ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

コロナ・インフルワクチン同時接種

2021年後半から2022年前半にかけて、北半球の多くの国ではインフルエンザの小ないし中規模の流行がみられているということなどから厚労省と日本感染症学会は、今年もインフルエンザ予防接種を推奨しています。

日本感染症学会
ガイドライン・提言
一般社団法人日本感染症学会 提言 2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について(一般の方々へ)

https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=46

一方新型コロナウイルスに対して、オミクロン株対応ワクチン接種もほぼ同時期に重なるであろうことから、コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種も増えるものと思われます。

日本国内では、先日開催された厚生労働省の厚生科学審議会・予防接種・ワクチン分科会にて、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が了承されました。

すでに以前より海外では同時接種されていますが、最近の知見を再度確認してみることにしました。

JAMA Netw Open. 2022 Jul; 5(7): e2222241.
Published online 2022 Jul 15. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.22241
米国におけるCOVID-19 mRNAブースターとインフルエンザワクチン接種の同時の反応原性

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2794318

 

結果
v-safe に登録された 12 歳以上の合計 981,099 人のうち、COVID-19 mRNA ブースターと季節性インフルエンザワクチンの同時投与は、92,023 人 (9.4%) の v-safe 回答者によって報告されました。これらの回答者のうち、54,926 人 (59.7%) が女性、36,234 人 (39.4%) が男性で、863 人 (0.9%) は性別が不明でした。ワクチン接種の次の週に、Pfizer-BioNTech ブースターとインフルエンザワクチンを同時に受けた 61,390 人の回答者のうち 36,144 (58.9%) と、Moderna ブースターとインフルエンザワクチンを同時に受けた 30,633 人の回答者のうち 21,027 (68.6%) によって、何らかの全身反応が報告されました。

討論
Pfizer-BioNTech または Moderna COVID-19 ブースターと季節性インフルエンザ ワクチンを同時に投与された v-safe 回答者は、ワクチン接種後の 1 週間で、COVID-19 mRNA ブースターを投与された回答者よりも、それぞれ 8% から 11% 頻繁に全身反応を報告しました。
重大な安全上の懸念は特定されませんでした。

ワクチン接種後の週に全身反応を報告する可能性がわずかに高かったことを示していますが、報告されたほとんどの反応は一般的に軽度でした。同時接種後の入院もごく稀であったとのことです。

こういう結果であれば同時接種の利点のほうが勝っているように思います。

2回スケジュールをわざわざあけたり、感染の機会を増やしたりして医療機関に出向くことを考えれば、一回で終える方がメリットが大きいでしょう。

外国での同時接種状況はどうかといいますと、

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/uploads/6_18.pdf 2022年9月4日閲覧

海外では同時接種が一般的のようです。

今後もしばらくワクチン戦略は続きますので、効率的に我々の生活に組み込んでいく必要があると思います。