コロナワクチンの重要性を大方の方は理解していることと思います。筆者はワクチンがまだ日本に導入される前より、海外のワクチンに関する論文を色々皆さんにご紹介し、筆者なりの意見を書かせていただいてきました。
今現在、遅ればせながら我が国にワクチン接種がスタートし、政府の失態もありながらなんとか国民に対してワクチン接種が進行しています。
医療従事者、高齢者が順次終わり、今は64歳以下の接種に及んでいます。以前の記事でも書かせていただいたように、デルタ変異株の出現により従来のウイルス株ではあまり見られなかったより若年層、40~50代の感染・重症化が急増しております。
この対応策は、ワクチン接種しかありません。
これからワクチンを接種しようとする方に向けて、今回の記事を書かせていただきます。
筆者は医療者であるがゆえに、ワクチン接種時の重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーについて、多くの記事を今まで書かせていただきました。
当初海外の一般のアナフィラキシー発生例が医療従事者の女性で多数発生すること、しかもこの傾向が日本ではさらに高率に発生する可能性を記事にしてきましたが、日本国内の症例を厳密にブライトン分類にあてはめると一般のアナフィラキシー発生率は100万回に7例程度とわかってきました。この頻度は、医療機関で使用される造影剤(100万回あたり約400件)や肺炎などの感染症で使用される抗生物質(100万回あたり100~500件)に比べると極めて少ない頻度です。すでに我々は医療機関を受診して受ける検査や薬治療においてアナフィラキシーのリスクに日常的にさらされているわけです。しかも昔と違って造影剤や抗生剤に対しての前もっての皮内テストは、今は実施しませんので予見は不可能です。皮内テスト自体がアナフィラキシーの原因になるからです。
ワクチン接種時のアナフィラキシーの完全な予防は不可能ですが、前もっての注意としては、接種数時間以内の飲食物、薬剤使用、運動、精神的ストレスを避けることや、ワクチン接種日の数日前から体調を整えておくことなどが重要と思われます。
またアナフィラキシーに注意すべき患者像として、
・高齢者(薬剤に過敏歴がある場合、化粧品使用とその経験が長い)。
・女性(化粧品の使用率が高く、PEG(ファイザーワクチンの賦形剤)への経皮感作の可能性がある)。
・喘息の既往(コントロール不良、発作が多い)。喘息治療をしていないが、ゼーゼー、ヒューヒューと喘息様の症状を有する人。
があげられます。もしご自身が高リスクであるなら、主治医の個別接種か入院設備のある医療機関での接種をおすすめします。
新型コロナに罹患した際の症状は死に至る場合もあります。感染から回復しても長引く後遺症(疲労感・倦怠感や息切れ…)に悩まされることになり、それらの症状からいつ完全回復を遂げられるかはまだ明らかにされていません。ワクチン接種時の一時的な副反応症状(発熱、倦怠感など)と発症率が低く適切な治療により致命的になることがほとんどないアナフィラキシー、どちらのリスクが自分にとって危険であるのかを天秤にかけた場合、「ワクチンを接種せずに新型コロナに罹患することだけは避けるべきであるのは自明」と医師であれば誰でも説明すると思います。