ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

5~11歳のコロナワクチン2

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以前、子供のワクチン接種に関して、11月15日時点での岡部先生のご意見を掲載させていただきました。

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しかし今後第6波が来てその際子供の感染者が増加していく可能性があります。なぜなら子供はワクチンの対象者からずっと外れていますので。

これに対して帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授の高橋謙造氏が意見を述べられています。

「子どもはコロナ感染しても大丈夫」は過去の話…米国で起きた「異変」【小児科医が解説】
12/28(火) 14:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee223f69d17b12d1da305e457575d96d432a09ed?page=1

 

従来、子どもが新型コロナウイルスに罹患しても重症化の恐れはないという見方が一般的であり、ワクチン接種などの感染対策も、より感染リスクの高い人々を中心に据えて進められてきました。ところが今米国で、小児の重症化症例が急増しているのです。

デルタ株出現後、米国で「小児感染者の入院」が急増

米国医師会雑誌(JAMA:Journal of American Medical Association)が扱っているNews From the Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病管理予防センターからのニュース)というセクションによれば、デルタ株(B.1.617.2)が主要な循環株となったことで、2021年の夏、米国の小児および青少年層(10-17歳)のCOVID-19による毎週の入院率が5倍に増加したとのことです。

最も顕著だったのは、4歳以下の子ども、および青少年層の10万人あたりの入院件数が0.2件から約2件へと約10倍に増加したことです。

また、パンデミック全体を通して、COVID-19関連の入院率は、4歳未満の小児で最も高く、次いで12歳から17歳の小児群で高くなっています。
しかも、入院した小児の約4分の1が、デルタ株が出現する前後に集中治療を必要とし、人工呼吸を必要とする割合は、デルタ株が広まるにつれて、約6%から10%に増加したとのことです。

日本でも「小児の感染・入院」は「4歳未満」が最多

日本小児科学会が公開している20歳未満児の感染(4,022人、任意登録、2021年12月第4週まで)のデータをみると、感染年齢の上位は1-4歳が28.3%(1,138人)、続いて10-14歳が25.7%(1,035人)、5-9歳が25.6%(1,030人)となっています。
日本においても、第5波で行ったような自宅療養で小児への感染を拡大させると、米国と同様の事態(重症化小児例の増加)が生じてしまう懸念があります。
たとえ重症化はしなくても「長期的後遺症」が生じる可能性があります。

このためワクチンが接種できない世代の子ども達を護るために、周囲の12歳以上が確実にワクチンを接種し、家庭内に感染をもちこまないこと。

3回目接種も含め12歳未満児の保護者や同居人は当然のこと、エッセンシャルワーカーと言われる幼稚園、保育園職員、学校教師なども優先的に接種を行う必要があるでしょう。

と話されています。

今まで日本では大人の感染者が低く抑えられてきましたので、その分、子供の感染は問題視されてこなかった側面があると思いますが、もし子供の感染者や重症者が少しでも増えてきたら本気でワクチンの可否を検討する必要性が出てくると思います。

 

12月31日CDCより発表された週報を2つご紹介します。

罹患率と死亡率の週報(MMWR)
CDC
COVID-19で入院した18歳未満の小児および青年の特徴と臨床転帰—米国の6つの病院、2021年7月から8月
毎週/ 2021年12月31日/ 70(5152); 1766–1772

2021年11月2日に、COVID-19ワクチン接種が5〜11歳の人に推奨されました。
CDCは、6つの小児病院と提携して、2021年7月から8月にCOVID-19関連の入院をした18歳未満の患者の医療記録データを確認しました。

同定された915人の患者のうち、713人(77.9%)がCOVID-19(入院の主な理由または原因としての急性COVID-19)で入院し、177人(19.3%)が偶発的に陽性のSARS-CoV-2検査結果(無症候性または軽度)を示しました。

25人(2.7%)は、COVID-19に関連するまれではあるが深刻な炎症状態である小児多系統炎症性症候群(MIS-C)を患っていました。

COVID-19で入院した713人の患者のうち、24.7%が1歳未満、17.1%が1〜4歳、20.1%が5〜11歳、38.1%が12〜17歳でした。患者の約3分の2(67.5%)は、1つ以上の根本的な病状を持っており、肥満が最も一般的(32.4%)でした。12〜17歳の患者では、61.4%が肥満でした。COVID-19のための入院患者のうち、15.8%はウイルスの同時感染していた(そのうちの66.4%は呼吸器合胞体ウイルス[RSV]感染症でした)。

 COVID-19で入院した患者の約半分(54.0%)が酸素サポートを受けました。29.5 %が集中治療室(ICU)に入院し、1.5%が死亡しました。呼吸補助が必要な人のうち、14.5%が侵襲的人工呼吸(IMV)を必要としました。

18歳未満の915人の患者のうち、713人(77.9%)がCOVID-19で入院し、177人(19.3%)が偶発的なSARS-CoV-2感染症であり、25人(2.7%)がMIS-C(2.7%)でした。
COVID-19で入院した患者のうち、210人(29.5%)がICUに入院し、8人(1.1%)がECMOを受け、11人(1.5%)が死亡しました。酸素サポートを受けたCOVID-19で入院した385人(54.0%)の患者のうち、高流量鼻カニューレが最も一般的な最高レベルのサポートでした(142; 36.9%)。56人(14.5%)の患者がIMVを受けました。すべての年齢層で、入院期間の中央値は3日、IMV期間の中央値は7日でした。

基礎疾患のない患者(18.5%)と比較して、基礎疾患のあるCOVID-19で入院した患者の割合が高く(34.7%)、入院期間は、肥満のない患者(中央値= 2日[IQR = 1。0 – 5。0日])よりも肥満のある患者(中央値= 4日[IQR = 2。0 – 7。5日])の方が長かった(p <0.001)。
入院率は、完全にワクチン接種された青年と比較して、ワクチン接種されていない青年の間で10倍高いことが示されています。

この研究は、COVID-19で入院したワクチン未接種の子供が重篤な疾患を経験する可能性があることを示し、個人の保護を提供し、まだワクチン接種を受ける資格のない子供を保護するために、資格のあるすべての子供にワクチン接種することの重要性を強調します。

 

CDC
5〜11歳の子供におけるCOVID-19ワクチンの安全性—米国、2021年11月3日〜12月19日
毎週/ 2021年12月31日/ 70(5152); 1755–1760

このレポートは、VAERSからの予備的な安全性の調査結果と、5〜11歳の子供に約800万回分のファイザー-BioNTechCOVID-19ワクチンを投与中に収集されたv-safeデータを提供します。この報告書にまとめた調査結果は、5-11歳のPfizer-BioNTech COVID-19ワクチンを接種した試験参加者の局所(86.2%)および全身(66.6%)の反応を頻繁に報告しました。 ワクチン接種に関連すると判断された重篤な有害事象は報告されていません。
Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンを接種した5〜11歳の子供に関するVAERSの報告では、約97%が非重症でした。年齢層でVAERSに報告された最も一般的な有害事象は、投与ミスに関連していました。
心筋炎は、mRNAベースのCOVID-19ワクチンに関連するまれで深刻な有害事象です。ワクチン関連心筋炎の報告率は、12〜29歳の男性で最も高いようです。現在まで、5〜11歳の子供の心筋炎はまれに見えます。
ファイザー-BioNTechCOVID-19ワクチン接種後の2人の死亡が、複数の慢性病状の子供について報告されました。最初のレビューでは、死亡とワクチン接種の因果関係を示唆するデータは見つかりませんでした。
5〜11歳のv-safe登録者におけるファイザー-BioNTech COVID-19ワクチンの2回接種後の局所(57.5%)および全身(40.9%)反応は、12〜15歳の子供および青年の間で報告された反応よりも報告頻度が低かった。

ワクチン接種は、COVID-19感染を防ぐための最も効果的な方法です。ACIP(Advisory Committee on Immunization Practices 、予防接種諮問委員会)は、COVID-19の予防のために、5〜11歳の子供にPfizer-BioNTech COVID-19ワクチンを推奨しています。

予備的な安全性の所見は、臨床試験で説明されているものと同様です。

Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンを接種された5〜11歳の子供の親と保護者は、ワクチン接種後に局所的および全身的な反応が予想されることを知らされるべきです。CDCとFDAは引き続きワクチンの安全性を監視し、COVID-19ワクチンの推奨事項を導くために必要に応じて最新情報を提供します。

 

ファイザー社製ワクチンが、子供に対してすでに800万回接種され、その安全性をCDCはレポートしています。

筆者は以前から子供にワクチンを打つのであれば、副反応の少ない不活化ワクチンがいいのかなと思っていました。できれば国産の。

しかしオミクロン株に対する有効性も考えると、今はmRNAワクチンが最適かと思います。

政府は、諸外国のデータを的確に入手し、先を見据えた準備を早めに整えておくべきであると強く思います。

 

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