ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

大滝詠一と私

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最近テレビを見ていたら上の曲が流れました。

大滝詠一に関しては、筆者が若いころよく聞いていたので、「あれっ」と思い、聞きこんでしまいました。

この曲のセルフカバーは、あまり聞いたことがなかったので調べてみたら、大滝詠一が突然亡くなってから発見されたとのことでした。

彼らしい温かみのある曲で、彼独特の優しい声とともにとても良い曲だなあと感じられ、何度もリピートしてしまいました。

実は、大滝詠一はちょうど筆者が、大学・研修医時代によく聞いたミュージシャンで(昔風に言えばシンガーソングライター)青春時代に場面場面で一緒に思いだされるたくさんの名曲を作ってくれた人です。

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この「雨のウェンズディ」は一番好きといっていい曲で、以前カラオケに行った時などは必ず歌っていた曲です。

 

筆者が若かりし頃、医学部を卒業して2~3年した頃、医局の指示で船医としてハワイとパナマ間の航路を行き来するタンカーに乗りました。

成田空港からビジネスクラスでホノルル空港に行き、そこから

マウイ島のカフルイ空港に移動

そしてこのカフルイ港からタンカーに乗船しました。

その前にせっかくなので有名な観光地のラハイナにタクシーで出かけ色々見物しました。実は筆者にとっては2回目の海外旅行で、わくわくして散策したことを昨日のことのように覚えています。

そしていよいよ出港です。筆者が乗ったのは、鰹鮪漁船に石油や食料品などを補給しその合間に診療をするタンカーです。この鰹鮪漁船は100トン足らずの小さな船で、太平洋中いたるところで操業することができる性能があり、まさに日本の技術と勢いを象徴する存在だったと記憶しています。

ハワイ周辺は波が荒いとのことで、カフルイ港を出港して丸10日間はひどい船酔いに襲われました。しかし10日目になると嘘のようにピタッと船酔いはおさまり、そこからは天国です。ほとんど仕事はなく、一日中ゴロゴロして過ごしました。まさにこの時、大滝詠一が活躍したのです。

タンカーのデッキの真上の屋根の上に適度のスペースがあり、そこにビーチチェアーがありそこで一日中寝て日向ぼっこしながら、カセットデッキで大滝詠一のA LONG VACATIONを聞きました。

船の傾きと一緒に水平線が左右にゆっくり揺れて、その光景は今でもはっきりと思い出せます。

しかし来る日も来る日も海ばかり、海鳥が見え島影が見えてきたときは、本当にうれしさで涙が出そうになりました。この島は、ガラパゴス諸島の一つだったようです。

 

この航海では、もう一つ筆者の人生に大きな影響を与えたエピソードがありました。会社の人に「何回も使えませんよ」と念を押されながら、衛星電話を使ってある人にたくさん電話をしました。これは、マリサット衛星(のちにインマルサットに変更)電話です。因みに当時の通信料は、電話が3分間、約12,000円と信じられないほど高額でした。

この高額な電話をかけた相手が今も隣にいる家内です。

 

たった1往復のハワイーパナマの航海ですが、筆者にとっては大滝詠一とともに決して忘れえない3か月になりました。