ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

COVID-19ワクチンの2回目の接種後9か月までの感染、入院、および死亡のリスク

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6か月以降のワクチンの効果に関するデータが少しずつ発表されてきています。

スウェーデンの全人口を対象に、ワクチン接種後の最初の9か月間の感染、入院、および死亡のリスクに対するCOVID-19ワクチン接種の有効性を調査した論文が発表されました。

 

The Lancet Journal
記事| オンラインファースト
COVID-19ワクチンの2回目の接種後9か月までの感染、入院、および死亡のリスク:スウェーデンでの遡及的全人口コホート研究
公開日:2022年2月4日DOI:https ://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00089-7
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)00089-7/fulltext

 

ChAdOx1 nCoV-19(Oxford-AstraZeneca製)、mRNA-1273(Moderna製)、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後、症状の程度を問わない新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染に対するワクチン有効性は、BNT162b2は4~6ヵ月で47%に減少、7ヵ月後には有意な有効性が認められなかったが、mRNA-1273では6ヵ月以降も59%を維持していた

入院や死亡などを伴う重症COVID-19に対する予防効果は、BNT162b2では接種から日数の経過に従い低下し、接種後15~30日で92%(95%信頼区間[CI]:92~93、p<0.001)、121~180日で47%(39~55、p<0.001)、211日以降で23%(同:-2~41、p=0.07)だった。mRNA-1273の同有効性の低下はやや緩やかで、接種後15~30日で96%(95%CI:94~97、p<0.001)、181日以降で59%(18~79、p=0.012)だった。ChAdOx1 nCoV-19とmRNA-1273のそれぞれ1回接種群でも同有効性の低下はやや緩やかで、接種後15~30日で89%(79~94、p<0.001)、121日以降で66%(41~80、p<0.001)だった。
対照的にChAdOx1 nCoV-19については、接種後15~30日のワクチン有効性は、68%(95%CI:52~79、p<0.001)で、121日以降は有効性を検出できなかった(有効性:-19%、95%CI:-98~28、p=0.49)。
また、全体として女性よりも男性のほうがワクチンの有効性は低く、若年者よりも高齢者のほうがワクチン有効性が低いとのエビデンスも認められた。

これは、論文の調査期間からしてデルタ株のデータと思われます。

ファイザー社製ワクチンにおいて、感染予防効果は、7か月後ではほぼ0。重症化予防効果は、7か月後で23%。

モデルナ製ワクチンにおいては、感染予防効果は、6か月以降も59%を維持していました。

アストラゼネカ社製ワクチンにおいては、121日以降は重症化予防の有効性を検出できませんでした。

つまり1,2回目でファイザー社製ワクチンを多くの人が打った日本では、3回目追加接種時点で、感染予防効果はほぼ0.重症化予防効果も23%だったわけです。

高齢者のほうがワクチン有効性が低いとのエビデンスも認められており、デルタ株よりオミクロン株のほうがさらに予防効果が減ることを考えると、ほとんど1,2回目のワクチンの効果が消えてしまった高齢者が日本全国にたくさんおられるということになります。

ちなみに、首相官邸ホームページによりますと、2月17日時点で3回目接種の全人口における割合は、12.6%です。

この状況に対する責任は、まず現政権が負わなければなりません。

そして何が何でも国民すべてが協力して、ワクチン接種をスピードアップしなければいけません。

本日も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。