ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

骨折と骨粗鬆症

 子供の骨折

 高齢者の骨折

 

 

今回でブログを始めて6記事目になりますが、一線の整形外科医から見た医療機関内の実際を、できるだけ皆さんにそのままお伝えする目的で、書いております。

一人の医者が何を考え、どういう仕事を実際にしていたのか、その一端でもお伝えできればうれしく思います。

整形外科医になって、約30年になりますが、その間幾つかの種類の医療機関で仕事をしました。まず大学病院。より高度の医療及び研究、教育施設であります。次に中規模の総合病院。地方の基幹病院であり一次救急(とにかく整形外科の患者さんが、まず最初にかかる病院)からより高度な医療を担う二次、三次まで行うことも普通の病院でした。この類の病院は外傷病院と呼ばれます。この外傷病院に私は15,6年勤務しました。

夜間の救急外来や昼間の整形外科外来を経由して入院される患者さんの多くは、骨折の患者さんでした。必然的に骨折の手術は、たくさんありました。

3人の開放骨折(骨折と外界が交通しており、感染しやすい骨折)の患者さんが、別々に救急車で搬送され、一晩で3回手術室で手術したこともありました。この時はさすがにヘロヘロになりましたが、我々外科系の医者は体力勝負なので疲れた顔はできるだけ見せず頑張った覚えがあります。

 

子供の骨折

 

やんちゃな子供が遊具や木から落ちたり、中学生や高校生がスポーツ中に鎖骨や手首、足首を骨折して来院する。

ちなみに、中学、高校生は部活中に半分以上の子が骨折し、種目はバスケットボール、サッカーが多く、小学生は休憩時間が多いようです。

乳幼児の骨折は、上腕骨の顆上骨折や外果、内上顆の骨折が多く、多くの場合入院して手術が必要になります。

手術前の肘周辺の骨折や、大腿骨骨折などは介達けん引(ゴムラバーを患肢に巻き付けて、重錘で引っ張る)がしばらくの期間必要になります。

誰でもそうであると思いますが、子供が泣いたり苦しんだりしているのを見るのは、医者である私もつらい思いになりますし、多くの場合母親も一緒に付き添って頂いて(子供の場合、お願いすることになる)入院生活を送るようになりますので、一家全員が大変な状況になります。

乳幼児の入院、手術に際しては、小児科の協力があると大変ありがたく、小児科がない病院ではなかなか子供の入院手術は難しくなります。もちろん子供の手術は全身麻酔ですので、麻酔科の常勤も必要になります。まさに医療は多科目間、多職種間の共同作業であります。

一つの科目や一人の医者の努力で完結するものでは決してありません。

骨折の痛みは、なった者にしかわからないとよく言いますが、激烈な痛みであることが通常で自分もそうですが家族には決して味合わせたくない類の痛みです。

 

高齢者の骨折

  

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今後高齢化に伴い、統計的に予想すると整形外科の手術は40%増えるそうですが、私が勤務していた当時から病院の整形外科としてよく遭遇したのは大腿骨近位部骨折です。

大腿骨の骨頭から少し遠位にあり骨幹部との間の部位で物理的に弱く、よく骨折をおこします。今は少し違うかもしれませんが入院後スピードトラックといって介達けん引を腓骨神経麻痺に注意しながらしたり、膝下に鋼線を刺入してこれを手掛かりにけん引(直達けん引と言います)したりします。

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要は、けん引しないと痛みが軽減しないからです。それと手術がしやすいように行われます。

 

もう一つご家族も我々も困るのは、入院された当日の夜から患者さんが不穏状態になり昼夜逆転状態になります。骨折の痛みや、動けなくなったり、環境が変わったりの原因からと思われます。

この対策としては、できるだけ早く手術をして早期離床を計るしかありません。

軽くしりもちをついただけでも、お年寄りは骨折します。それを防ぐにはフレイル或いは介護予防のためのリハビリと骨粗鬆症の薬物治療が必要になります。

 

要介護になる3大疾患の一つが、骨折転倒、関節疾患(他は認知症脳卒中)。

要介護になるだけではなく、お年寄りが骨折して入院し安静を余儀なくされると、余病がたくさん出てきて高率に致命的になります。

 

骨粗鬆症の治療というのは、目標が骨折予防であり特に困った症状が今現在あるわけではありませんが、寝たきり原因の多くを占めたり、骨折を起こした時の大きな苦痛や悪い予後を考えれば、様々な薬が備わってきている今日、是非薬物治療を始めたほうが良いと切に思います。

 

 骨粗鬆症の治療に関しては次稿に譲ることとします。

 

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