今回の記事は、きのこ消費量の増加は癌のリスクの低下と関連しているという、系統的レビューと観察研究のメタ分析の論文をご紹介いたします。
ここでいう”きのこ”とは、mushroom のことです。
メタ分析ですので信頼性が高い論文であると思います。
Higher Mushroom Consumption Is Associated with Lower Risk of Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
Djibril M Ba, Paddy Ssentongo, Robert B Beelman, Joshua Muscat, Xiang Gao, John P Richie, Jr
Advances in Nutrition, nmab015, https://doi.org/10.1093/advances/nmab015
Published: 16 March 2021
きのこ消費量の増加は癌のリスクの低下と関連している：系統的レビューと観察研究のメタ分析
概要
きのこは生理活性化合物が豊富です。きのこの摂取に関連する潜在的な健康上の利点は、最近の研究の注目を集めています。したがって、系統的レビューとメタアナリシスを実施して、キノコの摂取と任意の部位での癌のリスクとの関連を評価しました。MEDLINE、Web of Science、およびCochrane Libraryを検索して、1966年1月1日から2020年10月31日までに公開されたキノコ摂取と癌に関する関連研究を特定しました。観察研究（n = 17）RR、HR、またはORがあり、2つ以上のカテゴリーのキノコ摂取に対するがんリスクの95％CIが本研究の対象でした。きのこの消費量が多いほど、総がんのリスクが低くなります。
きのこの消費量が多いと、乳がんおよび非乳がんのリスクも低くなりました。部位別に特異性を調べたところ、きのこ消費との有意な関連は乳がんでのみ観察されました。これは、他の癌で実施された研究の数が少ないことが原因である可能性があります。きのこの消費と全がんのリスクとの間に有意な非線形の用量反応関係の証拠がありました。制限には、このメタアナリシスに含まれる17の研究のうち11を含むケースコントロールデザインにおける想起と選択バイアスの可能性、および各研究の最終モデルで使用される調整係数の大きな変動が含まれていました。
きのこの消費量が多いことと、がん、特に乳がんのリスクが低いこととの関連は、食事におけるきのこの保護的役割の可能性を示している可能性があります。
マッシュルームについて以下のサイトを参考にしました。
https://nittokusin.jp/kinoko/contents/health/kinoko_file/mushroom/mushroom.html
これによると、
特徴
温帯地域の草原地帯に発生する腐生性のきのこですが、日本には自生しません。和名はツクリタケといいます。傘の白い、丸い姿はきのこの典型的なイメージとして定着しており、フランスやアメリカなど欧米を中心に古くから人工栽培されています。世界的な生産量は食用栽培きのこの中で最大ですが、栽培方法はシイタケなど木材腐朽性のきのこと異なり、麦わらや稲わらを堆肥にした培地で行われます。
効用
1．抗酸化作用
子実体から分離されたにチロシナーゼ様のたんぱく質はヒトのリンパ腫細胞系を用いた実験において、過酸化水素による細胞DNAの損傷を防ぐ作用を示すなど、過酸化物による細胞膜や遺伝子の損傷を防ぐ作用が確認されています。
2．コレステロール除去作用
子実体から抽出した食物繊維を5%含む飼料をラットに与えたところ、４週間後、血清コレステロールの低下とその受容体であるmRNAの増大が認められており、子実体の摂取によるコレステロール除去作用が期待されます。
3．抗腫瘍作用
子実体の低分子成分アガリドキシンは成長抑制剤N-(γ-L-グルタミル)-４-ヒドロキシアニリンの別名で、マウスのがん細胞を用いた実験においてDNAポリメラーゼの作用を阻害し、メラノーマを抑制する作用が認められています。また、食物繊維のような高分子成分の作用については、胆がんマウスにマッシュルーム子実体の粉末を食べさせた実験により、免疫機能が維持され、腫瘍の成長が抑制されています。これらの結果より、子実体の摂取により抗腫瘍活性が増強されると考えられています。
まだ詳しくわかっていない点があると思いますが、少なくとも乳がんに対して、マッシュルームは効果があるようです。
