ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

人工甘味料

 

食の安全に関しては、我々消費者側からすると安全と危険の選別からして非常にむつかしい問題です。例えば、食品添加物に関して、一般社会で広範囲に使用された後で安全性への疑問がわいてきます。

今回のテーマは人工甘味料です。

摂取カロリーを抑えて虫歯を予防するのに役立つ人工甘味料は、身の回りにある飲料や食べ物に広く使われていますが、過去の研究では糖尿病を引き起こす可能性があることや、致死性の感染症の急増を引き起こしていることも指摘されています。さらに、10万人以上を対象にしたフランスの新しい研究により、人工甘味料の摂取ががんのリスク上昇に関係していることが分かりました。

 

PROS MEDICINE
人工甘味料とガンのリスク:NutriNet-Santéの人口ベースのコホート研究の結果
公開日:2022年3月24日  https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1003950
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1003950#sec009

方法と調査結果

フランスの人口ベースのコホートNutriNet-Santé(2009–2021)の102,865人の成人が含まれていました(追跡期間中央値= 7.8年)。
参加者から提出された食事記録を元に、各個人の人工甘味料の消費量を推測したところ、人工甘味料の摂取源として最も多かったのはノンシュガーのソフトドリンクで、参加者が期間中に摂取した人工甘味料の53%がソフトドリンク由来でした。これに次いで多かったのは、卓上調味料の29%とヨーグルトおよびカッテージチーズの8%でした。
人工甘味料の種類ごとに見ると、アスパルテームが総摂取量の58%を占めており、アセスルファムKの29%とスクラロースの10%がこれに続きました。

討論
この大規模な人口ベースのコホート研究の結果は、人工甘味料(特にアスパルテームとアセスルファムK)の摂取量の増加と全体的な癌リスクとの間に正の関連があることを示唆しています。より具体的には、アスパルテームの摂取は、乳がんおよび肥満関連のがんの増加と関連していました。
今回の大規模なコホート研究で、世界中の多くの食品や飲料で使用されている人工甘味料、特にアスパルテームとアセスルファムKが、がんリスクの増加と関連していました。この調査結果は、世界中の保健機関が人工甘味料の安全性の再評価をする上で重要かつ新しい視点を提供するものです。

人工甘味料とは下記のような位置にあり、問題なのは非糖質系甘味料の中の合成甘味料です。

Sweeten the Future 糖で生活を健やかに
人工甘味料の種類と特徴! 栄養士が考えた上手な使い方
https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=2062

 

日本で主に使われる人工甘味料4種
1)アスパルテーム(aspartame:C14H18N2O5)
アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンを縮合し製造された甘味料で、砂糖の約200倍の甘みがあります。


2)アセスルファムK(acesulfame potassium:C4H4NO4S・K)
砂糖の約200倍の甘みがあります。甘味の発現が早く安定性が高いため、日本では飲料、ドリンク剤、麺つゆなどに使用されています。アスパルテームとの併用で砂糖に近い甘味を感じます。

爽やかで変な甘みが少なく「後味がスッキリしていて、キレが良い」と感じるのが、アセスルファムKの甘みの特徴です。
水に溶けやすく、ビール、缶チューハイ、炭酸飲料などの「苦味や渋味を感じる飲み物」への使用を良く見かけます。

下記の飲料に使用されている可能性があります。

3)スクラロース(sucralose:C15H19Cl3O8)
砂糖の約600倍の強い甘みがありますがカロリーには換算されません。
保存・加熱安定性も良く、甘味特徴から飲料をはじめ菓子・ 菓子パン、デザート、惣菜・漬物など幅広い食品で使用されています。

4)サッカリン (saccharin:C7H5NO3S)
砂糖の200~700倍の甘みをもち、日本ではサッカリン、サッカリンNa、サッカリンCaが添加物として認められており、最終製品への残存量も食品分類毎細かく定められています。

田中消化器科クリニック
https://www.tanaka-cl.or.jp/aging-topics/topics-091/

ビール部
https://beer-beer.net/?p=1833#K-4

たばこもそうですが生産する企業は問題ないといい、消費者の健康を守る側の科学者は健康被害のデータを出してきます。

この人工甘味料に関しては、今後も研究に注意していく必要があります。

しかしよくよく考えてみると、この世の中の環境にあるすべてのものが人間も含めて我々に悪影響を与えます。戦争によって人間は直接他人の命を奪うし、人工甘味料も我々の健康に直接的に被害を与えます。つまり我々に害をなすあらゆるものの健康被害への寄与率を、正確に教えてくれる研究やデータを見てみたいという気持ちに筆者はなりました。