文献やニュースを見る時、コロナウイルスの変異株にアルファベットと数字がつけられて分類されているのを目にします。
恐らくこれからは、変異株を中心に新型コロナ感染症の話は進んでいくと思いますので、変異株の勉強を兼ねてこの記事を書かせていただきます。
一番汎用されるのは P A N G O 系統名分類かと思います。
武漢株を標準、変異なしとしてこれ以降の変異を記号を付けて系統的に分類しています。
しかし完全には統一されておらず、例えば英国株は、VOC-202012/01と書いたりB.1.1.7とPANGO系統名で表記したりします。南アフリカ株は、B.1.351。ブラジル株は、P.1などと表記します。
また別に実際に変異した場所とアミノ酸で分類する方法もあります。
例えば、英国株であれば、市川総合病院の寺嶋毅教授の解説によれば、
「英国株は、N501Yという変異をしています。Sタンパクの501番目のアミノ酸がアスパラギン(N)からチロシン(Y)に変わって、Sタンパクが細胞の受容体ACE2に結合しやすくなっています。英国の報告で感染力が1・7倍というデータがあり、英国公衆衛生庁は論文で、死亡率が従来株の1・64倍になると発表しています。従来株より毒性が強くなった可能性も否定はできません。しかし、致死率は従来型の0・26%程度に対して0・41%ほど。高い値で推移しているわけではありません」
南アフリカ株やブラジル株はどうでしょうか。同じく寺嶋毅教授の解説によれば、
「南ア株はN501Y変異に加え、E484Kという変異もしています。Sタンパクを構成する484番目のアミノ酸が、グルタミン酸(E)からリシン(K)に変わったのです。この変異を遂げると、回復者やワクチン接種者の血清に含まれる抗体の中和力が低下する可能性も指摘されています。免疫逃避といい、抗体がウイルスとして認識しない、認識するのに時間がかかる、ということがあるのです。感染力は1・5倍になるとされていますが、重症化率や死亡率が高まるかどうか、まだ結論が出ていないようです。ブラジル株もN501YとE484Kの変異を遂げていますが、まだ細かい研究結果は報告されていません。ただ、感染が集団免疫の閾値に達したはずのマナウスでの感染再拡大を見ると、回復者の抗体が効きにくくなっているのかもしれません」
と言われておられます。
https://news.goo.ne.jp/article/dailyshincho/nation/dailyshincho-720621.html
次に二重変異株(double mutant coronavirus variant)という言葉を目にしました。
最初にインドで発見されその後アメリカでも検出された変異株のようです。
スタンフォード大学の臨床ウイルス学研究所のメディカルディレクターであるベンジャミンピンスキー博士によると、「これには科学者がE484QとL452Rと呼ぶ、他の変異体では別々に発見されたが、単一の株では一緒に発見されなかった2つの重要な変異が含まれています。」
「他の亜種では、L452R変異がウイルスの感染性を高めることが示されています。抗体がその突然変異を認識しないという証拠もあります。これは、ワクチンの有効性を低下させる他の株で発見されています。E484Q変異は、コロナウイルスとの戦いに役立つ中和抗体の影響を受けにくいことも示されています。しかし、L452Rと組み合わせると、抗体の中和が減少するだけでなく、伝染が増加する可能性があると予想されます」とピンスキー氏は述べています。
この変異株の行方には注意が必要です。
どうやら、我々のコロナとの戦いは、まだまだ続きそうです。
最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。