ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

気象病

 天気痛

 治療は?

 私をいじめないで

  

 

遅い梅雨明けの後の酷暑。そして彼岸前の急激な気温低下。秋雨前線の活動が原因しているのか、整形外科外来に来られる患者さんで、体の不調を訴える方が非常に多くなった気がします。

整形外来の患者さんは、私の経験上、元々季節や天気の変化に伴って、体の不調を訴える方が、非常に多い印象があります。

しかし、今年は特別です。コロナの影響もあり、体調管理が大変難しくなっているのかもしれません。

 

天気痛

 

この天候によって体の変調を来す病気を、気象病、今は天気痛とも言われるようです。

腰痛、肩こり、神経痛、関節痛、リウマチの症状などの整形外科的な症状以外に、メニエル病、喘息、めまい症、うつ病、頭痛、蕁麻疹なども出現や悪化したりする原因になる疾患、症状群です。

どうも症状群のようで、様々な疾患を含んでいる病名のように思え、単一のメカニズム、病態を追求するのはなかなか難しそうに思えます。

しかし、天気痛の第一人者である、愛知医科大学の佐藤先生方が、 内耳の前庭気圧のセンサーがあることを、世界で初めて見つけられました。

台風が発生すると気管支喘息の発作が起こる。

春先になると精神疾患の患者が増える。

天気が崩れる前に体の節々が痛くなるなど、昔から経験的に、気象と体の深い関係には気付いていましたが、やっと研究の緒に着いたものと思われます。

 

治療は?

 

慢性腰痛でも言われるように、イメージとして、慢性的な繰り返しの気象の変化による刺激が脳を変化させ、以前の疼痛が起きていた場所に持続的な痛みを感じ続けさせたり、本来体が疼痛を抑制する仕組みである、「下行性疼痛抑制系」に影響を及ぼしたりするのでしょうか。

 

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全くの私の勝手な考えですが、自律神経のバランスの崩れで天気痛のメカニズムを説明しようともしますが、我々整形外科医にとっては、交通事故の頸椎捻挫(むち打ち症、外傷性頸部症候群)がよく似ていると思います。

頸部には、自律神経がたくさん分布しており、頸椎捻挫の中にバレリュー型という、頭痛、めまい、吐き気などの自律神経症状を呈してくる一つの型があります。

これは見逃すと交通事故の症状を悪化、遷延化させる要因の一つとなります。

もし天気痛が慢性腰痛のような病態があるのであれば、プレガバリンやSNRI、三環系抗うつ薬などが効果を期待できるし、自律神経のアンバランスであれば、トフィソパム(グランダキシン)が著効するかもしれません。

 

私をいじめないで

 

整形外来に通っていただいている多くのお年寄りは、体力的に気象の変化に弱く、特に最近の地球温暖化に伴う激しい変動に際し、体調の不良を強く訴えられる方が多く、この為私の体調も少なからず悪化します。

 

昔の日本は四季がちゃんとありましたが、最近は冬と夏しかない印象です。

天候、気象に文句を言っても仕方ありませんが、研究が進み、気象病の方に、少しでもご自身の症状の原因や機序を医学的に説明して上げれれば、いくぶん気が安らぐでありましょうし、薬物治療の余地も少しでも広がっていくことでしょう。

 

我々一線の医師の素直な疑問を、研究テーマにしていただくのは大変ありがたいことですし、今後の研究に大いに期待したいと思います。

 

 

 

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