ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

ワクチン接種後の心筋炎2

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コロナワクチン接種後でも C O V I D -19 罹患時にも起こります。

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コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎のリアルワールドのデータです。

 

2021年8月 4日
COVID-19ワクチン接種後の心筋炎と心膜炎
JAMA. Published online August 4, 2021. doi:10.1001/jama.2021.13443 

メソッド
ワシントン、オレゴン、モンタナ、およびカリフォルニア州ロサンゼルス郡の40の病院で、2021年5月25日までの任意の時点で、システム内で投与された、または州の登録簿に記録された、文書化されたCOVID-19ワクチン接種を受けたすべての患者が特定されました。

結果
少なくとも1回のCOVID-19ワクチン接種を受けた2000,287人のうち、58.9%が女性で、年齢の中央値は57歳。
76.5%が複数回接種、52.6%がBNT162b2ワクチン(Pfizer / BioNTech)、44.1%がmRNA-1273ワクチン(Moderna)、3.1%がAd26.COV2.Sワクチン(Janssen / Johnson&Johnson)を接種しました。

20人がワクチン関連の心筋炎(10万人あたり1.0 [95%CI、0.61-1.54])、37人が心膜炎(10万人あたり1.8 [95%CI、1.30-2.55])でした。

心筋炎はワクチン接種後中央値3.5日に発生しました(mRNA-1273ワクチン、11例[55%]; BNT162b2ワクチン、9例[45%])。15人(75%; 95%CI、53%-89%)は男性であり、年齢の中央値は36歳(IQR、26-48歳)でした。
4人(20%; 95%CI、8%-42%)は最初のワクチン接種後に症状を発症し、16人(80%; 95%CI、58%-92%)は2回目のワクチン接種後に症状を発症しました。
19人の患者(95%; 95%CI、76%-99%)が病院に入院しました。中央値2日(IQR、2〜3日)後に全員が退院した。

心膜炎は、15例(40.5%; 95%CI、26%-57%)の最初の接種後および22例(59.5%; 95%CI、44%-74%)の2回目の接種後に発症しました。(mRNA-1273ワクチン、12例[32%]; BNT162b2ワクチン、23例[62%]; Ad26.COV2.Sワクチン、2例[5%])。
発症の中央値は、最新のワクチン接種から20日(IQR、6。0〜41。0日)でした。27人(73%; 95%CI、57%-85%)は男性であり、年齢の中央値は59歳(IQR、46-69歳)でした。13人(35%; 95%CI、22%-51%)が病院に入院し、集中治療室には入院しませんでした。滞在期間の中央値は1日(IQR、1〜2日)でした。

議論
心筋炎は、主に2回目のワクチン接種後、若い患者で急速に発症しました。心膜炎は、1回目または2回目の投与後に高齢の患者に影響を及ぼしました。
以前のC D C の報告より、発生率は高く、ワクチンの有害事象が過少報告されていることを示唆しています。さらに、心膜炎は、高齢の患者の間で心筋炎よりも一般的である可能性があります。

 

100万人当たり28人という頻度ですから、アナフィラキシーよりはずっと多いということです。

急性心筋炎では、不整脈や急性心筋梗塞様胸痛、それに心不全やショックなどの重い症状へと続きます。心症状や全身症状に至らない患者さんも多くいます。またいきなり心不全やショックで発症する患者さんもいます。今なお早期診断が難しいためにベテラン医師を悩ませる病気です。したがって、適切な初期対応が遅れてしまうことがあります。
もう一つ、心臓の炎症疾患として急性心膜炎があります。心膜炎は心膜や心嚢に炎症が起こる病気です。心膜炎になると、胸痛が起こるとともに、心膜液が過剰に増えて心嚢がテニスボール状に膨らみ、心臓のポンプ作用を悪くします。心タンポナーデと呼ばれます。また、急性心膜炎と心筋炎が合併することも間々あります。心膜・心筋炎と呼ばれます。

ワクチン接種後に胸痛や動悸・息苦しさなどを感じたら、すぐ接種医か主治医に相談してください。

 

デルタ変異株といえどもワクチン2回接種でかなり安心になります。ワクチンの功罪を正しく認識して、一日でも早くワクチン接種を完了しましょう。

 

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