ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

3回目ワクチン接種を!

皆さんおはようございます。

筆者の勤める地域でももちろん3回目のワクチン接種を実施していますが、1,2回目と違い地域の住民の関心がかなり低いという印象を受けます。ご存じの通りファイザー社製ワクチンは、1バイアル6人分ですから6人まとまって接種する必要があります。しかし6人集まらない日も中にはあります。自治体からは、1バイアル丸ごと廃棄は困るが、一人二人であればやむを得ませんので廃棄してくださいといわれます。

1,2回目の時はこんなことはありませんでした。

そこで3回目ワクチン接種に関してちょっと調べてみました。

いま全国的に3回目接種率はどうなっているのでしょう?

 

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

令和4年6月10日現在3回目接種完了者はまだ60%です。12歳以上の全国民数が分母になります。

最近の論文で、

新型コロナワクチンの3回接種を終えた完全接種者(ブレークスルー感染群)と1~2回接種の部分的接種/未接種者(非ブレークスルー感染群)の新型コロナの他人へ感染を広げる(2次感染)割合やウイルス排出動態に関するコホート研究があります。その結果、 初期のゲノムウイルス量はワクチン接種者とワクチン未接種者の間で類似していましたが、完全接種者では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示されました。

ワクチン接種および非ワクチン接種者における感染性SARS-CoV-2放出動態
JAMA Network  Original Investigation Infectious Diseases  May 24, 2022
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2792598

つまりコロナワクチン3回接種者は、もしコロナに感染しても他人にうつしにくいということです。

一方、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告されました。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していたとのことです。

また中年者(41~64歳)には罹患後症状が多い傾向が明らかになったとのことです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000945990.pdf

 

米国疾病対策センター(CDC)が実施したコロナ罹患後症状(post-COVID、いわゆる後遺症)についての約200万人の大規模調査によりますと、急性肺塞栓症や呼吸器症状の発症リスクが2倍となり、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナ罹患後症状と考えられる症状を1つ以上発症しているといいます。研究結果は、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年5月27日号に掲載されています。

18〜64歳および65歳以上の成人COVID-19生存者におけるCOVID後の状態—米国、2020年3月〜2021年11月
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7121e1.htm?s_cid=mm7121e1_w

この研究によりますと、コロナ既感染者の成人では、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナの既往に起因すると考えられる症状を経験していることが示されました。若年者に比べ高齢者のほうがリスクが高く、感染から1年後まで持続することが報告されている神経学的症状などは、脳卒中や神経認知障害のリスクがすでに高い高齢者に対して、追加支援などが必要になる可能性があるため、とくに懸念されるとしています。

3回目まで接種を受けておけば人に感染させ難くなるし、自分も後遺症に苦しまなくて済みます。

4回目は別として、少なくとも3回目まではコロナワクチンの接種を強くお勧めします。

宜しくお願いいたします。