新型コロナウイルス感染症において、第5波はほぼ終息し緊急事態宣言も完全に解除されました。
しかしこのだれも予想しなかった、急激な感染者減少の理由の解明なしでは、今後発生すると思われる第6波を防ぐことは到底不可能です。
急激な感染者減、なぜ?要因分析できず…冬の「第6波」警戒
9/28(火) 9:50配信 西日本新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/d3d2174bdfe1fa5ac2b7c0f08ea88323a22c5dc0「感染状況は急激に下がっている。よく分からずに減っているということは、また増えてくる可能性も十分にある」。厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織が27日に開いた会合。冒頭、田村憲久厚生労働相はこう語り、宣言解除後のリバウンドに強い警戒感を示した。
今回の記事は、この第5波終息の理由に関して少し考察してみました。
まず今回のパンデミック当初より、医学的情報を発信してこられた、お二人のご意見をお聞きしてみたいと思います。
コロナの急激な収束をもたらしたのは何か? ワクチン、自粛、それとも…
岩田健太郎 9/30(木) 12:23配信 読売新聞(ヨミドクター)
https://news.yahoo.co.jp/articles/41f64d05bdcb4f1ad0b03728f4f35838be20b36aヒントとなるのは、イギリスです。
イギリスで急な感染者数の減少を達成できたのは、大量のワクチン接種とロックダウンのダブルパンチによる効果だったため。
日本でもこれと似たようなことが起きたのではないでしょうか。
第5波で興味深かったのは、実効再生産数(Rt)がコンスタントに下がっていったことです。
Rtが1を下回っていれば感染者数はどんどん減っていきます。「コロナが増えすぎてやばいぞ」という別の「ノリ」が市民の行動制限を促し、人々は活動を自粛しました。これがコンスタントに感染者を減らし続ける持続的な力になったのではないか。
さらに、日本ではワクチン接種がかなりスピードアップし、高齢者のみならず、感染を広げていた年齢層にもワクチンが普及していきました。
ある程度ワクチンが普及すると接種のスピードはダウンします。アメリカしかり、イギリスしかり、フランスやドイツもそうでした。が、日本では予防接種がある程度普及した現在でも、ワクチン接種のスピードは安定しています。似たような構造で感染がおさまったイギリスでは、ワクチン接種が日本よりもずっと普及しているのに、社会制限を解除してからは感染者が激増しています。
ワクチン接種と人々の行動制限のおかげであるとおっしゃっています。
新型コロナ第5波を振り返って 過去最多感染者数と低下した致死率 今後取るべき対策は?
忽那賢志 感染症専門医 9/30(木) 7:02
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210930-00259117
京都大学の西浦博先生は、東京や大阪において、娯楽施設(レストラン、カフェ、ショッピングセンター、テーマパーク、博物館、図書館、映画館など)の人流(特に移動率)と一致して、実効再生産数が推移しており、7月下旬以降に低下していることを指摘されています。
これに加えて、ワクチン接種者が経時的に増加しており、新型コロナウイルスに対して免疫を持つ人が増えてきていることも影響しているでしょう。第5波では重症化率・致死率が大きく下がっている。
また、第5波では致死率(感染者に占める死亡者の割合)も大きく減少しています。
第5波の致死率が大きく低下している最大の要因は、ワクチンによるものと考えられます。
第5波では、これまでの流行と比較して高齢者における重症者が大きく減っていますが、これは高齢者での高いワクチン接種率が寄与しているものと考えられます。今後は、これまでの傾向からは、新規感染者数は第5波を上回る感染者数を想定した準備が必要となるでしょう。
重症化率が減り、新規感染者数が増えることが想定されることから、軽症・中等症の病床数の需要がさらに増えることが予想されます。重症化率が下がっても感染者数が大幅に増えれば重症者数も増えますので、重症病床の確保も引き続き重要事項ですが、今後の対策としては、これまで以上に軽症・中等症の病床数の確保が望まれます。
人流(特に移動率)の低下とワクチンの効果を指摘されおり、重症化率・致死率の低下により、これまで以上に軽症・中等症の病床数の確保が望まれる、とおっしゃっています。
お二人ともほぼ同様の発言内容です。
菅首相記者会見詳報 (4)尾身氏「感染の急激減少の分析が重要」
9/28(火) 21:26配信 産経新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad49ab7d16e27681b620c133f39f81d05dcd0e01
5つの要因
1番目は一般市民の協力
2番目は人流、特に夜間の滞留人口の減少。この6週間ぐらいは、ずっと20%から30%ぐらいの夜間の繁華街における滞留人口というのが低く維持されていた。
3つ目は、ワクチン接種の効果
4番目は、医療機関、高齢者施設での感染者の減少。
5番目は、なかなかこれは証明は難しいんですけれども、気温や降水などの雨ですね。こういう気象の要因も関与したんではないか。
尾身氏も人流特に夜間の滞留人口の減少とワクチンの効果と解釈しておられます。
5番目の気象要因は人流には影響しても、ウイルスの伝搬性に関しては、医学上は否定されていると筆者は理解しています。
忽那先生と尾身氏が指摘されているように何かのバイアスがなければ確かに夜間の滞留人口と実効再生産数、感染者数は一緒に変化しているようです。
東京“未接種者”の夜間滞留人口が半減
9/16(木) 21:47配信 日本テレビ系(NNN)
https://news.yahoo.co.jp/articles/908e200555111ed581469468a15b1792646b4505今回の緊急事態宣言直前と比べると、8月29日からの一週間では全体の夜間滞留人口は21パーセント減少しましたが、ワクチンを接種していない人は50パーセント以上減少したと推計されたということです。
この記事のように、飲食を利用する、より若年者へのワクチン接種が浸透してきており、ワクチン接種をしていない滞留人口がかなり減ってきているのが、主な感染減少の理由であると筆者は考えます。
又、無症候性感染が多く、活動性が高い若年者が、デルタ株が若年者へも多く感染し中には死亡することを報道で知り、その行動を控えたということとワクチン接種。
ワクチン接種率は、今後、より増加していくと思いますが、宣言解除或はかつてのGO TOキャンペーンの再開などで、人流が増加して感染者がまた増加して、重症者・死者が増えていくことが懸念されます。
全国知事会「GoTo、状況に応じ再開を」 第5波分析も国に提言
10/2(土) 19:44配信 朝日新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/4867143a92672a5f071cb3c5b9607e927db69c68
経済活動再開も飲食の当事者にとって、家計上もメンタルヘルス上も重要であると思いますので、バランスを取りながら重点的に対策を取っていくことが大切であると思います。
最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。