ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

変形性膝関節症への高強度筋力トレーニングの効果

f:id:hiro_chinn:20210306225033p:plain

 

February 16, 2021
Effect of High-Intensity Strength Training on Knee Pain and Knee Joint Compressive Forces Among Adults With Knee Osteoarthritis
The START Randomized Clinical Trial
Stephen P. Messier, PhD1,2; Shannon L. Mihalko, PhD3; Daniel P. Beavers, PhD4; et alBarbara J. Nicklas, PhD2,3; Paul DeVita, PhD5; J. Jeffery Carr, MD6; David J. Hunter, MBBS, PhD7; Mary Lyles, MD2; Ali Guermazi, MD, PhD8; Kim L. Bennell, PT, PhD9; Richard F. Loeser, MD10
Author Affiliations
JAMA. 2021;325(7):646-657. doi:10.1001/jama.2021.0411

 

2021年2月 16日
変形性膝関節症の成人の膝の痛みと膝関節の圧縮力に対する高強度筋力トレーニングの効果
STARTランダム化臨床試験
スティーブンP.メシエ博士1,2; シャノンL.ミハルコ博士3; ダニエルP.ビーバー博士4; et alバーバラ・J・ニクラス博士2,3; ポール・デヴィータ博士5; J.ジェフリーカー、MD6; デビッド・J・ハンター、MBBS、博士号7; メアリーライルズ、MD2; アリ・ゲルマジ、MD、PhD8; キム・L・ベネル、PT、PhD9; リチャードF.レーザー、MD10
著者所属
ジャマ。2021; 325(7):646-657。doi:10.1001 / jama.2021.0411

 

参加者 : ノースカロライナ州の大学研究センターで実施された、BMIが20〜45で、膝の痛みを伴う地域在住の成人(50歳以上)377人を対象とした評価者盲検ランダム化臨床試験.

2012年7月から2016年2月の間に登録が行われ、2017年9月にフォローアップが完了しました。

介入 参加者は、高強度筋力トレーニング(n = 127)、低強度筋力トレーニング(n = 126)、または注意制御(n = 124)にランダム化されました。

高強度筋力トレーニングとは、5分間のウォームアップ、40分間のトレーニング、および15分間のクールダウンで構成されます。60分のセッションは18ヶ月間週3回行われます。このグループの参加者が1RM(個々の運動の最大反復回数)の75〜90%で各エクササイズを3セット持ち上げるように、2週間ごとに持ち上げられる負荷が調整されます。

低強度筋力トレーニングは、5分間のウォームアップ、40分間のトレーニング、および15分間のクールダウンで構成されます。60分のセッションは18ヶ月間週3回行われます。2週間ごとに、参加者が1RMの30〜40%で15回の繰り返しを3セット持ち上げるように、持ち上げられる負荷が調整されます。

コントロールグループ(注意制御)の参加者は、最初の6か月間は月に2回、その後7〜18か月間は月に1回、60分間の組織化されたワークショップに参加します。18か月にわたって、インタラクティブなプレゼンテーションでフットケア、栄養、投薬管理、睡眠習慣などのトピックが取り上げられ、専門家が幅広い講義を行います。

 

結論:  変形性膝関節症の患者では、低強度の筋力トレーニングや注意制御と比較して、高強度の筋力トレーニングでは、18か月で膝の痛みや膝関節の圧迫力が大幅に軽減されませんでした。

 

 筆者は、この結果を見て正直、そうだろうなと思いました。

もともと関節内が”荒れている”患者さんに強度の高い、膝関節に過度に負担のかかる筋トレがいいわけがありません。

むしろ短期の評価では、低強度群で膝痛の改善が良好だったとのことです。

我々が実臨床でやっている、PTらによる「運動器リハビリテーション」の正当性を、改めて支持するものであると思います。

 

f:id:hiro_chinn:20210306225124p:plain