オミクロン株の感染拡大に伴いその検査キットである抗原定性検査キットの品不足が深刻のようです。
ここで一回、抗原定性検査及びそのキットに関してまとめておきたいと思います。
ワクチン・検査パッケージ制度における抗原定性検査の実施要綱
令和3年 1 1 月 1 9 日 内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室https://corona.go.jp/package/assets/pdf/kougenteisei_jisshi.pdf
上が昨年11月8日時点で、日本において承認されている検査キットになります。
抗原検査キットとは、ウイルスを含む検体(鼻腔ぬぐい液:綿棒で鼻をぬぐったもの)中のウイルスと標識抗体(目で見えるような目印がついている抗体)を結合させることで、目でウイルスの存在を確認するキットです。
PCR検査との違いは、PCR はウイルスの一部を増やして検出するので、体の中のウイルスが少ない時にも検出可能です。一方、抗原定性検査はウイルスにある目印(タンパク質)を捕まえる検査のため、ウイルス量が多くなってきた時に検出が可能になります。
抗原検査には、定性検査と定量検査があります。
抗原定性検査は、イムノクロマトグラフィー法によりウイルスの抗原を検知するものであり、有症状者において、発症から 9 日目以内の症例では確定診断として用いることができます。イムノクロマトグラフィー法による定性検査は簡便・迅速なポイントオブケア・デバイスとして使用可能であることから、外来やベッドサイドにおける有症状者のスクリーニング等に有用であり、医療・介護施設の職員等が体調不良を認める場合であって、リアルタイム RT-PCR 等が迅速に実施できない場合にも活用が推奨されます。
無症状者に対する抗原定性検査は、リアルタイム RT-PCR 法等と比較し感度が低下する可能性があるため、確定診断として用いることは推奨されません。しかし、感染拡大地域等の医療・介護施設における職員や入院患者・入所者に対して幅広く検査を実施する必要が生じる場合があります。その際リアルタイム RT-PCR 法等では頻回な実施が困難ですが、抗原定性検査をより頻回に実施可能であれば、頻度及び結果の迅速性の観点から抗原定性検査は有効と考えられます。ただし、抗原定性検査は核酸検出検査や抗原定量検査より感度が低いことを考慮し、検査結果が陰性の場合も感染予防策を継続する必要があること等に留意が必要です。
抗原定性検査キットは、発症から9日目以内の有症状者の確定診断。
無症状者に対して、確定診断としての使用は推奨されませんが、感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能です。ただし、結果が陰性の場合でも感染予防策を継続すること、また、結果が陽性の場合であって医師が必要と認めれば核酸検出検査や抗原定量検査により確認することが必要となります。
そして検体は、鼻咽頭か鼻腔から採取することが必要で、唾液は不可です。
Journals Diagnostics Volume 12 Issue 1 10.3390/diagnostics12010110
COVID-19診断のための迅速抗原検査のパフォーマンス:系統的レビューとメタ分析
診断 2022、12 ( 1 ) 、110; https://doi.org/10.3390/diagnostics12010110
受領:2021年12月1日 / 改訂:2021年12月30日 / 承認済み:2021年12月30日 / 公開日:2022年1月4日概要
現在の系統的レビューは、市販のRAT(迅速抗原検査)のプールされた感度と特異性を評価することを目的としています。
文献検索は、PubMed、Embase、およびCochrane COVID-19 Study Registerを介して実行され、2021年8月26日までに公開された研究を検索しました。RAT(迅速抗原検査)およびサブグループ分析の全体的なプールされた感度と特異性が計算されました。RAT(迅速抗原検査)の全体的なプールされた感度と特異度はそれぞれ70%(95%CI:69–71)と98%(95%CI:98–98)でした。サブグループ分析では、鼻腔スワブ83%(95%CI:80–86)の最高感度を示し、次に鼻咽頭スワブ71%(95%CI:70–72)、喉スワブ69%(95%CI:63–75)が続きました。および唾液68%(95%CI:59–77)。症候性患者からのサンプルは、68%(95%CI:65–71)の無症候性患者と比較82%(95%CI:82–82)の高い感度を示しましたが、サイクルしきい値(Ct)値≤25はより高いCt値と比較し96%(95%CI:95–97)のより高い感度でした。
PCR検査もそうですが、抗原定性検査も事前確率の高い集団と的確な検査時期で検査してこそ診断確率が上がります。
最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。