ファイザー社製ワクチンの4回目接種に関して、イスラエルからサンプルサイズの大きいデータが出されました。
原著
イスラエルのオミクロンに対するBNT162b2の4回目の投与による保護2022年4月5日
DOI:10.1056 / NEJMoa2201570
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2201570?query=featured_coronavirusイスラエルでは、オミクロン株の出現により昨年(2021年)12月ごろからSARS-CoV-2感染者が急増しました。その要因として変異による免疫回避に加え、多くの国民がワクチン3回目接種から4カ月以上経過していることが挙げられます。
そのため同国では今年1月、ワクチン3回目接種から4カ月以上経過している60歳以上の成人、医療従事者、高リスク集団に対してトジナメランの4回目接種が承認されました。
同研究の対象は、オミクロン株が優勢だった2022年1月10日〜3月2日に60歳以上でトジナメランの4回接種基準を満たした125万2,331人。
最終的に62万3,355人にトジナメランの4回目接種が実施され、4回目接種から8日経過した者を4回接種群(追跡期間2,393万5,905人・日)、4回目接種後3〜7日の者を4回対照群(同3,100万,299人・日)、未接種者を3回接種群(同267万3,874人・日)と定義。検討の結果、10万人・日当たりの重症化症例は、3回接種群の3.9例、4回対照群の4.2例に対し、4回目接種群では1.5例だった。4回接種群に対する接種後4週時点の調整後重症化率比は3回接種群で3.5(95%CI 2.7〜4.6)、4回対照群では2.3(同1.7〜3.3)といずれも高かった。また、抑制効果は6週間維持されました。
10万人・日当たりの感染者数は、3回接種群の361例、4回対照群の388例に対し、4回接種群では177例でした。4回接種群に対する接種後4週時点の調整後感染率比は3回接種群で2.0(95%CI 1.9〜2.1)、4回対照群では1.8(同1.7〜1.9)といずれも高い値でした。ただし、5週目以降は抑制効果が減弱しました。討論
少なくとも4か月前に与えられた3回のワクチン投与と比較して、4回目の投与は、確認された感染症およびオミクロン変異体によって引き起こされる重篤な病気に対する追加の短期的保護を提供することを示しています。確認された感染症の発生率は、4回目の投与を受けなかった適格者よりも4回目の投与を受けた4週目の人の方が2倍低く、重篤な疾患の発生率は3分の1でした。
4回目の投与以降の比率を経時的に比較すると、オミクロン変異体による確認された感染に対する防御はワクチン接種後4週間で最大に達し、その後、比率は8週目までに約1.1に低下することが示唆されます。これらの調査結果は、確認された感染に対する保護が急速に衰えることを示唆しています。対照的に、重度の病気に対する保護は、4回目の投与を受けてから6週間目までに減少するようには見えませんでした。長期にわたる重篤な病気に対する4回目の投与の保護を評価するために、より多くのフォローアップが必要です。
感染予防効果は、4回目接種後8週目までに1.1まで低下しましたが、重症化予防効果は、6週目までは少なくとも低下しなかったとのことです。
より長期のフォローアップにより、重症化予防効果がどれくらい続くのか把握することが必要です。それによって4回目接種の時期が決まるものと思われます。
NHK
新型コロナワクチン 4回目接種は必要?今後も打ち続けるの?
2022年3月29日 17時39分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220329/k10013556951000.html
4回目の接種について
▽イギリスは、追加接種から6か月以上がたった75歳以上の人や、介護施設に住む高齢者、それに12歳以上の免疫不全の人に
▽フランスでは、追加接種から3か月以上たった80歳以上の人などに
▽ドイツでは、追加接種から3か月以上たった70歳以上の人や介護施設の入所者、5歳以上の免疫不全の人、それに6か月以上たった医療従事者などに接種を推奨しています。
また
▽イスラエルでは追加接種から4か月以上たった60歳以上の人や医療従事者、それに18歳以上の免疫不全の人などに
▽韓国では追加接種から4か月以上がたった重症化リスクが高い基礎疾患のある人や入院患者や医療従事者を対象としています。
接種の間隔について、大阪大学の宮坂 招へい教授は一定程度の時間をおいて接種した方が効果が高いと指摘しています。
宮坂 招へい教授
「3回目の接種のあと、あまりに短期間で4回目の接種を行うのは、免疫学の観点から考えると効果が低い。間隔を十分にあけて接種を行うことで質のいい抗体ができる」
「新型コロナウイルスに対する免疫は持続期間が短く、免疫のレベルはとても高いわけではなさそうだということが分かってきた。インフルエンザワクチンのように、ある程度の感染者は出るけれども、重症者の発生は抑えることができる戦略でいいのではないか。ワクチンを接種していても軽い感染は起きてしまうが、重症化しない。うまくいけば1年に1回の接種で済むようになるのではないかと期待している。ただ、それでも、重症化リスクが高い人は、もう少し頻回に追加接種が必要かもしれない。副反応を減らしながら効果を得るためには、どの程度の接種量と間隔がいいのか、4回目や5回目の接種を想定し、日本でも臨床試験などで確認するべきだ」
宮坂先生の意見に全く同感です。
4回目接種は、高齢者や重症化リスクの高い人は必要になると思われます。3回目からどれくらいで接種するのかは、もっとデータを見ながら決める必要がありますが、必要な時にすぐできるように今から準備は必要であるというのが今現在の正当な考え方であると思います。