ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

抗体保有率

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上のグラフは、最近の東南アジア諸国とインド、日本の感染者数の推移を示しています。眺めていると、今年に入って100万人当たり約100人以上の感染者数の波を経験した国々は、最近感染者数が減ってきています。とりわけインド、インドネシア、日本は激減しています。

今回の記事は集団免疫に関してです。

現地ライターが解説!インド「コロナ感染が劇的減少の背景」
9/14(火) 14:32配信  FRIDAY
https://news.yahoo.co.jp/articles/9f04e93763de40ff210d5b2c60e6429c9a890155

1日あたりの死者が4000人以上だった「第2波」…今は10分の1に減少。
新型コロナウイルスによる感染拡大で、特にインドでは今年5月1日の新規感染者数が40万人超ペース、1日あたりの死者も4000人を超えた。
集団免疫に関しては、インド医学研究評議会(ICMR)が7月、約3万人を対象に行った抗体調査で、ワクチン未接種者の6割以上が新型コロナの抗体を保有したことを発表したと、インドのメディアなどが報じた。

 

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ジャカルタ住民の半数近くがコロナ感染か 抗体検査で判明
2021.07.14 Wed posted at 12:42 JST
CNN

インドネシアの首都ジャカルタで3月に実施された新型コロナウイルスの抗体検査から、住民の半数近くが感染していたとの結果が報告された。これは公式発表されていた感染者数の12倍以上に相当する。
3月15~31日にジャカルタ市内の約5000人を対象に抗体検査を実施したところ、全体の44.5%で新型コロナウイルスに感染したことを示す抗体が検出された。
政府統計によると、ジャカルタの人口は約1060万人。このうち約470万人が3月末までに感染していたことになる。

 

感染爆発を経験して感染者が急増し、自然感染により抗体保有率も大きく増加したようです。

それでは日本ではどうでしょう?

 

沖縄で集団免疫の可能性「無症状、感染者の16倍」 友知沖国大教授ら分析
11/11(木) 12:24配信 琉球新報

友知教授らは昨年11月に発表した論文で、従来の感染症の分析に用いられる数理モデル(SIR)に、無症状の感染者が感染を広げることなど新型コロナの特徴を加えた独自の数理モデル(SIIR)を考案。無症状の感染者が発症者の「16倍近く存在する」と指摘していた。
沖縄ではワクチン接種率が6割程度であるが、発症者数と推定される無症状者数の累積は人口比で5割になる計算で、これらを考慮すると沖縄などで「免疫化率」が77・3~96・7%に達すると推計される。沖縄で「集団免疫が実現している可能性もある」としている。
「ワクチン接種をさらに推進すると同時に、現状の到達点を明らかにするために大規模な抗体検査を進め、抗体保有率を早期に明らかにすべきである」と提言する。

 

専門家が指摘「日本のコロナ死者数は過小評価されている」
11/12(金) 15:50配信 女性自身

「たとえば、人口100万人当たりのコロナ死者数がもっとも多い大阪府(345.7人)の『毎月の死者数』(画像参照)を見てください。’19年5月の死者数は約7500人であるのに対し、’21年5月の死者数は8901人。約1400人増加しています。これはコロナ第4波の影響と考えられます。いっぽう、’21年5月の『大阪府の毎月の新型コロナ死者数』(画像参照)は859人。増加した1400人から差し引くと、じつに500人あまりが捕捉されていないコロナ死か、医療崩壊が原因で適切な医療が受けられなかった“コロナ関連死”の可能性があります。コロナ対策に定評がある鳥取や島根は例年通りの死者数ですから、大阪は適切なコロナ対策ができていなかったのでは……」
工学博士の牧田寛さんは次のように語る。
「桑原さんが指摘するように、厚生労働省が発表している日本のコロナ死者数は、かなり過小評価されています。米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の試算では、日本のコロナ死者数は公表されている2~4倍に見積もられています

感染者数の波が大きいほど捕捉されていない感染者数や死亡者数が増えます。日本のように検査件数を制限してきた地域では、実際の感染者数と統計上のそれが大きく乖離するものと思われます。

日本の大きい第5波によって住民の抗体保有率が大きく上昇したものと考えられます。

 

第5波後の抗体保有率調査へ 新型コロナ、接種後も―厚労省
2021年10月28日20時23分 時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102801199&g=soc

新型コロナウイルスの流行状況を調べるため、厚生労働省は28日、3万人規模の抗体検査を5都府県で行うと発表した。今夏の感染「第5波」を踏まえ、国民の抗体保有率を調べる。ワクチン接種でできた抗体も区別して調査する。
 厚労省によると、対象は宮城、東京、愛知、大阪、福岡の都府県。12月と2月にそれぞれ計1万5000人を対象に血液検査する。ワクチン接種が進んでいることから、感染歴と接種歴を問うほか、2種類の検査で抗体が感染によるものかワクチン接種によるものか判別するという。

もっと早く調査をすべきでしょう。

 

ワクチン接種率でみるとインドもインドネシアも30%弱です。そうすると自然感染による抗体保有率がより重要になります。

日本の調査の結果、抗体保有率が5~6割あれば、感染者の急速な減少の大きな理由は、抗体保有者の増加ということになります。

さらに言えば、今後のコロナ対策の目標は、抗体保有率の維持ということになります。

 

今日も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

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