ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

ワクチンの廃棄と接種状況

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以前筆者は、記事の中でキャンセルなどで余ったワクチンは、廃棄するよう自治体から言われていると書かせていただいたかと思います。河野大臣は決して廃棄せず他の人に接種するようにといっていたにもかかわらずです。やっと官僚が通達を出したようです。

 

 事 務 連 絡
令和3年5月25日

 

都 道 府 県
各 市 町 村 衛生主管部(局)御中
特 別 区
厚生労働省健康局健康課予防接種室

 

新型コロナワクチンの余剰が発生した場合の取り扱いについて

 

標記について、下記のとおりといたしますので、管内の市区町村及び関係団体に周知いただくようお願いいたします。なお、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の該当箇所等は追って改正します。

新型コロナワクチンの接種予約がキャンセルされた等の理由で余剰となったワクチンについては、廃棄することなく、効率的に接種を行うこと。その対象者については、各自治体において、地域の状況を踏まえ、幅広い対象を検討することとし、また、接種券を保有していない者についても対象とするなど、柔軟な対応を検討し、判断すること。接種券を保有していない者に接種する場合は、例えば、本人確認書類等で、氏名、生年月日、住民票上の住所、連絡先などの情報を記録しておくといった工夫を行うことなどが考えられます。

余ってしまったら接種券の有無にかかわらず、廃棄せずほかの人に接種すればいいんです。例えば救急隊とか保育園の保母さんとか、前もって決めておけばいいだけだと思います。

 

筆者が勤務している地域では、ほぼ医療従事者のワクチン接種は終了し、高齢者施設の接種も終了し、集団接種(地域の診療所の医師が交代で実施)は既に開始され、もう少しして個々の診療所での個別接種が始まろうとしています。かかりつけの患者さんの予約も随時進んでいます。

モデルナワクチンと違ってファイザー社製ワクチンは、(バイアル内の圧力や振動に注意して)希釈する必要があり、看護師さんには念のためYOU TUBEの動画などで勉強してもらって、冷蔵庫からの出し入れ等シュミレイションしていただいているところです。

 

ところで現在の日本の接種状況は、どうなっているのでしょう。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

これまでのワクチン総接種回数

・医療従事者等:7,196,366回(令和3年5月27日)
(+145,149 )
・高齢者等:3,979,962回(令和3年5月27日)
(+436,079 )

と首相官邸ホームページに載っています。

 

高齢者等の接種状況

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5月27日時点で約1100万回。人口の80%を目標とするとまだ、約7%しか実施されていません。

ワクチン接種をもっと加速させていかなければなりません。大規模接種方法もかなり有効と思いますが、高齢者は近くで受けたいだろうと思いますので、地域の集団接種会場をもっと増やして行くべきでしょう。一般接種は遠くても集まるでしょうから大規模接種会場がより有効になるでしょう。

そして筆者からすると「打ち手が少ない」議論がなぜ出てくるのかよくわかりません。看護師さんにやってもらえば何の問題もありません。注射を全くやったこともない職種に任せるより、誰よりも経験の豊富な看護師のほうがいいに決まっています。病院や診療所の管理者に協力してもらって、非番の看護師さんに交代で集団接種会場に集まってもらう。接種会場での全体のマネージメントや副反応出現時は待機の医師がちゃんと対応する、というのも一案であろうと思います。

とにかく早くワクチンを国民に2回接種しなければなりません。筆者も微力ながら協力を惜しまないつもりです。

 

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