ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

中年期の体重変化と脳卒中および冠状動脈性心臓病のリスク

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今,世の中の方たちは皆さん,ダイエットや自身の体重を減らすことばっかり考えておられる方が多いようです。

医師の立場からこの方は、減量した方がいいなあと思う患者さんには、運動特に散歩なんかしながら少しずつ減量していってくださいということはたまにあります。内科的にメタボリック症候群の方とか、整形外科的に荷重関節を痛めている方などには、たまにお勧めいたします。

急激に痩せることはかえって害になることがわかっていますから、痩せるにしても1か月か2か月に1kg 程度ずつ減らしていってくださいと声を掛けます。

健康のための減量に関しての日本の研究があります。

Atherosclerosis
2021年4月; 322:67-73。 DOI:10.1016 /j.atherosclerosis.2021.02.017。 Epub 20212月23日。
中年期の体重変化と脳卒中および冠状動脈性心臓病のリスク:日本公衆衛生センターに基づく前向き研究
キサヌキコイチ 1、 村木功 1、 山岸良匡正 2、 小久保義博 3、 斉藤功 4、 八ツ屋宏 5、 澤田典恵 6、 磯博康 7、 豊田章一郎 6、 JPHC研究会

背景と目的
中年期の体重変化が心血管疾患の発生率に与える影響は十分に解明されていません。5年間の体重変化が中年の個人の脳卒中および冠状動脈性心臓病(CHD)のリスクと関連しているかどうかを調査しました。

方法
日本公衆衛生センターを拠点とする前向き研究でベースラインおよび5年間の追跡調査票に回答した40〜69歳の参加者74,928人のデータを分析しました。

結果
997,406人年の追跡期間中に、3,975件の 脳卒中と914件のCHDイベントを記録しました。
体重の増減は、女性の脳卒中のリスクが高いことに関連していました。
U字型の関連性は、女性の虚血性脳卒中および出血性脳卒中に見られました。
体重減少は、男性の脳卒中のリスクが高いことに関連していました。
体重増加は、男性の冠状動脈性心臓病のリスクが高いことに関連していました。

結論
中年期の体重増加は、女性の脳卒中のリスクの増加と男性のCHD(冠状動脈性心臓病)のリスクの増加に関連していました。体重減少は、男性と女性の両方で脳卒中のリスクの増加と関連していた。

 

5年間で5kgの体重の増減が 脳卒中と冠状動脈性心臓病の発生リスクに関係するという結果でした。

簡単にダイエットをして減量しましょうと考えてはいけないということでしょうか?

 

CDC のホームページに減量のページがあります。 

  健康的な減量とは何ですか?
体重を減らそうとしている人がすぐに減量したいと思うのは当然です。しかし、徐々にそして着実に体重を減らす人(週に約1〜2ポンド)は、体重を減らすことに成功しています。健康的な減量は、「ダイエット」や「プログラム」だけではありません。それは、毎日の食生活や運動習慣の長期的な変化を含む継続的なライフスタイルについてです。

健康的な体重に達したら、健康的な食事と身体活動に頼って、長期にわたって体重を減らすのを手伝ってください。

体重を減らすことは簡単ではありません、そしてそれはコミットメントを必要とします。しかし、あなたが始める準備ができているなら、私たちはあなたが減量とより良い健康への道を歩むのを助けるためのステップバイステップのガイドを持っています。

適度な減量でさえ大きな利益を意味することができます
総体重の5〜10%のわずかな体重減少でも、血圧、血中コレステロール、血糖値の改善などの健康上の利点が得られる可能性があります。

たとえば、体重が200ポンドの場合、5%の減量は10ポンドに相当し、体重は190ポンドに減少します。この体重はまだ「太りすぎ」または「肥満」の範囲にある可能性がありますが、この適度な体重減少は、肥満に関連する慢性疾患の危険因子を減らすことができます。

したがって、全体的な目標が大きいように見えても、それを単なる最終目的地ではなく、旅と見なしてください。あなたはあなたがより健康的なライフスタイルを送るのを助けるであろう新しい食事と身体活動の習慣を学びます。これらの習慣はあなたが時間をかけてあなたの体重減少を維持するのを助けるかもしれません。

 

 

 高度の肥満者が多いアメリカですからおおざっぱに書かれていますが、同じように日本人が減量していくのは賛成できません。しかし実際の減量方法など載っていますので興味のある方は、C D C のホームページを見てみてください。

https://www.cdc.gov/healthyweight/losing_weight/index.html/

 

今日ご紹介したのは日本人の日本人が調査対象の研究です。ですから我々の実情に合っている結果だと思います。

 意図的な減量と自然に減量したのでは意味合いが違うようですので、これに関する研究を今後探してみます。(今回検索してみましたがいい研究が見つかりませんでした。)

 

 最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

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