ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

新規変異株

今朝久しぶりに近くの川の土手に散歩に行ってきました。今日もいい天気で早朝にもかかわらず、走ったり自転車に乗ったり、パブリックゴルフコースで打ちっぱなしやラウンドを楽しんでいる人たちがたくさんいました。

世の中は、コロナ疲れか要領がよくなったのか、人が町にたくさんくり出だしています。昨今のコロナ対策は、明らかに経済に重点を置いたものになっています。でも罹患すると重症化しやすいのは高齢者や有基礎疾患者です。

今後のコロナの感染状況が気になります。

10月中旬になり、日本全国で新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向にあります。今年末からの冬には第8波の流行が起きると予測されています。
10月20日に開催された厚生労働省のアドバイザリーボード会議で、新型コロナの新規感染者数が10月中旬から日本全国で再び増加傾向にあると報告されました。この傾向は北日本などで特に顕著に見られます。

ドイツやフランスで10月に入り、新規感染者数が増加しています。西ヨーロッパは日本よりも一足先に気温が下がり、秋の深まる季節を迎えています。
新型コロナのように飛沫(ひまつ)感染するウイルスは、寒い季節に流行しやすいためと思われます。寒くなると屋内で過ごす機会が多くなり、人と人の距離が接近します。また、換気が頻回に行われなくなり、飛沫感染の起こりやすい環境になります。日本での新型コロナの流行を振り返っても、2021年1月に第3波、22年1月に第6波と、真冬の時期に感染者数が大きく増加してきました。

第8波発生への三つのシナリオ ~「いつ始まるか」「どれだけ被害が生じるか」~
10/27(木) 14:00配信 JIJI.COM

愛媛新聞 ONLINE

過去感染波は新規変異株の流行とともに形成されてきました。

これから日本ではどうなっていくのでしょう?

また新しい変異株によって第8波が形成されていくのでしょうか?

報道でも言われているように気を付けるべき変異株がいくつかあります。

「現在、流行する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株は、第20報時点と同様に、B.1.1.529系統とその亜系統(オミクロン)が支配的な状況が世界的に継続している。
世界でゲノム解析され GISAID データベースに登録されたウイルスの99.9%をオミクロンが占め、その他の系統はほとんど検出されていない。オミクロンの中では多くの亜系統が発生しているが、BA.5系統が76.2%、BA.4系統が7.0%、BA.2系統が3.9%(いずれも亜系統を含む)と、引き続き世界的にBA.5系統が主流となっており、日本国内でも2022年7月頃にBA.2系統からBA.5系統に置き換わりが進み、BA.5系統が主流がとなっている。
2022年5月に米国で初めて報告されたBA.4.6系統(BA.4系統の亜系統)、2022年6月にインドで初めて報告されたBA.2.75系統(BA.2系統の亜系統)をはじめ、特徴的なスパイクタンパク質の変異がみられ、ワクチン接種や感染免疫による中和抗体からの逃避や、感染者数増加の優位性が示唆される亜系統が複数報告されている。局所的に優位な増加をみせる亜系統も報告されているが、特定の変異株が世界的に優勢となる兆候は見られない。これらの変異株の今後の動向に関する一致した見解は得られておらず、引き続き国内外での動向の注視、知見の収集とともに、国内でのゲノムサーベイランスを継続していく必要がある。」

国立感染症研究所 2022年 10月21日 9:00 時点

「 オミクロンの新規亜系統の世界的な発生状況について
世界各地でBA.2系統やBA.5系統を起源とする亜系統が多数発生し、それらの有するスパイクタンパク質の変異から、中和抗体からの逃避能の上昇が懸念されている。
米国や欧州ではBA.5.3系統の亜系統であるBQ.1系統とBQ.1.1系統や、BA.2.3.20系統が、アジアではBQ.1系統とBQ.1.1系統や、BJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)とBM.1.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)の組換え体であるXBB系統、BJ.1系統、BA.2.3.20系統が、各地で主流となっている系統に比較して、感染者数増加の優位性を見せている。
BA.5系統に比較してBQ1.1系統、BM.1.1.1系統などのワクチン接種や感染免疫による中和抗体からの逃避能が高く、特にXBB系統が最も逃避能が高いことが示唆された。

XBB系統について
2022年9月にシンガポールからBJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)とBM.1.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)の組換え体であるXBB系統が報告され、10月10日時点で、GISAIDに21か国から562件が登録されており、バングラデシュ、インドシンガポールで検出数の増加がみられる。
シンガポールにおいては、9月末より感染者数が増加傾向を示している一方で、重症者数の増加は見られていない 。
シンガポール保健省は10月15日にXBB系統が国内で優勢となる中で症例数が増加しており、それに比例して入院患者数は増加していること、一方で、重症者数は横ばいでありXBB系統が重症化につながっている証拠はないこと、XBB系統の感染・伝播性が既存の変異株と同等以上と考えられること、XBB系統が再感染の増加に影響を及ぼしている可能性があることを述べている 。

BQ.1系統、BQ.1.1系統について
BQ.1系統及びその亜系統(BQ.1.1系統を含む)は10月10日時点で、GISAIDに48か国から3,284件が登録されており、英国、フランス、デンマークなど欧州および米国から多く登録されている。
米国では8月以降BQ.1系統、BQ.1.1系統の割合が上昇し、今後もBQ.1系統、BQ.1.1系統が占める割合が上昇する懸念がされている。

『CDCが10月21日に発表した報告では、 BA.5から派生したBQ.1やBQ.1.1が比較的早いスピードで感染が拡大していると指摘されている。米国の10月16~22日における新規感染者のうちオミクロン株が変異したBA.5株が62.2%を占めているが、BQ.1(9.4%)やBQ1.1(7.2%)の増加が顕著にみられる。』

米CDC所長が新型コロナ感染、CDCは新派生型BQ.1とBQ1.1の感染拡大の速さを指摘 2022年10月25日 JETRO

英国では米国同様8月以降BQ.1系統、BQ.1.1系統の割合が上昇しており、感染者数は6月から7月にピークを形成したのち、9月以降再度微増している。
BQ.1系統、BQ.1.1系統の割合の増加による感染者数や死亡者数への影響は現時点では不明である。日本では、10月17日時点でBQ.1系統もしくはBQ.1.1系統が検疫で11件、国内で6件検出されている。

BS.1系統について
10月17日時点でBS.1系統は検疫で11件、国内で1件、BS.1.1系統は検疫で23件、国内で0件の報告がある。10月10日時点で、日本以外にオーストラリア、ベトナム、シンガポールなど計10か国からGISAIDに100件が登録されている。
スパイクタンパク質の変異による抗体結合部位への構造の影響に伴い、中和抗体からの逃避が示唆される。」

感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第21報)
NIID 国立感染症研究所

感染力・免疫逃避性の観点から上記3系統のウイルスが要注意です。

そして年齢や基礎疾患など重症化リスクの高い人たちは、ワクチンやマスクなど自身の感染防御を着実に実行すべきであると強く思います。