ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

石鹸アレルギー

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 「茶のしずく石鹸事件」

この事件を皆さんは覚えておられますか?

2005年から2010年に延べ約467万人に対して販売された「茶のしずく石鹸」約4,650万個について、同製品に含有される小麦加水分解物により、小麦アレルギーを発症する事例(重傷者だけでも66人)が報告されたというものです。
茶のしずく石鹸に含まれる加水分解コムギ「グルパール19S」(片山化学工業研究所)を使用していたのは悠香が製造を委託していたフェニックス社のみであり、もともと小麦に対してアレルギーをもっている者のみが発症するものではなく、アレルギーのない者であっても該当するコムギ成分を含有するものを使用等したことにより発症するようになり、この製品を使用して呼吸困難や意識不明などのアナフィラキシー症状を発症する例も報告されました。


また、イギリスでは「ピーナッツアレルギー」が深刻な社会問題になっています。

ここ10年で2倍になり、児童の70人に1人が発症し、保育園や小学校ではピーナッツの持ち込みが禁止になっています。

 原因はピーナッツオイル入りのオムツかぶれ防止クリームでした。

このピーナッツオイルを含んだオムツかぶれ防止クリームを使用していた子どもたちは、使用していない子どもたちに比べて、7倍もの高い割合でピーナッツアレルギーをもっていることが分かりました。

皮肉なことに、肌荒れを改善しようとオムツかぶれ防止クリームを使用したことによって、荒れた肌からピーナッツ成分が侵入し、体内の免疫機能が働きアレルギーが引き起こされたと考えられています。

 

荒れてバリアー機能が低下した皮膚から時間をかけてアレルゲンが体内に侵入して感作されると、深刻なアレルギー反応を起こすことがあるということがわかっています。

 

「茶のしずく石鹸」や「おむつかぶれ防止クリーム」のような事件が再び起こらないように、メーカーの謳い文句に躍らされることなく、どんな成分が入っているのか、消費者自身でチェックして見極める必要がありそうです。

drhirochinn.work

 

実は今回の記事はワクチン接種後のアナフィラキシーが、化粧品中のPEGが原因ではという記事の続報なのですが、様々なアレルゲン物質に暴露されて生活している我々は、何かアレルギー症状を持っているとしたら、それが「茶のしずく石鹸」や「おむつかぶれ防止クリーム」のような、避けることのできる原因がないか一度チェックしてみるべきでしょう。

V-SYSからのコロナワクチン接種後の、アナフィラキシー症例の、3月12日以降の更新がないのでよくわかりませんが、恐らくほとんど女性なのだと思います。

国はそのままにせず、この女性が多い原因を早く究明すべきであると思います。

 

 

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