ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

通勤電車2

 

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新型コロナウイルス感染症において、昨今の感染者急増の原因の一つが感染伝搬様式の変化が主な原因であることには、異論はないと思われます。

筆者は空気感染と通勤電車での感染の可能性を以前より記事の中で主張してきました。

 

今回感染者の感染経路に関する、大変小規模ではありますが、生のデータを見ることができる報告を見ることができました。

 国立国際医療研究センターの匹田 さやか氏(国際感染症センター)らの研究グループは、入院時に感染経路が不明であった事例を対象に調査を行い、その結果をGlobal Health & Medicine誌に発表しました。


2021年8月10日
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター

方法
 2021年5月22日~6月29日に国立国際医療研究センター病院に入院した20歳以上の
新型コロナウイルス感染症患者43名を対象とした。
 そのうち、感染経路が明らかでない22名(男性17名、女性5名、年齢中央値44歳)
より発症前の行動歴を詳しく聞き取った。

結果
 22名のうち、14名(64%)に感染リスクの高い行動歴があった。
 感染リスクの高い場面はのべ24あり、うち21場面(88%)が飲食関連、22場面(92%)
でマスクが着用されていなかった。

 

この中で回答数が多かったのは下記の4場面です。

インドア・ダイニング   21人
ショッピング       34人
職場・仕事関連      22人
公共交通機関・交通関連  31人

 

この中で筆者が注目したのは、通勤電車です。

公共交通・交通関連  31人(複数回答)
自転車での移動    8 
電車での通勤     5
自転車での移動    4  (発症前4~7日)
徒歩での通勤     4
電車での通勤     3     (発症前4~7日)
徒歩での通勤     2  (発症前4~7日)
通勤時        2       (発症前4~7日、マスクなし)
電車での通勤     1  (発症前4~7日、マスクなし)
徒歩での通勤     1  (発症前4~7日、マスクなし)
タクシーでの通勤   1    (発症前4~7日)

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ghm/advpub/0/advpub_2021.01092/_pdf/-char/en

Global Health & Medicine - Advance Publication
DOI: 10.35772/ghm.2021.01092

 

意外だったのは、電車通勤は9人ですから決して多くはありません。

もっとサンプルサイズが大きくないと何とも言えませんが、非常に大きなリスクではないのかもしれません。

 

職場関連ではどうでしょう。

 

職場・仕事関連  22人
職場での会議や面接  10人
仕事の後、同僚と1~2時間会話したが、同僚は陽性反応を示した (発症前4~7日、マスクなし)  3人
職場でのミーティングやインタビュー (発症前4~7日) 2人
カラオケ指導 (発症前4~7日) 1人
インストラクターとしてのマンツーマンレッスン (発症前4~7日) 1人
障がい者施設での事務作業 (発症前4~7日) 1人
新幹線の車内清掃 (発症前4~7日) 1人
障がい者施設利用者の送迎  1人
喫茶店での接客  1人
職場の洗面所での歯磨き  1人

 

職場での会議や面接、マスクなしの会話がいけないようです。

 

ここまでで気が付いたことは積極的疫学調査の重要性です。

以前は保健所でやっていたものが、今は業務過多とかで公然と実施していません。 

 別に専門性はいらないのですから、少人数人員を確保すればできるはずです。

 

drhirochinn.work

やはり気になるには通勤電車です。空気感染の増加や通勤人口の規模を考えれば個々の感染頻度が大きくなくても全体としては大人数になります。 

 そうであれば最大限テレワーク率を上げるか、首都圏に限って短期間のロックダウンを実施するしかありません。

 国民への説得力はデータしかありません。

 

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