最近の記事で免疫のお話をさせていただきましたが、実際に我々の体の、感染症に対する免疫力を上げる方法が、あるかどうかについて今回は、考えてみたいと思います。
調べ始まるとこのテーマは、非常に奥が深いし、筆者にとってかなり大きいテーマであることに、すぐに気が付きました。
しかし無謀にも、このテーマに切り込んでいこうと思います。
免疫力の指標ってあるのだろうか?
白血球数、リンパ球数
T細胞数、CD8陽性CD28陽性T細胞数、CD4/CD8
細胞数比、ナイーブT細胞数、ナイーブT細胞/メモリーT細胞数比、B細胞数、
カンジダマンナン抗原量 、唾液中カンジダ菌数
NK細胞数、NK細胞活性、唾液中IgA ( ほかにも色々あると思います)
或いはこれらを組み合わせたスコアを、いくつかの施設が考案し発表しています。
自然免疫の機能は18~20歳でピークを迎え、その後低下の一途をたどります。また、免疫機能の中で最も重要なT細胞の分化場所である胸腺は体内で一番老化が早いため、加齢は自然免疫の低下だけではなく、加齢による胸腺の退縮がT細胞の老化につながり、獲得免疫の衰えの原因にもなるといわれています。
昨年12月15日に開催された第3回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナー「感染症と免疫」において、『免疫老化とミトコンドリア』についての講演の中で、
森下 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 寄附講座教授)は、免疫老化を食い止めるための方法として、ミトコンドリアの老化を助けることが鍵だと話しています。
ミトコンドリアは細胞の中のエネルギー生産工場で、中和抗体を作るB細胞などあらゆる細胞の活性化に影響します。
しかし、ミトコンドリアも加齢とともに減少傾向を示すことから、この働きを助けるコエンザイムQ10(CoQ10)の補充が重要だといいます。
また、自然免疫のなかでも口腔内に多く存在し、口腔内に侵入したSARS-CoV-2を速やかに攻撃、粘膜への付着や体内への侵入阻止するIgAもこのCoQ10の摂取により増加傾向が示唆されています。
Shimizu K, et al. Japn J Altern Complement Med. 2015;12:37-43.
さらに森下先生は、免疫を上げる工夫として還元型CoQ10の多い食品(イワシ:約6.4mg、豚肉:約3.3mg[各100g中の含有量])を食べたり、プラスαとしてサプリメントなどを活用したりして、体内のCoQ10量を増やすことを心がけてほしい、と言われております。
実はこの CoQ10 は、ノイキノン(一般名 ユビデカレノン)といって、うっ血性心不全の治療薬として、1978年4月という大昔に薬価収載、販売開始されており、長年使用されて安全性の高い薬です。
厚労省がホームページに掲載しています。
免疫力を強化する可能性がある物質の一つだと思います。
一般的な生活習慣や食習慣の見直しも、非常に大切であると思います。
1) 運動をする
適度な運動によって筋肉や骨が刺激を受け、免疫系の機能が落ちかけていた状態をもとに戻してくれるという働きが期待できます。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。
2) 体温を高める
体温が少し上がると、免疫細胞が動きやすくなります。風邪をひいたときに熱が出るのは、免疫細胞ががんばっているという意味に捉えることもできます。
3) バランスのよい食事と、腸内環境への気遣い
1つの食品で免疫機能を高めることはできません。バランスのよい食事をしていれば、からだに必要な糖分、アミノ酸、脂肪分、ビタミンなどは十分摂れます。規則正しい生活をおくり、食べ過ぎない、飲みすぎないことを心がけ、空腹だからと一度にたくさん食べたり、食後すぐに寝てしまったりという過ごし方も避けましょう。食べた食品が効率よく消化吸収され、代謝をよくするといった腸内環境を整える意識も必要です。ヨーグルトや納豆などの発酵食品を適度にとるのもおすすめです。
4) 過剰なストレスは、免疫細胞の機能を低下させます
適度な有酸素運動を毎日続ける、入浴時にはシャワーだけでなくぬるめのお湯にゆっくりつかる、バランスのよい食事を規則正しく摂る。当たり前に聞こえるこれらのことを、1回、2回だけ意識して行うのではなく、日々習慣化し、続けていくことが大切です。
この種の記事は、医療機関、健康産業関連会社、地方自治体などが、ネットにたくさん上げています。
エビデンスレベルが不明ではありますが、常識的に考えて体に良いことは、免疫強化にも好ましいだろうと考えられます。
繰り返しになりますが、このテーマは、腫瘍免疫さらには大きなテーマである、老化の防止につながっていきます。
今回は以上にさせていただいて、今後の宿題報告とさせていただきます。
最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
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