ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

主張しない日本

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オミクロン株そのものより、オミクロン株に対する恐怖のほうが全世界を駆け巡っているように見える昨今です。

WHO、日本の対応「理解困難だ」 外国人入国の禁止措置を批判
毎日新聞 2021/12/2 08:40 https://mainichi.jp/articles/20211202/k00/00m/030/012000c
ライアン氏は1日の記者会見で、日本の対応について「公衆衛生上の観点からも論理的とは言えない」と語った。

 

感染予防にマスク着用不要 過度の使用控えてとWHO
新型コロナ
2020年3月1日 17:59
【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は2月29日までに、新型コロナウイルスの感染予防に向けたマスクなどの適切な使い方の指針を公表した。せきやくしゃみといった症状がない人は予防目的で学校や駅、商業施設など公共の場でマスクを着用する必要はないとして、供給不足に拍車を掛けないためにも過度の使用を控えるよう呼び掛けた。
WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏も28日の記者会見で「マスクをしていないからといって、感染の可能性が必ずしも上がるわけではない」と強調

 

中国に対しての奇異な配慮からパンデミック宣言の時期を間違ったWHOは、日本の外国人入国禁止措置を非難する資格は全くありません。マスクの有効性も当初WHOは認めていませんでした。しかも科学的にも重要な、コロナウイルスの起源の追求もうやむやにしてしまったWHOです。

オミクロン株の出現で、今までワクチンの公平な分配を主張してきたWHOは、ここぞとばかりに、欧米の即座の入国禁止措置にはコメントせず、日本の措置には難癖をつけてきています。過去の権威が地に落ちているWHOのいうことは、全く聞く必要はありませんが、国連への分担率相応の気遣いはあってもしかるべきと思います。

 

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カズレーザー WHOの日本批判に「島国と陸続きの欧州は感覚が全然違う」「五輪の外国人記者は」
12/3(金) 9:57配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/c6927f28e7e5bf408095a6708455ff4dc5703208
「五輪の外国人記者が来た時に全然、ルール守らずに外出したのを我々じかに見ているんで、そこは対応が変わってしまうのは仕方ないと思う」と話した。

 

抑えた言い方ですが、多くの日本人はWHOに対してかなりの反感を持っていると思われます。

とかく主張しない日本ですが、WHOに対して応分に負担している日本政府は、世界からの非難には正当に反論すべきです。

 

リサーチ
covid-19、SARS-CoV-2感染、およびcovid-19死亡率の減少における公衆衛生対策の有効性:系統的レビューとメタ分析

BMJ 2021 ; 375 doi:https://doi.org/10.1136/bmj-2021-068302 (2021年11月18日公開)
https://www.bmj.com/content/375/bmj-2021-068302.long

概要
目的: covid-19、SARS-CoV-2感染、およびcovid-19死亡率の発生率を減らすことにおける公衆衛生対策の有効性に関する証拠をレビューすること。

結果
35件の研究のうち8件がメタアナリシスに含まれ、手洗い(相対リスク0.47、95%信頼区間0.19〜1.12、I 2 = 12%)、マスク着用(0.47、 0.29〜0.75、I 2 = 84%)、および物理的距離(0.75、0.59〜0.95、I 2 = 87%)。研究の不均一性のために、隔離、普遍的な封鎖、国境、学校、職場の閉鎖の結果についてメタアナリシスは不可能でした。


SARS-CoV-2の検疫と発生率および感染
サウジアラビアの前向きコホート研究では、検疫実施後8週間でcovid-19の発生率が4.9%減少したことが報告されています。この研究は、バイアスのリスクが低いと評価されました。
インドの後ろ向きコホート研究では、厳密な検疫と比較して、検疫なしに関連するSARS-CoV-2感染のリスクが14倍高いことが報告されています。

 

エビデンスのレベルが高いといわれるメタアナリシス論文です。

手洗いマスク着用物理的距離は、やはり確かなエビデンスがあります。

しかも検疫の効果も確かに認められています。

今のところオミクロン株は感染率は空気感染レベルですが、重症化率は低くワクチンの効果もあるようです。過度に恐れる必要はないでしょう。

世界のどの国もやっていないような、2回目から8か月後の3回目接種などと荒唐無稽なことをいつまでも言っていないで、素早く3回目接種に取り掛かるべきです。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

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国連本部