日本国内でオミクロン株感染が一番進行している沖縄からの積極的疫学調査の結果です。
沖縄県におけるSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)症例の実地疫学調査報告
(速報掲載日 2022/1/11)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2488-idsc/iasr-news/10885-504p01.html対象と方法
2021年12月1日~2022年1月1日に沖縄県で確認されたSARS-CoV-2検査陽性例〔新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例〕のうちウイルスゲノム解析によりオミクロン株であることが確定したオミクロン株確定例(確定例)について、県内の保健所が実施した積極的疫学調査結果(調査票)、県衛生環境研究所からの検査結果、関係者からの聞き取り調査の情報を用いて、記述疫学を行った。結 果
確定例の基本属性は、男性は24例(48%)、女性は26例(52%)、年齢中央値は44歳(四分位範囲27-53歳、範囲6-89歳)であった。新型コロナワクチン接種歴は、2回接種完了者(2回接種後2週間以上経過した者)33例(66%)、部分接種者(1回接種者および 2回接種後2週間を経過していない者)3例(6%)、未接種者14例(28%)であった。
症状の内訳は、37.5℃以上の発熱75%、咳60%、全身倦怠感52%、咽頭痛46%、鼻水・鼻閉38%、頭痛33%、関節痛25%、呼吸困難8%、嗅覚・味覚障害2%であった(重複あり)。なお、この50例について、その後重症例や死亡例は、1月10日時点で確認されていない。
確定例の推定感染源は、職場内14例(28%)、家族内13例(26%)、家族や親戚、友人等との集まり(会食や法事)9例(18%)、県外0例(0%)、不明・調査中14例(28%)であった。
行動歴や確定例との接触情報から、推定曝露機会が特定できた17例における潜伏期間(有症状のみ)の中央値は3日(範囲2-5日)。
独居を除く22例の初発症例の同居家族内濃厚接触者が健康観察期間に検査陽性となった割合(同居家族の二次感染割合)(同居家族内の初発症例との最終接触日~1月10日時点での健康観察期間14日経過を対象とした場合の症例数÷同居者数)を算出した結果、31%であった。なお、対象となった初発症例22例のうち、27%に当たる6例において同居家族内濃厚接触者全員が感染していた。考 察
県内初発確定例が認められてから、症状の有無を問わず、幅広く検査が実施されており、探知された症例の年齢層は広く、有症状者が多かった。また、2回ワクチン接種完了者が半数を超えていた。以上から、ワクチン接種の有無を問わず、引き続きマスク着用、手指消毒、三密(密集・密接・密閉)の回避など、感染予防対策の徹底が必要である。
同居家族の二次感染割合は、これまで国内では26.1%7)、海外では11.3%(ワクチン2回接種完了者)、25.8%(未接種者)8)との報告があるが、今回の同居家族の二次感染割合は31%であった。さらに、同居家族全員が感染した家庭も27%認められた。家族内初発例や同居家族全員がワクチン接種完了者であっても感染伝播を認めており、同居家庭内、特に高リスク者がいる家庭おける感染拡大を防ぐためには、家庭に持ち込まないように社会生活における感染予防策の徹底を引き続き講じる必要がある。
SARS-CoV-2ワクチン接種歴を見ますとワクチン接種完了後に感染するブレークスルー感染が7割近く確認されました。
また、オミクロン株確定例の潜伏期間は3日(範囲2~5日)であり、これまで国内や海外で報告されているオミクロン株以外の潜伏期間の4.8日または5.1日よりも短かった。このことから、急速な患者数の増加とそれに伴う濃厚接触者数の増加が予想され、宿泊療養施設や医療機関の逼迫が懸念されます。
軽症者が多いことからすると、医療機関の負担軽減のためにも、宿泊療養施設の更なる拡充が求められます。