ワクチンの効果減弱とデルタ株の蔓延に伴い、ワクチン接種の3回目投与は、不可避の状況になってきました。8月15日に上記記事を書かせていただいた時には、まだリアルワールドのデータがありませんでしたがやっとサンプルサイズの大きなデータが出てきました。
原著
イスラエルのCovid-19に対するBNT162b2ワクチンブースターの保護
2021年9月15日
DOI:10.1056 / NEJMoa2114255
結果
非ブースターグループには、約520万人(重度の病気の分析では460万人)が含まれ、4439の感染が確認され、294の重度の病気が発生しました。ブースターグループには、約1,060万人(重度の病気の分析では630万人)が含まれ、934件の感染が確認され、29件の重度の病気が発生しました。
確認された感染率は、ブースターグループの方が非ブースターグループよりも11.3倍低かった(95%信頼区間[CI]、10.4〜12.3)。
重度の病気の発生率は、ブースターグループの方が非ブースターグループよりも19.5倍低かった(95%CI、12.9〜29.5)。
二次分析では、ワクチン接種後少なくとも12日で確認された感染率は、接種後4〜6日での感染率よりも大幅に低かった(率比5.4; 95%CI 4.8〜6.1)。
ブースター投与を受けてから12日から25日の期間中の毎日、ブースター群の感染率は非ブースター群よりも7倍から20倍低かった。
議論
6か月前に投与されたワクチンの有効性が約50%に低下するとします。
追加免疫投与により、そのようなワクチン接種者の感染率が10分の1に減少するとします。
これは、追加免疫投与を受けた人の感受性が約5%に低下することを意味します。
追加免疫レシピエントのワクチン効果は約95%になります。これは、アルファバリアントに対して報告された元のワクチン効果と同様の値です。
イスラエルは、60歳以上で、少なくとも5か月前にワクチン接種を受けたすべての人に、Covid-19に対するBNT162b2ワクチンの3回目の接種を提供した世界で最初の国でした。それ以来、イスラエルはブースタープログラムを全人口に拡大してきました。
結論
60歳以上で、少なくとも5か月前にBNT162b2ワクチンを2回接種した参加者を対象としたこの研究では、ブースターを受けた人の中で確認されたCovid-19と重篤な病気の割合が大幅に低いことがわかりました。
ちなみに
CDCの2021年9月1日更新のホームページで、COVID-19ワクチンブースターショットに関して以下のように記載されています。
「 COVID-19ワクチンブースターはいつ入手できますか?
すぐにではありません。目標は、人々が秋からCOVID-19ブースターショットを受け始めることであり、個人は2回目のmRNAワクチン(ファイザー-バイオエヌテックまたはモデルナ)の2回目の接種から8か月後に資格を得ることができます。これは、米国食品医薬品局による承認と、CDCの予防接種実施諮問委員会(ACIP)による推奨の対象となります。FDAは、mRNAワクチンの追加免疫の安全性と有効性を判断するために独立した評価を行っています。ACIPは、証拠の徹底的なレビューに基づいて、追加接種の推奨を発行するかどうかを決定します。
ブースター用量を最初に摂取するのは誰ですか?
FDAが承認し、ACIPがブースター用量を推奨している場合、2021年初頭に利用可能になったときに最初にCOVID-19ワクチン接種を受けた人(たとえば、最もリスクの高い人)がブースターの対象となる最初の人になる可能性があります。これには、医療提供者、介護施設の居住者、およびその他の高齢者が含まれます。」
日本ではアメリカに追随することが多いためCDCの考えを載せさせていただきましたが、世界的な流れはNHKが詳しく報じています。
ワクチン“3回目接種”実施へ 時期は?対象者は?最新情報まとめ
2021年9月17日 19時53分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210917/k10013264591000.html
『 海外の状況ですが、対象者は国によって異なります。
▽イスラエルは12歳以上
▽フランスは65歳以上の人や重度の免疫不全がある人、高齢者施設の入居者など
▽ドイツは60歳以上の人や高齢者施設の入居者、免疫不全がある人、感染者と定期的に接触する医療従事者や救急隊員などが対象です。
▽イギリスは今月から50歳以上の人や現場で働く医療従事者や介護職員、基礎疾患がある人などを対象に追加接種を始める予定です。
▽アメリカも現在、対象としている中等度以上の免疫不全がある人に加え、今月から2回目の接種を終えて8か月以上たった人も対象に加えることを検討していて17日夜、判断することにしています。
厚生労働省は対象となる人や開始する時期について今後、検討することにしています。』
と報じています。
まだ1回も打っていない方もいますので、その兼ね合いもあると思いますが、実際問題同時並行でやっていくしかないでしょう。
いずれにしろ決断を早くして、しっかり計画的に接種していくべきと思います。
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