ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

B.1.617.2(デルタ)変異体に対するCovid-19ワクチンの有効性

f:id:hiro_chinn:20210722185246p:plain

 

 

タイミングよく英国でのデルタ変異株に対する、リアルワールドの有効性に関する論文が発表されました。

 

原著

B.1.617.2(デルタ)変異体に対するCovid-19ワクチンの有効性
2021年7月21日
DOI:10.1056 / NEJMoa2108891

メソッド
Covid-19ワクチンを接種された英国のすべての人に関するデータは、全国ワクチン登録簿(全国免疫管理システム)で入手しました。2021年5月17日に、各ワクチン接種日やワクチンの種類など、2021年5月16日までに発生した予防接種に関するデータを抽出しました。 2回目の接種から14日以上経過した人の2回目の接種として、1回目の接種から21日以上後から2回目の接種の前日までに発症したデータを採用しました。
適切なスケジュールに従ってChAdOx1 nCoV-19またはBNT162b2のいずれかでワクチン接種された、16歳以上の人のみを含むように制限された分析では、19,109シーケンス症例が含まれていました。アルファバリアントは14,837サンプルで検出され、デルタバリアントは4272サンプルで検出されました。

 

結果
ワクチン(BNT162b2またはChAdOx1 nCoV-19)の単回投与後の有効性は、デルタ変異体(30.7%; 95%信頼区間[CI]、25.2〜35.7)の人の方が、アルファ変異体(48.7%; 95%CI、45.5〜51.7); 結果は両方のワクチンで類似していました。

BNT162b2ワクチンでは、2回接種の有効性はアルファ変異型の人では、93.7%(95%CI、91.6〜95.3)、デルタ変異型の人では88.0%(95%CI、85.3〜90.1)でした。ChAdOx1 nCoV-19ワクチンでは、2回の接種の有効性はアルファバリアントの人では74.5%(95%CI、68.4〜79.4)、デルタバリアントの人では67.0%(95%CI、61.3〜71.8)でした。

結論
2回のワクチン投与を受けた後のアルファ変異体と比較して、デルタ変異体ではワクチン有効性にわずかな違いしか見られませんでした。ワクチンの有効性の絶対的な違いは、最初の投与を受けた後により顕著でした。この発見は、脆弱な集団の間で2回の投与でワクチンの摂取を最大化するための努力を支持するでしょう。

 

ファイザー社製ワクチンのデルタ株に対する有効性は、1回投与で30.7%、2回投与で88%でした。

たとえデルタ株であっても2回打てば88%の有効性があり、我々としても安心できる数字であると思います。

 

討論
英国での大規模なテストと全ゲノムシーケンス、および国のワクチン接種登録簿でのワクチン接種状況の記録により、英国で最初に出現したデルタバリアントから数週間以内にワクチンの有効性を分析することができました。
全体として、2回の投与を受けた後、デルタ変異体による症候性疾患に対する高レベルのワクチン有効性が見られました。

 

日本も英国のようなちゃんとしたデータ管理が欲しいものです。

以前にも記事で書かせていただいたように、日本の変異株の変遷が英国と同じであり、英国の現状分析が大いに日本の重要な参考になります。

これからも英国の動向には目が離せません。

最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

f:id:hiro_chinn:20210523145334p:plain