決定に含めることを決定したとのことです。(2)

約2600万人のアメリカ人がファイザーワクチンの最後の投与を少なくとも6か月過ぎており、3回目の接種を受ける資格があります。それらの約1360万人は65歳以上です。別の530万人は50-64歳です。

免疫化実施諮問委員会は、COVID-19の負担と感染のリスクが高い場所に住んでいる、または働いている18〜64歳の成人である4番目のグループのブースターを検討しましたが、ほとんど拒否されました。  

 

なぜ最初、医療従事者を除外したのか筆者にはよくわかりません。

 

ところで現在日本国内では感染者数が減少して、行動制限緩和に向けて方法を模索している最中ですが、こういう時ですからまず第5波中の課題を探り対策を考えるべきです。

自宅放置死250人は「人災」 英米のコロナ対策を知る日本人医師が指弾〈週刊朝日〉
9/23(木) 8:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/912291748260eac6d17d1a36432816a5fc46282a?page=1

この中で、

新型コロナウイルスに感染し、自宅などで死亡した人が、8月に全国で250人に上った。7月の31人から急増し、過去最多となった。第5波が猛威を振るった8月、政府は重症患者や、中等症でも重症化リスクの高い患者以外は自宅療養を基本とする「入院制限」を打ち出した。デルタ株による感染爆発から医療逼迫(ひっぱく)を防ぐ狙いだ。本来、入院や宿泊療養をするべき状態なのに、自宅療養を余儀なくされる人が続出する結果となっている。

 

この春まで英キングス・カレッジ・ロンドンの教授を務め、5月に帰国した渋谷健司医師は、

保健所の職員が自宅療養の患者さんを観察し、入院が必要かどうかを判断するなんて無理です。最初から医療にかからなければ症状の急変には対処できません。酸素ステーションの設置も、後手の対策を象徴している。酸素が取り込めなくなった人に、酸素だけ投与して回復するわけがない。入院してきちんと治療しなければなりません。ネックとなっているのは病床不足で、大規模な専門病院が必要なことは昨年からわかっていたこと。お手上げになったら患者を自宅放置なんて、あり得ないくらいひどい話です」

「中小の民間病院にコロナ患者の受け入れを求めるのは酷です。やはり大きな急性期病院でベッドを50床、100床と確保しないと対応できません。その役割は当然、公的病院が負うべき。国立病院機構や、尾身茂さんが理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)はすぐにでもコロナ対策病院としてベッドを確保すべきです」

「コロナは無症状感染があるので、症状がなくとも学校で定期的に検査を実施すること。日本はいまだにマイクロ飛沫と言っているが、主な感染ルートはエアロゾルによる空気感染です。教室にCО2モニターを置いて換気を見える化し、12歳以上の子どもと保護者、教師はワクチンを接種する。ワクチン、検査、換気、不織布マスクの4点セットで学校を成り立たせていくのです」

と話されています。

 

筆者は過去に色々記事を書かせていただいて、今のコロナ政策に対して思っていたことをすべて語っていただいています。

全くその通りであると思います。

自民党総裁選挙で4候補が各種政策を議論していますが、上記の事実への言及なしでは、この先のコロナ対策も厳しい結果になると思われます。

 

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

 

参考文献

1)ACIPブースター勧告に関するCDC声明
プレスリリース
即時リリースの場合:2021年9月24日金曜日https://www.cdc.gov/media/releases/2021/p0924-booster-recommendations-.html

2)ニュース> Medscape MedicalNews > ニュースアラート
CDCチーフはパネルを却下し、医療従事者のためのブースターをOK
ブレンダグッドマン、マサチューセッツ州 2021年9月23日 https://www.medscape.com/viewarticle/959389

 

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