ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

スクリーンタイム 2

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以前screen  timeに関する記事を書かせていただきました。

今回もこのスクリーンタイムと子供の関係についての論文をご紹介いたします。

Original Investigation
January 31, 2022  JAMA Pediatrics
1歳の子供におけるスクリーン時間曝露と3歳の自閉症スペクトラム障害との関連
日本の環境と子どもの研究
doi:10.1001 / jamapediatrics.2021.5778
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2788488

日本で実施された大規模な出生コホート研究から得られたデータを使用して、合計84030人の母子ダイアドが分析されました。女児ではなく男児の間で、1歳でのより長いスクリーニング時間は、3歳での自閉症スペクトラム障害の診断と有意に関連していた。

結論と関連性
男児では、1歳でのより長いスクリーニング時間は、3歳での自閉症スペクトラム障害と有意に関連していた。デバイスの使用が急速に増加しているため、乳児に対するスクリーニング時間の健康への影響を確認し、過剰なスクリーン時間を制御する必要があります。

「自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)」は、対人関係が苦手・強いこだわりといった特徴をもつ発達障害の一つです。近年では、早ければ1歳半の乳幼児健康診査でその可能性を指摘されることがあります。
自閉スペクトラム症には、対人関係やこだわりの特性がきわめて強い状態だけでなく、これらの特性が少しでもあることによって生活に支障を来し、福祉的・医療的サポートが必要な状態まで幅広く含まれます。最近の調査では子どものおよそ20~50人に1人が自閉スペクトラム症と診断されるともいわれています。男性に多くみられ、女性の約2~4倍という報告があります。

 

スクリーンタイムが自閉症の発症にも影響します。重大な問題です。まさに親の責任になってきます。

スクリーンタイムとは座位行動であり、長くなると子供の心身に悪影響が出ます。

WHOでは、ガイドラインを定めて人々を啓発しています。

WHO身体活動・座位行動 ガイドライン  要約版

子供と青少年(5–17 歳)

子供や青少年では、身体活動により、体力(心肺体力・筋力)の向上、心血管代謝 の健康(血圧、脂質異常症、血糖値、インスリン抵抗性)、骨の健康、認知的健康(学業成績、実行機能)、精神的健康(うつ症状の軽減)、および肥満の減少といった様々な健康効果が得られる。

推奨:
1週間を通して、1日平均60分以上の中強度から高強度の身体活動(主に有酸素性身体活動)を行うべきである。
強い推奨、中等度のエビデンスレベル

高強度の有酸素性身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動は、少なくとも週3日は取り入れるべきである。
強い推奨、中等度のエビデンスレベル

• 少しの身体活動でも、何もしないよりは良い。
• 推奨量を満たしていない場合でも、ある程度の身体活動により健康効果が得られる。
• 身体活動は少しずつ行い、時間をかけて徐々に頻度、強度、継続時間を増やしていくべきである。
• すべての子供や青少年に安全で公平な機会を提供し、支援することで、楽しく、多様な身体活動と年齢や能力に応じた身体活動に参加できるようにすることが重要である。

子供や青少年では、座りすぎは、肥満の増加、心血管代謝の悪化、体力の低下、向社会的な行動の低下、および睡眠時間の減少といった悪影響を及ぼす。
推奨:座りっぱなしの時間、特に余暇時間におけるスクリーンタイムの時間を減らす必要がある。
強い推奨、低いエビデンスレベル

もちろんWHOは、すべての成人にも定期的な身体活動を推奨しています。

ブログの書きすぎはよくなさそうですので、今日はこの辺でやめにします。

 

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。