ある整形外科医のつぶやき

外来の診察室で思うこと

自然音と健康

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研究論文
自然音の健康上の利点と国立公園でのそれらの分布の統合
PNAS 2021年4月6日118 (14)e2013097118; https://doi.org/10.1073/pnas.2013097118

 

系統的文献レビューとメタアナリシスを使用して、自然の音が健康の結果に影響を与えるかどうか、またどの程度影響するかを調査しました。

結果
3種類の自然音(鳥、水、混合)のうち、水音が健康とプラスの影響の結果の平均効果量が最大であり、鳥の音がストレスと不快感の最大平均効果量を示しました。

討論
自然の音への曝露が健康上の結果とプラスの影響を改善し、ストレスと不快感を軽減することを示しました。
私たちのレビューは、自然の音だけで健康上の利益をもたらすことができることを示しました。
自然の音響環境は、安全または危険のない秩序ある世界の兆候を提供し、精神状態の制御、ストレス関連の行動の減少、および精神的回復を可能にします。

私たちのメタアナリシスは、の音が健康とポジティブな感情の増進に最大の影響を及ぼし、の音がストレスと不快感の軽減に最大の影響を及ぼし、水の音の重要性は、生存のための水の重要な役割、およびノイズをマスクする継続的な水の音の能力に関連している可能性があります。一方鳥の鳴き声は、自然体験の広範な要素であり、注意を回復し、気分を高め、知覚されるストレスを減らし、サウンドスケープの親しみやすさと快適さを高めることができます。

 

参考

「サウンドスケープ」とは、ランドスケープのランドを「サウンド」に置き換えた言葉で、音の風景という意味です。シェーファーの著書が翻訳されたとき「音風景」と訳されました。近代では、音を環境から切り離し、あまりにも客観的に取り扱ってきたため、もう一度音を風景の観念でとらえ、その上で音を巡っての関係性に注目し、日常生活や環境の中で音を風景としてどのようにかかわっているのかを考えるために、「サウンドスケープ」という概念が提唱されました。

 

筆者はかなり前より You tube で鳥や水の音を聞くのが大好きでしたが、こうして研究として効果が証明されて、改めて自然の音を聞くことの重要性を再確認しました。

できれば自然の中に行って体験するのがもっと効果的なのだろうと思います。人間は決して自然と離れては、生きていけないのだなあと強く思います。

ほかの国々に比べ緑地がまだ多いといわれる日本の都市においても、もっと緑地を増やし、騒音のない自然音に富んだサウンドスケープを体験することは、我々の健康を増進するためにますます重要になります。

 

皆さんももっと自然音を生活に取り入れて見られたらいかがでしょうか。

 

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