ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

働く女性を考える

筆者の知人や職場のスタッフなどで、出産後前職に復帰できていない女性が少なからずおります。以前から言われていることですが、働く女性の現状に関し筆者なりに考えてみたいと思います。

まず労働力人口とは、15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口のことです。

15歳以上の人口から、通学者、家事従事者、病弱者、高齢などで生産活動に従事しないなどの非労働力人口を差し引いた人口。いいかえれば、働く意思と能力をもつ人口のこと、また、就業者と完全失業者とをあわせたものでもあります。

総務省統計局では毎月一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約4万世帯を対象に労働力調査を行っており、調査月の末日現在満15歳以上の者で下記に該当する者を労働力人口に含めます。

就業率とは、15 歳以上の人口に占める「就業者」の割合 です。
就業率は、近年男女ともに上昇傾向。令和2(2020)年は前年より低下しましたが、令和3(2021)年は、15~64歳の女性は71.3%、25~44歳の女性は78.6%、15~64歳の男性は83.9%になっています。

男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo02-02.html

2017年ですがOECD各国の中でも就業率は決して低くありません。あのアメリカ合衆国より上です。

しかも日本は年々増加しています。
しかし筆者から見ますと、出産後職場に戻ってこない女性が多い気がします。この点について調べてみました。

1)女性の就業に関する議論でよく言及されるものとして、女性の年齢階級別労働力率に見られる「M字カーブ」が挙げられます。M字カーブとは、女性の労働力率を縦軸、年齢階級を横軸として線で結んだとき、労働力率が女性の結婚・出産期に当たる20歳代後半から30歳代にかけて一旦低下し、その後は育児がとりあえず落ち着く40歳代(1990年代以前は30歳代後半)以降になると再び労働力率が上昇することを指しており、グラフに描かれる線がアルファベットのMの字のように見えることから、こう呼ばれています。 

働く女性の現状と課題
~女性活躍の推進の視点から考える~
調査情報担当室 前田 泰伸
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h31pdf/201918102.pdf

2)1997年以降、「雇用者の共働き世帯」の数が「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」の数を上回り続けており、両者の差も2012年頃から急速に拡大してきています。

また、内閣府「男女共同参画に関する世論調査」(2016年度)では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方(性別役割分担意識)に対して、男女とも、反対(「反対」(男性17.2%、女性21.5%)+「どちらかといえば反対」(男32.2%、女性37.0%))の割合が賛成(「賛成」(男性9.4%、女性8.3%)+「どちらかといえば賛成」(男性35.3%、女性28.7%))の割合を上回っており、同調査において「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」とする割合も、男女とも50%を上回っています(男性52.9%、女性55.3%)。

3)女性の就業分野における課題

ⅰ)依然として低い水準の女性管理職割合 
総務省「労働力調査(基本集計)」(2018)によれば我が国の管理的職業従事者(会社役員、課長職相当以上など)に占める女性の割合は14.9%であり、その割合が30%を超えている多くの欧米諸国に比べると際立って低いとの指摘もあります。

ⅱ)女性の雇用者の約半分は非正規雇用

非正規雇用者数は男性、女性とも基本的に増加傾向です。女性については、1988年の535万人から2018年には1,282万人へと2倍以上に増加しており、近年の2013年以降は1,200万人を超える水準で推移しています。非正規雇用の割合についても、男性、女性とも上昇傾向であり女性就業の量的な拡大に貢献していたのは、主に非正規雇用者の増加であったということができます。

ⅲ)依然として多い出産退職 

女性の正規雇用割合が30歳代以降に低下していくことの要因としては、やはり、女性労働力率のM字カーブの背景でもある女性の結婚・出産・育児が考えられます。

女性の就業は量的には拡大してきていますが、就業の内容を見ると、①女性ではパートやアルバイトなど非正規雇用者が多く、その割合も高い、②出産を機に離職する女性も多く、正規雇用であった女性が離職し、後に正規雇用として復帰できなければ、正規雇用割合の低下にもつながるという、基本的に二つの課題があると考えられます。

女性の就業継続とワーク・ライフ・バランスの確立のためには、必要な法整備に加え会社の前向きな取組と職場での理解や配慮 が必要ですし、保育所や放課後児童クラブなど保育サービスの充実が必要です。また家庭においては、夫の家事分担の増加に加え、三世代世帯の活用も考慮すべきでしょう。

女性の就業における課題はある程度あげられますが、対策には数多くの障害や問題があるようです。

国民の半分は女性であり、今後の人口減少を見据えて貴重な労働人口を少しでも増やし、しかもその生産性をできるだけ増加させていくことがどうしても必要となります。

 

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。