ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

Silent invasion

f:id:hiro_chinn:20210723203208p:plain

 

www.sankei.com

『 オーストラリアに浸透する中国の影響に警鐘を鳴らす書籍を2月に出版した豪チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授が20日までに、産経新聞の取材に応じた。教授は著作で、中国は「民主主義を利用して民主主義を破壊する」と指摘。取材には「中国が豪州に介入した手法は日本にも適用される。日本の人々は脅威を認識する必要がある」と訴えた。
教授の著書「サイレント・インベージョン(静かなる侵略)」は、豪州に移住してきた中国系の富豪が与野党の政治家や大学に多額の資金を提供している実態を紹介。こうした政治家の発言や大学の研究が、南シナ海問題や自由貿易協定(FTA)などで、中国に望ましい方向に政策を誘導しようとした実態を明らかにした。また、富豪らが中国の国政助言機関、全国政治協商会議(政協)の代表を務めていたとして、共産党との関係にも疑いの目を向けた。

その上で、中国の豪州政治への干渉策は「(既存の)法律に違反しない点が新しい」とし、「政府の運営や民主主義の価値を損ねており、違法化すべきだ」と主張。』

と報道しました。

 

『 この著者であるハミルトン教授は、中国によるチベット人の人権弾圧問題に抗議するための合法で平和的なデモに参加した際、多数の中国人たちが押し寄せ、彼らが、デモ参加者のオーストラリア人に殴る・蹴る等の明らかな暴行を受け重症を負う…という現場を目の当たりにしました。そして、現地の警察は成す術もなく無力でした。
これがきっかけで、ハミルトン教授は、オーストリア政府は中国共産党に何らかの「忖度」をしているのではないか?オーストラリアは中国に支配されているのではないか?との疑問を抱くようになり、豪州に移住してきた中国系の富豪が与野党の政治家や大学に多額の資金を提供したり、ビジネスマンが買収されていることなどの証拠を盛り込み、2018年に『サイレント・インベージョン』、そして、2020年にその欧州版として『ヒドゥンハンド』を出版しました。
ハミルトン教授が参加した平和的なデモというのは、2008年の北京五輪の聖火ランナーリレーがオーストラリアに回って来たタイミングでのことでしたが、ロンドン、パリ、サンフランシスコなどはじめ、日本でも、長野にも来ました。ネットニュースなどによると、世界各地で中国人学生らとチベット支持派の衝突があったようです。

もちろん日本の長野でも同様の状況となり、YouTubeにその時の様子が映像としてUPされましたが、当時、中国共産党サイドが動員した学生らは数千人規模であり、チベット支持者に対して暴行を働き、これも、その当時はネット上で話題になりました。
日本の大手メディアは、明らかに、意識的に中国側を擁護している…としか思えない報道をしています。
そして、ネット上では、長野の現場の状況について“暴徒”である中国側を日本の警察があたかも守っているかのように見える…といった投稿が非常に多かったということを、私は今でも記憶しています。

このような中国の侵略行為について、マルコ・ルビオ議員らの働きかけにより、アメリカ議会での公聴会にも招聘されました。ハミルトン教授は、その場においても、中国共産党による豪州の政治や経済界への干渉は「目に見えぬ侵略」であり、(既存の)法律には巧みに違反していない点も危険である」「誰もが参入できる自由主義社会に入り込み、民主主義を利用して民主主義を壊す侵略を違法化すべき」と警鐘を鳴らしました。』
と和田憲治氏は述べています。

 

遅ればせながら、筆者はこの「silent invasion」(日本語訳)を購入し1回読んでみました。

筆者にとって驚くべき内容が書かれており、中国の危険性を再認識しました。

 

https://yoshiko-sakurai.jp/2020/06/11/8716 中国の豪州侵略は、日本への警告だ

コラム
2020.06.11 (木)「 中国の豪州侵略は、日本への警告だ 」『週刊新潮』 2020年6月11日号日本ルネッサンス 第904回

櫻井よしこ氏はコラムの中で『 著者のハミルトン氏は豪州キャンベラのチャールズ・スタート大学公共倫理学部の教授である。2008年、北京五輪の年、豪州における中国勢力の浸透に不審を抱いた。聖火が到着したキャンベラに何万人もの中国系学生が集まり、一般のオーストラリア人が中国人たちから蹴られ、殴られた。自分の国で外国人学生の乱暴狼藉をなぜ受けなければならないのか。そもそも万単位の中国人学生たちは如何にして突如キャンベラに集結したのか。この疑問が氏の中国研究の始まりだった。
氏の体験は、同じ年、長野市に中国人学生が集結しチベット人や日本人に暴力を振るった事件とほぼ完全に重なるではないか。

北京の大戦略は米国の同盟国を米国から分離させ、米国の力を殺(そ)ぎ落とし、中華の世界を築き上げることだ。『目に見えぬ侵略』は、北京が豪州とニュージーランド(NZ)を米国の同盟国の中の「最弱の鎖」と見ていること、この両国を第二のフランス、つまり「米国にノーと言う国」に仕立て上げたいと考えていること、その為に両国の国全体、社会全体をコントロールし易いように親中的に変えていく政策を、中国政府が採用したことをつきとめている。
豪州に対する有無を言わさぬ支配権を握るべく工作してきた。そのひとつがインフラの買収だ。数ある事例のひとつが電力である。
電力は産業のコメだ。安定した供給なしにはその国の産業は成り立たない。豪州政府が中国の意向に逆らうような政策を打ち出す場合、北京政府は中国系資本所有の電力会社の供給を止めることで豪州を締め上げることができる。』と述べています。

 

https://forbesjapan.com/articles/detail/38446/1/1/1

政治経済 2020/11/30 07:30
激化する中国と豪州の貿易対立、500億円分の石炭が海で足止めに 

Forbs JAPAN によりますと、
『 中国とオーストラリアの関係は、オーストラリア政府が5Gネットワークからファーウェイ排除を決めた2018年以降、悪化した。さらに、今年4月中旬にモリソンが新型コロナウイルスのパンデミックの発生源の、独立した調査を中国に求めて以来、関係はさらに悪化した。中国側はこの要求を即座に拒否していた。
その数週間後、中国はオーストラリア産大麦の輸入に80%の関税をかけ、オーストラリア産牛肉の輸入に新たな制限をかけた。それ以来、紛争に巻き込まれた品目のリストは急速に増加している。中国は27日、オーストラリア産ワインに反ダンピング(不当廉売)措置を発動し、107%以上の保証金を徴収すると発表した。

オーストラリアの外務貿易省によると、中国はオーストラリアの最大の貿易相手国であり、2019年の取引額は約1850億米ドルに達していた。この数字は2018年から17.3%上昇し、オーストラリアの輸出の27.4%を占めていた。

中国大使館はまた先日、オーストラリアのメディアに、両国の関係悪化の背後にある14の項目のリストを開示した。そこには外国投資の制限や、非友好的なメディア報道、オーストラリアの5Gネットワークからのファーウェイの排除、台湾や香港、ウイグルへの不当な干渉などが含まれていた。
モリソン首相は26日の記者会見で、「これらの14項目は、オーストラリアが自国の利益のためにやっている措置に関するものだ。つまり、これらはこの国の根本的な統治に関わるものなのだ」と述べた。』と伝えています。

 

簡単に言うと、中国はオーストラリアに対して米国との安保から離反させる目的で「silent invasion」を仕掛け、これに気が付いたオーストラリアに対して執拗に様々な方法で攻撃しているということかと思います。

 

https://www.nna.jp/news/show/2129686

アジア経済ニュース
【特別インタビュー】「目に見えぬ侵略」に目覚めよ クライブ・ハミルトン氏インタビュー

 

 この中で「 ところで日本の対中政策はオーストラリアや他の欧米先進国と比べ非常にソフトですが、どう思いますか?」との問いに対して、クライブ・ハミルトン氏は、

「 中国は日本に対しては常にケンカ腰です。日本は洗練されて豊かな国なので、嫉妬的な感情があるのかもしれません。でも日本はオーストラリアと比べても遥かに多く、中国共産党からの影響を受けていて、民主主義と主権に多大な影響を及ぼしているのに、日本の政権幹部は実態を知りたがっていないようです。
モリソン首相と日本の菅首相が軍事協力協定を結んだのは、中国が世界各地で覇権的に動いていることに対抗することで、有効でしょう。」

と答えています。 

 

中国の自由民主主義社会へのinvasionは今後もっと熾烈になっていくと思われます。自分も含めて能天気な日本国民と政治家・官僚は、考えを新たにして中国の侵略に応戦していく必要があると強く思いました。 

 

f:id:hiro_chinn:20210723220454p:plain