ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

医師の平均年齢

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おはようございます。

医療記事を見ていたら医師の平均年齢という記事に目が留まりました。

 

Medical Tribune
診療所医師の平均年齢、28年ぶり60歳超...病院勤務医は45歳〔読売新聞〕
2022年03月24日 17:21

全国の診療所の医師の過半数が、60歳以上になったとの調査結果を厚生労働省が発表した。
発表によると、2020年末の時点で、診療所の医師数は10万7226人で、2年前の前回調査より3390人増えた。年齢別にみると、60歳以上が51・4%を占めた。診療所の医師の平均年齢は60・2歳で、病院勤務医(45・1歳)より大幅に高かった。厚労省は、診療所の医師の高齢化が進む背景を、「若い世代の医師は病院勤務を選ぶ傾向があり、診療所などの開業医には定年がない。医師全体も高齢化している」としている。
診療所で60歳以上の医師が5割を超えるのは1994年以来。当時は医学部の定員減が影響したとみられるという。

日本国民の高齢化に合わせて、医師も当たり前のように高齢化しています。筆者もその一人です。(気持ちは非常に若いのですが)

元のデータを知りたくて厚労省のホームページを見てみました。

令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/index.html

 

令和2年12月31日現在における全国の届出「医師数」は339,623人で、「男」262,077人(総数の77.2%)、「女」77,546 人(同22.8%)となっている。
令和2年届出医師数を平成30 年(以下「前回」という。)と比べると12,413 人、3.8%増加している。また、人口10 万対医師数は269.2 人で、前回に比べ10.4 人増加している。

(1) 施設・業務の種別にみた医師数
主に従事している施設・業務の種別をみると、「医療施設の従事者」は 323,700 人(総数の 95.3%)で、前回に比べ11,737 人、3.8%増加している。「介護老人保健施設の従事者」は3,405 人(同1.0%)で、前回に比べ17 人、0.5%増加し、「医療施設・介護老人保健施設・介護医療院以外の従事者」は9,419人(同2.8%)で88 人、0.9%増加している。

(2) 医療施設に従事する医師数 
医療施設(病院・診療所)に従事する医師を年齢階級別にみると、「50~59 歳」が67,525 人(20.9%)と最も多く、次いで「40~49 歳」67,406人(20.8%)、「30~39 歳」66,210 人(20.5%)となっている。
施設の種別にみると、「病院(医育機関附属の病院を除く)」158,993 人が最も多く、「診療所」107,226人、「医育機関附属の病院」57,481 人となっており、これを年次推移でみても、昭和 61 年以降「病院(医育機関附属の病院を除く)」が最も多い。

施設の種別に年齢階級をみると、「病院(医育機関附属の病院を除く)」「医育機関附属の病院」では「30~39 歳」、「診療所」では「60~69 歳」が最も多い。
平均年齢をみると、「病院(医育機関附属の病院を除く)」では 47.2 歳、「医育機関附属の病院」39.3 歳、「診療所」60.2 歳となっている。

3) 診療科別にみた医師数
従事する主たる診療科別にみると、「40 臨床研修医」を除くと「1内科」が 61,514 人(19.0%)と最も多く、次いで「25 整形外科」22,520 人(7.0%)、「13 小児科」17,997 人(5.6%)となっている。

主たる診療科の構成割合を性別にみると、「男」は「1内科」(20.2%)が最も多く、次いで「25整形外科」(8.5%)、「4 消化器内科(胃腸内科)」(5.1%)となっており、「女」は「40 臨床研修医」を除くと「1内科」(14.8%)が最も多く、次いで「13 小児科」(8.8%)、「28 眼科」(7.2%)となっている。

主たる診療科を施設の種別にみると、病院では「40 臨床研修医」を除くと「1内科」が21,950 人(10.1%)と最も多く、次いで「25 整形外科」14,419 人(6.7%)、「14 精神科」12,163 人(5.6%)となっている。主たる診療科の構成割合を性別にみると、男女とも「1内科」が最も多い。
一方、診療所では「1内科」39,564 人(36.9%)が最も多く、次いで「28 眼科」8,612 人(8.0%)、「25 整形外科」8,101 人(7.6%)となっている。主たる診療科の構成割合を性別にみると、男女とも「1内科」が最も多い。

5) 都道府県(従業地)別にみた人口10 万対医師数
徳島県が338.4 人と最も多く、次いで京都府332.6 人、高知県322.0 人となっており、埼玉県が177.8 人と最も少なく、次いで、茨城県193.8 人、新潟県204.3人となっている。

この統計結果に関して皆さんは様々な意見を持たれることと思います。

確かに人口は減っていても、全体の医師数は少し増えています。

筆者の経験からお話すれば、出身県、出身大学、子供の教育環境など様々な理由で医師の偏在が起こります。ですから一般の国民から見るとまだまだ医師数が足りてないという気持ちになるかもしれません。

新型コロナウイルス感染症の発生初期に、日本はOECD加盟国の中で医師数が非常に少ないと報道されたことがありました。

医師の偏在化の対応のためにも、例えば東京一極集中が解消されれば大きく変わっていくかもしれません。

 

国民の医療機関へのアクセスという観点からすると、診療所の医師の高齢化が進み、将来的に診療所数が減少していくと大問題になっていくでしょう。

少なくとも多くの国民が病気やけがで最初に相談されるのは地域の診療所ですから。