ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

食と健康

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食と健康は我々人間にとって永遠の関心事項です。

医食同源といいますが、毎日の食事を楽しんでなおかつ健康的に摂るということは生命の維持・発展に不可欠の重要な課題となります。

果物や野菜の接種と健康との関係がまた明らかにされました。

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以前マッシュルームと健康との関係の記事を書かせていただきましたが、今回は、果物や野菜と健康との関係です。

 

Circulation 

March 9, 2021

Fruit and vegetable consumption reduce risk of death
果物と野菜の消費は死のリスクを減らします

 

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とハーバード大学医学部のドン・D・ワン博士が率いるチームは、果物と野菜の摂取量と死亡率の関係を調査しました。研究者は、1984年から2014年までの66,000人以上の女性と、1986年から2014年までの42,000人以上の男性に関する1つの研究からデータを収集しました。研究開始時に糖尿病、心血管疾患、癌のない参加者が含まれていました。参加者は2〜4年ごとに食事に関する質問に答えました。
チームはまた、メタアナリシスを実施し、データを他の24の研究から発表された結果と組み合わせました。この作業は、NIHの国立がん研究所(NCI)、国立心肺血液研究所(NHLBI)、および国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)によって資金提供されました。結果は2021年3月1日のCirculationに掲載されました。

予想通り、果物と野菜の摂取量が増えるにつれて死亡率は減少しました。1日平均5サービングを食べることは、1日2サービングだけを食べるよりも13%低い死亡リスクと関連していました。1日5サービングを超えて、より多くの果物と野菜を食べることは、死亡リスクのさらなる減少とは関連していませんでした。(この研究では、野菜と果物のいずれでも、80gを1サービングとしています。)

果物の消費と野菜の消費は、死亡率と同様の関係を示しました。死亡のリスクが最も低いのは、果物の場合は1日あたり約2サービング、野菜の場合は1日あたり3サービングでした。比較のために、米国の成人は1日あたり平均1サービングの果物と1.5サービングの野菜を摂取しています。
合計180万人以上の参加者が参加した26の研究のメタアナリシスは、2つの研究と同様の結果をもたらしました。

研究者が個々の死因を調べたところ、果物や野菜をもっと食べると、心血管疾患や呼吸器疾患による死亡率が低下することがわかりました。野菜ではなく果物を多く食べることは、癌による死亡率の低下と関連していました。対照的に、神経変性疾患による死亡率は、果物や野菜の消費とは関連していませんでした。

ただし、こうしたベネフィットを得るために摂取する野菜や果物は、何でも良いわけではありません。野菜であれば、ほうれん草やレタス、ケールといった葉野菜、果物であれば柑橘類、ベリー類などのベータカロテンとビタミンCが豊富なものの摂取がベネフィットをもたらします。

これらの結果はほとんどの種類の果物と野菜に当てはまりましたが、特定の例外がありました。エンドウ豆やトウモロコシなどのでんぷん質の野菜の摂取は、死亡率の低下とは関連していませんでした。じゃがいもやフルーツジュースの消費も関連ありませんでした。
研究者らは、食事と死亡率の関係を調べました。彼らは年齢や身体活動などの健康に関連する他の要因を説明しましたが、人々の食事を管理していませんでした。したがって、結果は、より多くの果物と野菜を食べることが死のリスクを減らすことを証明することはできません。しかし、彼らは果物と野菜の消費に関する現在の推奨事項を裏付ける証拠を追加しています。

「この量は、主要な慢性疾患の予防に関して最も有益である可能性が高く、一般の人々にとって比較的達成可能な摂取量です」とWang氏は述べています。

 

食物と健康に関しては、大変多くの研究があります。ちょっと探してみるとすぐ見つかります。例えば下記です。

The Lancet Journal
 . 2017 Nov 4;390(10107):2037-2049. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32253-5. Epub 2017 Aug 29.
Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study

Review BMJ
. 2014 Jul 29;349:g4490. doi: 10.1136/bmj.g4490.
Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies

Meta-Analysis J Acad Nutr Diet
. 2019 Mar;119(3):464-481. doi: 10.1016/j.jand.2018.11.007. Epub 2019 Jan 11.
The Associations of Fruit and Vegetable Intakes with Burden of Diseases: A Systematic Review of Meta-Analyses

 

イメージとして正しいと思っていたことが、研究で証明されつつあるわけです。

せっかく毎日とるわけですから、体に良い、見た目にもきれいな、おいしい食事をできるだけいただきたいと思います。

 

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

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