ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

間接喫煙曝露と注意欠陥/多動性障害の症状との関連

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喫煙の有害性に関しては現在、広く一般に周知されていますが、喫煙者本人ではなく大切な自身の子供にも重大な影響を及ぼすことがまた知らされました。

現在の喫煙者数です。厚労省の最新たばこ情報によりますと、

http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd100000.html

「 成人喫煙率(厚生労働省国民健康・栄養調査)
 現在習慣的に喫煙している者の割合は、16.7%であり、男女別にみると男性 27.1%、女性 7.6%である。この10年間でみると、いずれも有意に減少している。 年齢階級別にみると、30~60歳代男性ではその割合が高く、約3割が習慣的に喫煙している。 」

 減少というよりまだこんなに喫煙者がいるのかという印象です。

 

JAMAネットワークオープン
2021年5月3日; 4(5):e2110931。 DOI:10.1001 /jamanetworkopen.2021.10931。
出生前、出生後早期、または現在の間接喫煙曝露と注意欠陥/多動性障害の症状との関連 

 

「 2012年4月から2013年1月までの間に中国遼寧省の小中学校の6歳から18歳までの48612人の子供が参加資格を示しました。データは2020年9月14日から12月2日まで分析されました。
結果
SHS( secondhand smoke、間接喫煙)に曝露された子供は、出生前の期間(OR、2.28; 95%CI、2.07-2.51)、出生後の初期(OR、1.47; 95%CI、1.29)に曝露されたときにADHD症状を示す確率が高かった。
結論
妊娠から小児期にSHSに曝露されることは、学齢期の子供たちの間でADHD症状とサブタイプを持つ確率が高くなることと関連しており、出生前と出生後早期のSHS曝露の関連性はやや強かった。私たちの調査結果は、ADHDを持つ個人の健康と経済的負担を減らす可能性があるSHS曝露を減らすことの重要な公衆衛生への影響を強調しています。」

 

 参考 

https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease07.html 

ADHD(注意欠如・多動症)とは
注意欠如・多動症(ADHD)とは、年齢あるいは発達に不相応に、不注意、落ちつきのなさ、衝動性などの問題が、生活や学業に悪影響を及ぼしており、その状態が6ヶ月以上持続していることと定義されています。脳機能の発達や成熟に偏りが生じた結果と考えられていますが、その原因はまだよくわかっていません。遺伝的な素因や周産期の問題、環境要因などが複雑に関連して症状が現れるといわれています。約5%のこどもがADHDと診断されています。男児は女児より3から5倍多いことも知られています。
ADHD(注意欠如・多動症)の症状
不注意
学業・仕事中に不注意な間違いが多い。
課題や遊びの活動中に、注意を持続することが出来ない。
直接話しかけると聞いていないように見える。
指示に従えず、業務をやり遂げることが出来ない。
課題や活動を順序立てることがむずかしい。
精神的努力の持続を要する課題を避ける、いやいや行う。
なくし物が多い。
他の刺激によって気が散りやすい。
日々の活動の中で忘れっぽい。
多動・衝動性
手足をそわそわ動かしたり、いすの上でもじもじする。
授業中に席を離れる。
不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする。
静かに遊べない。
まるでエンジンで動かされているように行動する。
しゃべりすぎる。
質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう。
順番を待てない。
他人の邪魔をする。

 

 大切な我が子を自ら守るためにも今すぐに禁煙すべきです。そのために禁煙外来へ行きましょう。

 

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