イスラエルで新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の3回目接種(ブースター接種)を受けた16歳以上について調べた結果、全年齢でCOVID-19感染および重症の発生率についてブースター接種者のほうが非接種者よりも大幅に低かったことが、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らにより報告されました。
原著
年齢層を超えたBNT162b2ブースターによるCovid-19に対する保護
2021年12月23日
NEngl J Med 2021; 385:2421-2430
DOI:10.1056 / NEJMoa2115926研究グループは、2021年7月30日~10月10日のイスラエル保健省のデータベースから、5ヵ月以上前に2回目接種を終えた16歳以上469万6,865人のデータを抽出し、解析を行った。
主要解析では、ブースター接種後12日以上経過した人(ブースター群)とブースター接種を受けていない人(非ブースター群)の、COVID-19の感染、重症化、死亡の発生率を比較した。
1) 感染の発生率:ブースター群のほうが非ブースター群よりも低く、率比でみると約10分の1であった。
比較検討した5つの年齢群(16~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)では、最小が30~39歳の9.0分の1、最大は16~29歳の17.2分の1であった。また、ブースター群はブースター直後群(3〜7日前にブースターを受けた人、ブースター後の初期のグループ)よりも低く、最小は30~39歳の4.9分の1、最大は16~29歳の10.8分の1であった。
2)重症化:高年齢群(40~59歳、60歳以上)における重症化は、60歳以上は、(ブースター群vs.非ブースター群)は17.9分の1(95%信頼区間[CI]:15.1~21.2)、2次解析(ブースター群vs.ブースター直後群)は6.5分の1(5.1~8.2)であった。また、40~59歳では、それぞれ21.7分の1(10.6~44.2)、3.7分の1(1.3~10.2)であった。
3)60歳以上の死亡に関する検討:主要解析(ブースター群vs.非ブースター群)で14.7分の1(95%CI:10.0~21.4)、2次解析(ブースター群vs.ブースター直後群)で4.9分の1(3.1~7.9)、いずれもブースター群が低かった。
いずれも、ブースター群が非ブースター群より、あるいはブースター直後より12日以上経過したブースター群のほうが感染率・重症化率・死亡率ともに低かったという結果でした。
筆者の勤務する地方では、ようやく実際にブースター接種が8か月後の来年1月に決まりました。(一部病院の医療者には始まっているようです)県のホームページによりますとすでに国から市のほうにワクチンは必要量届いているようです。
我々のところでは、今度は集団接種はなくすべて個別接種になります。1,2回目より非常に多くのかたが追加接種に来られると思います。しかし1回ですし前回の経験がありますのでスムーズに実施できると思います。行政のほうがもっとスピード感を持って進めるべきでしょう。
今の政権の仕事ぶりを見ていると、外交以外はほぼスピード感を持って政策実行できているようですが、ワクチンに関しては情報の不透明性と接種スピードのなさを強く感じます。
新型コロナ感染症で、今までに世界で500万人以上の方がなくなっています。日本でも2万人近くの方が死亡されています。そのお一人お一人に人生があって、大切なご家族がおられたはずです。最愛の家族に別れの言葉も言えずに、亡くなっていかれたかたもおられることでしょう。
中国の人権侵害や覇権主義、ロシアのウクライナ侵攻など人命に対する軽視・危機が世界を被っています。今一度一人一人の命の尊厳さ大切さに目を向けて、我々一人一人の行動や発言を決めるべきであると強く思いました。