日本人の高血圧の最大の原因は、食塩のとりすぎです。若年・中年の男性では、肥満が原因の高血圧も増えています。飲酒、運動不足も高血圧の原因です。高血圧は喫煙と並んで、日本人にとって最大の生活習慣病リスク要因です。
高血圧は、喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因です。もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。高血圧自体は、過去数十年で大きく減少しましたが、今なお20歳以上の国民の二人に一人は高血圧です。
高血圧症の予防に欠かせないのは、食塩摂取量の制限です。食塩摂取の目標は、「健康日本21(第二次)」の目標値では8g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。また、日本高血圧学会は、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることを強く推奨しています。
今回は、American Heart Association News から抜粋して塩分の怖さをお伝えします。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国人の約9割がナトリウムを取り過ぎているといいます。そのナトリウムの大半は塩化ナトリウム、つまり塩です。
心臓への影響
心臓はポンプであり、血管はパイプです。パイプを通る血液の量が増えたり、パイプが細くなれば、血圧は上がります。塩分の取り過ぎはそれら双方を引き起こします。そして心臓に多大な負担をかけます。
悪影響はすぐに現れ、かつ時間を経てからも現れる悪影響はすぐに現れ、かつ時間を経てからも現れます。
塩分を過剰に摂取するとその30分以内に血管の拡張性が低下するといいます。さらに、高血圧の状態が慢性的になると、心臓発作や脳卒中などのかたちで悪影響が現れてきます。ただし塩分摂取を控えることのメリットも、すぐに現れるとのことです。塩分摂取量を大きく減らした場合、血圧は数時間から数日以内に下がるといいます。
全身に影響が及ぶ
塩分過剰摂取は心臓だけでなく腎臓にも負担をかけます。腎臓の働きの1つは塩分を排泄することです。しかし高血圧の状態では、腎臓のその働きが低下し、塩分が体内に蓄積しやすくなることがあります。
その結果、足がむくんだり、胸に水が溜まって心臓や肺の働きを低下させたりします。
塩分過剰摂取による新たな悪影響も分かってきた
最近の研究では、過剰な塩分が免疫システムに影響を及ぼし、心臓病のほか多くの健康障害にかかわる慢性炎症を引き起こすことが分かってきました。
塩分摂取の影響は人によって異なる
大切なことは、大半の人にとって塩分摂取を控えることは間違えなく健康に良いということです。
今年2月、「Circulation」に掲載された過去85件の研究のメタ解析では、ナトリウム摂取の抑制が血圧低下につながることが改めて確認されました。肥満でない健康な若い人も含め、全ての人が塩分の過剰摂取に注意すべきであるとわかってきました。
筆者も決して他人ごとではありません。大きな声では言えませんが筆者も多くのリスク因子を抱えています。
自分や家族の為にも、塩分の誘惑に負けずにこれからも頑張ろうと思います。